馬鹿と死域とお説教第六感。理屈では説明しがたい、鋭くものごとの本質をつかむ心の働き。学術的根拠はなくとも、野生の感とか、虫の知らせとか、様々な言葉で人々に言い伝えられている。ティナリは生論派の学者として、また自然と密接に関わるレンジャーとして、第六感の存在は十分にあり得ると考えている。そもそも、テイワットには解明されていない事の方が多い。現時点の学問で理屈が証明できないことが真実であったとしても、何ら不思議ではない。
「僕ね、結婚してあの家を出ようと思うんだ」
「……へ?」
「いい加減、アルハイゼンから離れるべきだと思ってね」
憂い顔の彼女――カーヴェの言葉を聞いた瞬間、ティナリは第六感の存在をより強く確信することとなった。
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