愛の罠を仕掛けましょう四年の空白を経て地下牢で再会した俺と太宰は、四年間の空白等無かったのでないかと思うほど何時も通りだった。お互いを罵りあい、挑発しながら心の探り合い。
お決まりの流れを一通り済ませ、俺は地下牢を後にするため太宰に背を向けようとした。
太宰はそんな俺の腕を掴み自身の方へ引き寄せると優しく抱きしめてきた。
相変わらず、消毒液の匂いがする。
「中也、逢いたかったよ。中也も私に逢いたかったでしょ?ねぇ…また恋人に戻ろうよ」
俺の頬に手を添え優しく撫でながら微笑む太宰。
「…いや、戻るわけねぇだろ」
俺の言葉に目を見開き驚く太宰……いやいや、何で此処で俺が頷くと思ったのだろうか。
四年前、恋人である俺に何も告げずに姿を消し四年もの間、連絡一つ寄越さなかったのに。
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