あなたに似合いのひだまりの花 「お兄ちゃん、こんなとこでどうしたの?」
「えっ、と、ボクは……っ」
「だれかに用事?」
「怪しいな、マムのところに連れて行こうぜ!」
子供たちにわらわらと囲まれ、大きな花束を背に隠したまま少年は施設の中へと案内された。
朝からそう騒がしくしていると流石に気になって、セレスだけでなくサロメやアドルフも中から出てくる。
「皆、どうしたの?」
「変な奴いた!」
「変な奴って……マティスくん!?」
どうしてと目を丸くするセレスに恥ずかしそうにぱっと顔を上げたマティスは、ずっと背に隠していた大輪の花束をセレスに渡す。花束の花は珍しい、セレスの髪に似た色の黄色の薔薇の花束だった。
「せっ、セレスさん!」
頬を赤く染め、あからさまに緊張していることが目に見えるマティスの様子に思わずセレスも息を呑む。
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