プロローグルシファーには幼馴染がいた。その幼馴染の名はヴァシリアスといい、ギリシャ語で王という意味がある。ルシファーの幼馴染であるから当然天使なのだが、他の天使にはない重厚感がある。そのオーラに圧倒されて多くの天使は話しかけれない。だから初めて自身に話しかけてくれたルシファーのことは堕天後もとても大切にしている。
基本温厚で器が大きいヴァシリアスは意図せず、地獄の人口過密問題の解決にチャーリーより早く取り組んでいた。元は堕天使の増加を止めるための策だったのだ。
ヴァシリアスはルシファー堕天直後、堕天使が増えることにより問題が生じると思い、天国に馴染めない天使を自身の部下にし、管理しようという計画を考えた。そのためには天国から隔離された場所が必要だったのだが、いかんせんそのような場所はなかった。仕方なくヴァシリアスは親友のベリアルと共に天国の中心地より遠く離れたところに西洋風の城のようなものを建て、そこで部下の管理をすることを2人で協力してその計画を成功させようと約束した。
しかしその後親友のベリアルが堕天してしまい、1人で計画を進めることになった。
ヴァシリアスはどんどん部下は増えるが、堕天する天使は以前より減っているので計画は成功かと思ったが、お気に入りの天使であるアダムがセラたちと相談し、何かを始めてからまた堕天使が少し増えてきている気がした。ヴァシリアスの部下に、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花を体現しているようなレズビアンの美人な天使がいるが、彼女の意中の人、いや、意中の天使にリュートという者がおり、その者と仲が良さそうな天使にヴァギーという可愛らしい名の者がいたのだが、最近見かけない。アダムに聞いても誤魔化される。隠し事をされるのは少し嫌なヴァシリアスだが、いつか話すだろうと思い、久々の聴聞会へと足…ではなく翼を運んだ。幼馴染の娘はどう楽しませてくれるのか、そんな期待を込めて。