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    おやつ

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    おやつ

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    ジョニーって呼んで、サイモンって呼んだ、あの日の夜はこんなことがあったんじゃないかって妄想。

    #ゴソプ
    gosop
    #ghoap

    墨西哥の夜ヴァケロスのメンバーが気を利かせて持ってきてくれた紅茶と自分用のコーヒーの入ったマグを持って1人、隅の方で干し草の俵に隠れるようにして愛銃のメンテナンスしてるゴーストに近寄った。
    聞き慣れた足音とマスク越しでもわかるコーヒーと紅茶の香りに顔上げると、ソープが片方のマグを差し出す。
    男は特に警戒もせず受け取って、マスクを鼻の上までたくし上げてから匂いを堪能するように静かに香りを吸い込む。
    ソープはゴーストの隣に腰掛けてリラックスするように息を吐くと自分用のコーヒーを啜った。
    「…ジ…ソープ、」
    「ん?…どうした、サイモン?」
    “ジョニー”と呼ぼうとして一瞬の躊躇いから言葉を噤んでしまい、改めて隣の男に声を掛けると、ソープは気にした風もなくマグを傾けながら相槌を返した。
    「…アレハンドロに言っていた事だ……。何故、ジョニーと呼べるのは俺だけなんだ?」
    ソープが視線を横に向けるとゴーストは少し俯いてマグの中身を覗き込んでいた。
    「何でって…」
    ソープは理由を探すふりをしながらこちらをちらりとも見ない男の様子を伺った。
    紅茶とコーヒーの匂い、積まれた干し草と引っ張り出された銃器から出る火薬の匂い、持ち込まれたラジオから流れる独特なテンポを刻む音楽とヴァケロスたちの喧騒。それらに紛れて消えてしまいそうになりながらもわかるゴーストの普段感じ得ない緊張をソープは感じ取っていた。
    マグの中身の表面は少しだけ波打って、目で捉えることの出来ないこの男の震えを晒し出していた。剥き出しになった色白の傷だらけの首周りや髭の伸びかけた顎は少し紅色している。香ばしい芳香に覆い隠されているが確かに鼻先を擽る男の麝香の香り。少し汗ばんで艶のある張った首筋の色香に飲み込みそうになった息を誤魔化すようにコーヒーを煽った。
    木箱についた男の手の側に悟られないように自分の手を置くと、無防備な小指の側面を自分の同じ場所でするりと撫でてやる。
    指が驚くように強張ったが逃げることはなかった。
    マグで隠したソープの口角がにんまりと弧を描く。
    「…じゃあ、逆に聞くが。…なんであの時、俺を“ジョニー”って呼んだんだ?」
    ソープの問いに、ゴーストは黙ったまま揺れる紅色の水面に口を付けて中身を啜る。
    その間も優しく触れるソープの指に、ゴーストが応えるように指先を曲げて、震えながらするりと撫で上げて絡めるように上から覆った。
    その仕草にソープは更に笑みを深くして覆った指に自分の指を絡める。
    しっとりと湿った感触が自分のそれと混ざり合って自分も大差ないことを知った。
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