水色の安っぽいソーダ味のアイスバー。どうしてか夏はそれが異様に食べたくなる。
パッケージを開けて中身を取り出して一口。まだ固いけれど噛めばざくっと歯が通り、冷たく口の中を冷やしてそのまま喉へ胃へと落ちていく。
すっと一瞬広がる冷たさにほっと一息つく。
「おいしー」
炎天下を歩き続けた体に染みわたる味だ。
一口、もう一口と止められずに続けていると、キーンと頭痛が走った。慌てすぎた。
痛む頭をもう片手で押さえていると、アイスを持っていた方の手が掴まれる。
「え?」
痛みに顔を歪めながらそちらを見れば、大きく口を開けたシャルルが見えた。そのまま、ぱくり。
大きな一口でアイスが奪われた。
「あーっ!」
痛みなど忘れて大声をあげれば、その声を止めるように口に何かを入れられる。
唇に張り付くような感触と、とろりと溶け出てくるバニラの味。
噛みちぎって口から離せば、シャルルが食べていたモナカアイスの一片だった。雑にちぎったらしく少し指の形につぶれている。
中身のバニラアイスが零れそうになって、慌てて舐めとりながらシャルルを睨むと、一切悪いと思ってない笑顔を浮かべてこちらを見ていた。
「こっちもうまいだろ」
確かに美味しいけれど、勝手に持っていかれるとなんだかちょっと腹が立つ。しかも許されると分かって言っているのがいっそう腹立たしい。
とはいえ、実際美味しいものを食べていたら、そんなちょっとした苛立ちなんてすぐに忘れてしまうのだけれど。
ソーダ味のアイスも良いけど、やっぱりアイスクリームもいい。次食べるときはまた違うのにしよう。
残ったモナカアイスを口に放りこんで、また自分のソーダアイスを食べる。
ふと、これはさっきシャルルが食べたんだっけと気付いて一瞬考える。が、すぐに気にすることはないなとそのままぱくりと食べてしまう。
やっぱり冷たくて美味しい。
なんとなく頬が熱い気がしするけど、きっとこれは夏の暑さが原因だ。