白バイ隊員の悪戯いつも通りの警邏。
いつも通りの休憩時間に、矢張りいつも通り相棒を放置して、俺は骨董屋へ向かった。
連続不審事故や餓鬼玉事件で世話になった骨董屋である。
何の因果か知らないが『はい、さようなら』と切れる縁ではなかったらしい。
否。
あの変わり者たちに進んで関わろうとしている自分も、多少いるのだが。
ただのオブジェと化している可哀想な軽自動車の隣に白バイを停め、見た目以上に重い引き戸を潜り店内へ踏み入る。
迎えてくれたのは白檀の香りと、普段は漂って来ない蓮華の匂い。
どうやら今日は『当たり』らしい。
広めなコンビニ程の店である、目的の場所は直ぐに現れた。
店の最奥。会計処の小机に向かって座る、二人の男性。
ジャージ姿の仏頂面と、蓮の浮く墨染めの着流しに身を包んだ麗人——店主のユウさんと従業員のアヤさんだ。
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