匂い⑤ 完「なんか、かっこいい…」
事を終えて一息ついていた時、先生に改めて香水について聞くと、その香水瓶を持ってきてくれた。
やはり香水店で見つけた物と一緒だと、自分の嗅覚を誇らしくなる。
お店で見た物と何ら変わりはないのに、先生の物はかっこいい気がした。
「これはもういいでしょ。もう付けないよ。」
先生は俺の手から瓶を取り上げ、ナイトテーブルへと移動させた。
「え?付けないの?」
「だって、人から貰ったもの使ってるの嫌でしょ?今度あの人にも『大事な恋人がいるから♡』って伝えるし、もう口出してこないでしょ。てか、悠仁を紹介する〜」
五条先生は、やけに嬉しそうにして、俺の頬に自分の頬を擦り合わせる。
実家が嫌いだと言っていた先生だけど、そんな先生にお節介妬いてくれる人がいると分かって、俺は嬉しくなった。
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