きらきら、ひかる。山麓駅専用駐車場に止まった一台の車から地上に降りると、明らかにこれまでとは違う寒さを感じた。空気がひんやりとしていて、江澄は思わず夜空を見上げる。
駐車場と、併設しているロープウェイ駅からの灯りのせいで満天とまではいかないが、普段自分たちが住んでいる都市部よりは格段に星が見えた。これだけでも感動的なのだが、これから更に凄い星空を見に行こうというのだから、年甲斐もなく気分が高揚している。
「江澄、風邪をひきますからこれを」
「ああ」
運転席から降りてきた藍曦臣は後部座席のドアを開けると、江澄にカシミヤのコートとマフラーを渡してきた。
つい先日プレゼントされた、江澄への誕生日祝いだ。
「山頂駅の気温は二度だそうです。思ったよりは寒くないですね」
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