ひんやりした空気が頬を撫でる。
外気の寒さとは裏腹に、布団の中はとても暖かい。
ビリーがグレイの実家で過ごす何度目かの夜、急な冷え込みから、二人は同じベッドで身を寄せ合っていた。
「ごめんね、まだ冬用の布団を準備できていなくて…ビリーくん、窮屈じゃない?」
「ウン、大丈夫!あったかいネ」
グレイとしては、少し潔癖なところがあるというビリーを自分のベッドに招いてしまっていいものか逡巡したが、大切なビリーを凍えさせる訳にもいかない。
最終的に勇気を出して伝えてみると、意外にもあっさり受け入れられたのだった。
ビリーの方も、躊躇なく招待を受け入れたことに、自分のことながら少し驚いたものだ。
眠るとき近くにいる他人なんて、父親以外、不快感や警戒心の対象でしかなかったのに。
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