両片思い「ねぇサニー」
「どうしたの?アルバーン」
「…僕、好きな人出来たって言ったら、どうする?」
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授業が終わり、いつものようにアルバーンのクラスに行き、いつものように一緒に帰るつもりだった。強いて言うなら新しく出来たカフェに寄らないかと誘おうとしていたこと以外はただいつもと同じ放課後だった。アルバーン、この後新しく出来たカフェ行かない?そう聞こうとした時だった。
…アルバーンに好きな人が出来たらどうするかって?俺はアルバーンが大好きだ、“そういう”意味でも。だけど今までこの気持ちを伝えなかった。アルバーンとの今の関係が壊れてしまうくらいならこの気持ちは墓場まで持って行ってやろうと思ったから。だがそれとこれとは別だ。アルバーンを誰かに奪われしまうくらいならいっそ…いや…
「…俺はアルバーンの恋を応援するよ」
「…そっ、か、ありがとう」
ん?嘘をついてでも励ましたのにアルバーンは俯いた。アルバーン、俺はどうしたらいいんだ?こんなにもアルバーンのことを想っているのに。どうしたら伝わる?どうしたら…この恋は実るんだ、?
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長かった授業も終わって、いつものようにサニーが迎えに来てくれた。眩しいくらいの笑顔で僕の名前を呼んでくれる。
僕はサニーが大好き。サニーも僕のことを好きだって言ってくれる。だけどそれは多分、僕の好きとは違う。サニーは僕に弟が出来たみたいって嬉しそうに言った。でもねサニー、僕はサニーをお兄ちゃんだなんて思ったことは無いよ。こんなこと言ったらサニーとの関係が壊れちゃうだろうから言わないけど、言わないけど…どうしてもサニーの気持ちを確かめたくなったんだ。だから聞いちゃった。
サニーは驚いた顔をし、少し悩んでから答えてくれた。応援する、だって。嫌だ、俺を選んでって、アルバーンが好きだって言ってくれることを少しでも期待した僕が馬鹿だった。だけどなんか…応援すると言ってくれたサニーは何だか少し悲しそうな、何なを覚悟したような複雑な表情をしていた。ねぇサニー、僕はどうしたらいいの?どうしたら伝わるの?どうしたら…この恋は実の、?
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両片思いとは、“両思いの2人”がお互いに片思いしている関係のことである。