始まりの卵雑炊目を開けると見知った天井があった。
カビで黒ずんだ少し高めのソレは、高専の地下にある救護室のものだ。スンと鼻を鳴らして匂いを嗅げば、悠仁の肺いっぱいによく分からない薬品と、鉄錆の臭い。あとメンソールのタバコの匂いもした。
少しだけ固まった体をベッドから起こせば、骨組みがぎしりと鳴く。
薄っぺらい寝巻きの上から刺された所を触ればすっかり肉が着いていた。体の穴は無くなっているえでも若干貧血気味。
「お、虎杖起きたか」
「家入センセ、」
「穴は塞いだ。後遺症的なのは感じないか?」
「とくに、ないっス」
「ならよし」
自分の体の異変を確認していると、家入がタバコの煙で遊びながらそう聞いていた。それに素直に答えれば、昨日はよく頑張ったとウィダーをくれた。鉄分を補ってくれるやつ。
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