「う……ん……」
喉の渇きを感じ、ぼんやりと意識を取り戻すと、逞しくそれでいてやわらかな触り心地の胸板が目の前を塞いでいた。首を後ろに傾け枕元のスマホをタップすると、日付が変わって3時間経ったところだ。
先ほどまで互いの体液でしとどに濡れていた身体はいまやその痕跡を残さず綺麗さっぱりだ。隣で降谷の腰を抱き、ぐっすり寝ている男が後処理をしてくれたのだ。
以前、後処理をされるのが恥ずかしいから何もしないでいい、と降谷が言い張ったことがあった。
だが、絶頂の余韻から帰ってこられず、まともに指一本も動かせない状態では自分でシャワーを浴びに行くこともままならない。結局言葉での抵抗も虚しく、降谷がベッドの上で小さな死を迎えるたび赤井は甲斐甲斐しく世話を焼いた。
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