【夏五】コンビニスイーツ 以前なら、素通りしていた。気にすることもなかった。単純に、好きでも嫌いでもない、興味がなかったからである。
自動ドアをくぐると、いらっしゃいませ、という機械的な声がかかる。レジにいたのは初めて見る若い男で、いつものおばちゃんはどうやら休みのようだった。
今日はやめといた方がいいかも。
仕方なく、アルコールコーナーを素通りしてコーラと茶のペットボトルを籠に放り込んだ。
都心から離れた辺鄙な村のさらに奥にある学校に在学する身となれば、徒歩で買い物に行ける場所も限られている。このコンビニもそのひとつだ。何度も訪ねていれば、店員とも自然と顔馴染みになる。客の大半は学校関係者なのだと、1番顔を合わせるおばちゃんは言っていた。
2001