指につながるその先は授業中に新選組と聞いた途端、湯水のようにあふれ出した記憶は、自分がその新選組の一員だった事をありありと思い出させた。仲間の事、そのうちの一人と恋仲であった事、驚きと圧倒的な情報量に頭はいっぱいになり、気絶するように倒れたのはつい先日の話。
蘇った記憶を整理して、どう過ごしてきたかを思い出そうとしても、はっきりと記憶していたのは安倍晴明の霊を皆で倒して、その後も新選組として活動したと言う事だけ。思い出したかったのは恋人とどうなったのか、だったのに。肝心なそこは全く思い出せなかった。
思い出したかった理由はただ一つ。こうして自分が生まれ変わっているのだから、もしかしたら彼にも会えるのではないかと一縷の望みを抱いたからだった。ただ一目会いたいと。願わざるを得なかったからだった。
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