取り残される「君ってさ、ずっとそのままなんだよね?」
「そうだな。いつまでも俺はリチャード・ジャックドウだ」
「僕がいなくなっても、みんなが君を忘れても」
「そう、俺の死体が砂になっても、ホグワーツが瓦礫になっても」
「…それってこわくない?」
「ゴーストになって良いことを教えてやろうか?」
「なに?」
「ゴーストは気が狂わない。変わらないから」
「気が狂いそうなくらい怖いって言いたいの?」
「俺はそんなに繊細じゃないから難しいことはわからないね」
灰銀の透きとおった彼は、視線から逃げるようにその首を外して有らぬ方に放り投げた。
「じゃあな後輩! また来るといい!」
彼の首は弧を描きながら別れを叫び、胴体はこちらに手を振りながら去っていった。