優しくしないで.「…七種くん、まだいますか?」
急なノック音と扉越しに聞こえた声に驚いてしまった。時刻は日付を超える少し前。キーボードを叩いていた手を止め扉を開くと、何故かつむぎ陛下がいた。
「これはこれは、つむぎ陛下!自分に何か用ですか?」
見るからに鞄を肩に掛けているからこれから寮に帰るところだろうか。こちらからニューディに伺う事はあるものの、つむぎ陛下がこちらに伺ってくるのはまだ数えられる程の回数しかない。寮に帰る前に何か大事な伝達にでも来たのだろう。
「お疲れ様です七種くん。俺これから寮に帰るんですけど、七種くんも一緒に帰りませんか?」
意外な言葉に驚いてしまい、何度か瞬きをする。今まで寮に一緒に帰るなんて誘われたこともないしそこまで仲は深くないはずだ。関わるとしても同じ副所長の立場としてくらいなのに。
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