ゆめ「今日も会えましたね、左京さん」
そう言って、十歳年下の男がにっこりと微笑んだ。一歩、二歩。ソファに座る俺に近づいて、ゆらりと体を傾け、俺の額へと口付ける。大きな手が髪をひと撫でして、ゆっくり離れた唇が何か呟き、そのまま何事もなかったかのように去っていった。
——また、か。
時は年度末。集金のついでに決算の相談だのなんだのと面倒ごとの対応に追われ、帰宅するのは常に深夜。ようやく座った談話室のソファでついうたた寝をすれば、やたらと接触をしてくる知り合いの夢を見る。飛び起きたあとは落ち着かず、結局朝まで帳簿整理なんかの雑務をしてしまう。
酷い夢もあったものだ。厄介なことにこの「悪夢」は、この三日間立て続けに俺を襲った。
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