オリオン主 花言葉に想いを託して 何の前触れもなく、姫から手紙が届いた。
手紙を寄越すくらいなら直接来てくれればいいものを、と思ってしまうが、姫も多忙な身なのだから仕方ないと自分に言い聞かせる。
俺の自室には執事か限られたメイド、重臣くらいしか近付かない。だとすると俺が公務に追われ、疲弊仕切っていた為に手紙を置かれたことすら忘れていただけなのか。
まあいい。逸る気持ちをおさえてペーパーナイフで封筒を開封する。
こちらの近況を聞いてくるのかと思えば、手紙にはアンキュラでは様々な花言葉を持つ花を手紙に添えて、恋人に想いを伝え合うことが流行っていると書かれていた。
手紙でなければ俺に想いを伝えるような女ではないだろう。
散々俺を翻弄して虜にしておいて、言い訳するなど許さんぞ。
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