Good Bye Loveテッドはウェドの言葉を聞き、息を呑んだ。
「ここが…ウェドの故郷…?」
「ああ。この辺りはちょうど村から海の祠へ向かっていく道だ。祈りの時、そこで自然の恵みをもたらす大精霊へ日々命あることへの感謝の意を捧げていた。妹と、この道を手を繋いで歩いたよ」
ウェドは遠く霧の向こうを見つめ、目を細める。
──残酷に終わった戻らない日々に思いを馳せたこの瞬間、ウェドは何を思っているのだろう。かけるべき言葉が出てこない。複雑な面持ちでその横顔を見つめていたテッドのリンクシェルが、突然鳴り響いた。
『テッド、無事?』
カラッとした女性の声だ。テッドは後ろを振り向き、霧の中に目を凝らした。
「ヤコちゃん!うん、ウェドも無事だよ!」
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