透明硝子の両側で 居並ぶ高級クラブにバー、路肩を埋めるのは黒塗りの高級車。そんな場所から僅かに離れたところに、所謂裏カジノといった風情の店があった。
顧客の接待のため、上役と上司と共に足を踏み入れたそこは、酒も調度も一級品揃いであった。
社内の中では若手ながら、川島も何度となくここへは来ていた。給仕の女たちは己を商品とすることも業務としており、川島自身も何度か贖っている。その金の殆どが所属する組織に返る事を思うと馬鹿馬鹿しいと思うでもないが、店の女たちはなべて顔は良く、弁えていたし、手間がないところが川島にとっては良かった。
しかし本日の接待相手は、今の所ただの一般客に等しい。取り敢えずのところ上役と多少の遊びを楽しんでお帰り頂くだけだ。まだこの店の詳細は勿論、自分達の商品も見せる必要はない。
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