負けず嫌い 長い鍛錬の時間が終わりテントに戻ったぼくは汗で湿った上着を脱ぎ捨て濡れた布で体を拭いた。適度な湿り気が肌の体温を奪い心地よい。
ふうと一息入れたところで視線に気づき目をやると、そこにはこちらをじっと見つめる友がいた。どうしたのかと思い見返しているとその視線に気付いた友が口を開く。
「ジョウイっていい身体してるよね」
「は?」
予想外の言葉に思わず間の抜けた声が出る。そんな僕に構いもせず、至極真面目な顔をした友はそのままこちらを見ている。気恥ずかしくなった僕は急いで服を着てから少し友を睨む。
「なんだよ突然」
「手足も長いし筋肉もしっかりついてるなあって」
「やめてくれよ恥ずかしい」
そんな僕のことはお構いなしに「リーチの差が」とか「間合いが」とかぶつぶつと呟いている。ああこれは僕を倒すためのシミュレーションしてるなと思った僕は友の頭を小突く。
565