「凪!! おせーよ!」
凪の名前を聞いて、ぴくりと肩を揺らした。開始時刻から一時間は経とうかというところで、凪がやってきたらしい。俺は座敷の端っこで、同じテーブルに座るメンバーの声に耳を傾けた。気持ち、体を縮こませる。幸いにして、凪は俺のところへ来ることなく、潔たちがいるテーブルへと引きずり込まれた。
「彼、来たみたいだけどいいの?」
「……彼ってなんだよ」
「とぼけんなや。あの面倒臭がり屋の天才クン」
いつもべったりやん、と烏が言う。それには周りにいた氷織や雪宮たちも同調して、飼い主とワンコみたいだよね、と茶化した。どっちかっていうとヤドカリとかカタツムリの殻やない? なんて言われて想像する。確かに、俺におんぶされてるときの凪はそんな感じかもしれない。
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