悪役令嬢に転生したので楽しんでみることにしたはぁ、やっと休みだ…。なのになんで…
「ナノちゃ~ん。これよろしくね♡」
「え?なんで…」
そう、私、中野菜乃 21歳 普通の会社員だが気になる人が一人…。よく、こうやって仕事を押し付けては、ミスしたら私のせいにして…。わがまま会社員、君島きらら(きみしま きらら)。この子が私の一番の天敵。
「中野さん。ここまたミスってるよ。しっかりしてね。」
「え、でもこれは私じゃないです。」
「いや、これ作ったの中野さんだって…ここにあるけど?」
え?なんで?こんなとこに私サインしてないのに…。まさか⁉
ガタッ
「あの!これ書いたの君島さんだよね⁉」
「え?どうしたの、菜乃ちゃん。私こんなことやってないよ。」
え?なんで…。私やってないのに…。
ー翌日ー
「山富さぁん♡仕事終わったから、一緒にご飯いきませんか?」
「おっ、いいな!行こうか!」
えっと…。仕事を押し付けたことが仕事なのかな?w「ちょっとまてぇぇぇぇ!」って言いたいところだけれど、君島さんは社長のお気に入りだからな…。
「はぁ」
ポンポンと私の肩を誰かが叩いた。
「大丈夫?あれはだめだよね。ごめんね、いつも。」
彼は、君島きららの弟、君島海斗(きみしま うみと)。ゆういつ、この会社で君島さんによく仕事を押し付けられているということを知っている。
「全然大丈夫!気にしてないよ。気にしたらきりがないよ。」
「そっか、しんどくなったら言ってね。無理しないでね。」
あぁ、海ちゃんはやさしいんだなぁ。なんで兄弟でこんなに違いが出るんだろう…。
そうやっていつも、安心しちゃうからこういうことが起きるんだよ…。
「菜乃ちゃん、私に言うことなぁい?」
「何を言うの?」
「はぁ、これだから陰キャは…。特別に教えてあげる。海斗となんでつるんでんの?」
「なんで仲良くしちゃダメなの」
「当たり前じゃない、海斗が汚れるじゃない。」
そんなに私汚くないよ?っていうか、それは海ちゃんが決めることじゃない?
グラッ
え?なに?地震?
「あっ、いいこと考えたっ。菜乃ちゃんうざいから死んでよ♡」
「えっ⁉なにをっ。」
ドンッ
「え?キャーー!」
私は君島さんに押されて、尻もちをついてしまった。その上から棚が降ってきて私は圧死となった…。なんでこんなやつに殺されなきゃいけないんだ…
どうしてこんなに私不幸なんだ…。神様私は何かしましたか?ちゃんとしているつもりだったのですが、なにがいけなかったんですか。なぜ神様はこんなにひどいのですか…。
「なぜか?私は君に不幸も幸福も与えられないからだよ。」
なんで!え?だれ?私死んだんだよね?なのになんで?
不思議に思った私は、目をそ~っと開けてみた。
!?
だれ!?こんな人しらない!
「おやおや、私を呼んでをいてそんなことをいうのかい?」
めちゃくちゃ怪しい人にしかみえない。可愛いおじいちゃんに見えるけど…
「そんなに怪しくないぞ?」
いやいやいや、怪しすぎでしょっ…ってなんでこの人私の心の中の声と喋れてるの?
「神様だからな!」
いや、そんなに威張れるとこじゃないけど…
「神様が威張って何が悪い。」
なんできれてるの?w私なんにもわるくないよ?
「そんなに殺されたのが悲しいなら転生させてやろう。」
ほんと!?だれになれるの?できれば目立たないようにしたいなぁ。
「どこに転移できるかは、決められん!」
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。なんで?まぁ、転生できるならいっか。
「では、行ってくるがよい!」
え?待って待って、そんなにせかさなくても…、心の準備が~。
シュンッ
わぁぁぁぁ!!
ん?何も起きない?そっと目を開けてみた。
誰もいない?きれいな部屋…。きれいだけどどこかさみしい…。あ、鏡がある!どんな姿をしているんだろう…。
わぁ!めっちゃ小さい!かわい!
服…は部屋着っぽいな。でもかわいい。
外から声が聞こえる?
「お嬢様はまだ起きないのか?」
「誰も起こしに行かないからじゃない」
「起こしに行く?そんな怖いことできないよ。」
??起きてるけど…。出たほうがいいのかな。
ガチャッ
「あのぉ、起きてます。すみません。」
「!?お嬢様!?失礼しました!うるさかったですよね。失礼します!」
え?なんで逃げるの?何かした?あぁ、もうどこかに行ってしまった。どうしよう。お腹すいたしなぁ。外を散策しようかな。よいしょっ。このドア重たい…。
「「あ、」」
「何をしているのですか?」
「あ、えっと、ご飯が食べたいなぁって。」
「!?ご飯ですか?」
「?はい。」
「承知しました。お部屋にお持ちしましょうかそれとも食卓で食べられますか?」
ど~しよう、食卓のほうに親とかいるのかな。
「食卓のほうに行かせてもらいます」
「さようですか。」
―ーー食卓にてーーー
ガチャッ
「アレン⁉どうしてここに?」
「どうしてって、お腹がすいたからです」
「やっとこうやってお話しできるのね?」
何のことだろう。前の体の子はどんな子だったんだろう…
「アレンどうしたの?食べないの?」
「あ、あぁ。食べます。」
「⁉アレン⁉まだ熱があるんじゃないの?」
「?いいえ熱はもう下がりましたし、とても今日はいい気分です。」
なんでそんなこと聞いてくるんだろう…前の私ってどんな人だったんだろう。そんなこと考えても意味ないんだから!
「…本当に大丈夫なの?」
「はい、大丈夫ですが、あなたのことが誰かわかりません…。申し訳ありません。」
「記憶喪失なの?」
「たぶんそうだと思います。」
はぁ、この子の体に何があったんだろう…。
「そう…アレンはなにも覚えていないのね?」
「はい。そうなりますね…。申し訳ありません。」
「いいえ、アレンはまったく何も悪くないのよ。」
悪くはないかもしれないけど、この子に悪いことしたなぁ…。ほんと申し訳ない…。
「全部忘れているなら自己紹介をしなくてはね…。まずあなたは、アレン・クリスタルと言う名前で、昨日5歳になったばかりなの。そして、私はアルーナ・クリスタルと言って、あなたの母親なの…。本当に覚えていないのね?」
「はい…。」
お父さんとか兄弟はいないのかな…。いたら会いたいなぁ。
「そろそろ、あの子たちが帰ってくるのだけど…」
「あの子たち?」
「あぁ、あの子たちっていうのはー。」
ん?誰かいるのかな。
ガチャッ
「あら、帰ってきたわね。おかえりなさい。
『ただいま帰りました。』
「お母さま、なぜアレンがここにいるのですか?」
「あぁ、今起きてきて一緒にご飯を食べていたところなのよ。」
「そうでしたか。」
「それから、お父様が帰ってきたらお話があるからまた集まってね。」
『はい!』
さっきに人たちって私の兄に当たる人なのかな…
「お母さま。あの方々は?」
「あの子たちはあなたの兄ですよ。また、お父様が帰ってきたらちゃんと自己紹介してもらうわね。」
「わかりました。」
あとでって言われたけどそれまでどうしよう。そとでなんかしてようかな。
「お母さま、私は外に行ってきます。」
「えぇ、気を付けてね。」
ー庭ー
何しよっかなぁ…
暇だなぁ。こんな世界なら魔法とか使えるのかな。
「あ、アレン様!体調のほうは大丈夫なのですか?」
「あ、はい。ご迷惑をおかけしました。」
「⁉アレン様ですよね…」
「?えぇ。」
あ、もしかして私が記憶なくしてること知らないのかな…。
「あの…、私は記憶がないんです。だから、私はあなたのことを知らないし、あなたと過ごした記憶がないんです。」
「そうですか…」
「ちなみにあなたの名前はなんというの?」
「私はカミエラ・ルギーと言います」
元々関わりが少なかったかもしれないけど…。
「ちなみに、私って元々どんな人だったのですか?」
「えっと…。本当に申し上げてもよろしいのですか?」
「えぇ。っていうかそんなにひどかったの?」
「はい…。アレン様はー。」
カミエラは昔の私を教えてくれた。小さい頃はとってもいい子だったそうです。でも、ある日をきっかけに豹変してしまったそうです。
「カミエラ!早く早く!」
「お待ちください、アレン様!こけてしまいますよ!」
「待ちきれないわ!お花を摘んでおばあさまにあげるのよ!」
「アレン様は本当にルビア様がお好きですね。」
「もちろんよ!おばあさまに喜んでもらうためならなんでもするわ!」
アレン様はとてもルビア様が大好きでした。毎日会いに行くくらい大好きだったのです。でも、ルビア様は暗殺されてしまいました。最愛のおばあ様をなくされたことがとてもショックだったのでしょう…。3日間何も食べずに、誰ともしゃべらずにずっと泣いておりました。私たちは心配で仕方がありませんでした。もうそろそろ出てきてもらわなければと思い、お声をおかけしようと、アレン様の部屋に行きました。
「アレン様、そろそろ出てきてください…。皆様が心配しておられます。」
「…」
何も言わずにアレン様は部屋の鍵を開けてくださいました。
「アレン様!こんなに顔色を悪くして…」
「カミエラ…。私はどうしたらいいの?おばあさまを亡くしたときはどんな表情をしたらいいの?これからどうしたらいいの?」
「アレン様…。ルビア様が安心してアレン様を見ていられるようにすることです。」
「私はどうやったらおばあさまに安心してもらえるの?」
「強く生きることですかね…」
これがいけなかったんです。私がこんなことをいわなければアレン様はあんな風にはならなかったのに…。
私のせいでアレン様の人生動かしてしまったのです。申し訳ありません…
「いやいや、カミエラが謝ることはないんだよ。」
ただ、私がこの子に入ってしまったことが悪いんだ…。この子にちゃんと伝えてあげたかったのに…。
「カミエラ、この家のこと教えてくれる?」
「!もちろんです! アレン様には三人のお兄様と弟様がいらっしゃいます。長男のアレグロ様、次男のアレグノ様、三男のアルニア様です。アルニア様はアレン様の弟様になります。
「私に弟がいるんだ。」
「はい。しかし、アルニア様はまだ幼いので…」
何歳なんだ…。そんなに幼いのに剣術を学んでいるのか…。この世界は大変だな…。
「ちなみになんで剣術なんて学んでいるの?」
「それは…貴族だからです。貴族はなめられてはダメですからね…」
なめられると何かあるのかな。
「私は何もしなくてもいいのかな。」
「アレン様は、魔法が使えるようにならなければなりません。ちなみに私は使えません。」
ん?なんで?貴族じゃないからかな。
「ねぇ、それって私も使えるの?」
使えるのなら使いたい。ファンタジー世界に来たなら一度はやってみたいよね。
「練習すればできると思いますよ。」
そっか。どうやって練習しよう…。誰か専門の人がいるのかな。
「魔法…使ってみたい。どうやったら使えるの?」
「アレン様はまだ使えませんよ。早い人でも十五歳になるまで魔法は使えないといわれています。だからアレン様は現在五歳なのであと九年ですね。」
十年⁉そんなに待たなきゃいけないの⁉やだよ!それまでに死んだら終わりじゃん…。はぁ…
「知識だけでも知っておくとか無理なの?」
「可能ですが…アルーナ様に一度聞いたほうがよろしいかと…」
「お母さまの誕生日っていつです?」
「えっと…確か…アレン様のちょうど一か月後だったような。」
一か月か…。もしかしたらできるかもしれないよね。
「お母さまの誕生日にサプライズで魔法を見せたいの。例えば魔法でお花をプレゼントとか…。そんなことをしてみたいの!」
「うーん。わかりました。それでは私が教えましょう。知識だけはあるので。」
「ほんと⁉ありがとう!カミエラ!」
よ~っし!がんばるぞ~!何からするんだろう。「ねぇねぇカミエラ。何からするの?」
「そうですね。まずはお部屋に戻りましょう。ハーブティを飲みながらお話ししましょう。すぐにいれてお持ちしますからお部屋で待っていてください。」
「わかった!」
わ~い!めっちゃたのしみ!何ができるようになるのかな。あぁ~!わくわくがとまらないよ!私がスキップしながら廊下を歩いていると。
「アレン?」
ん?誰だ?あ…カミエラがいないから誰かわかんないじゃん。あぁーどうしよう。とりあえずー
「こんにちは。」
「…。アレン…だよな…。」
あぁー!ミスったのかな。ここの挨拶なんてわかんないよ!
「あ、アレン様!まだここにいたのですか?迷いました?」
「ううん。いや、迷ったけどまあいつかつくでしょって思って。あはは…。」
ちょっと無理があったかな…w
「そうでしたか。あれ?ラウズ様。どうしてこちらに?」
「アレン様が起きてこられたとお聞きしたので。」
起きたって…多分もとから起きてたと思うよ。起きたけど、周りがあんなのだから出てきにくかったんじゃないかな。周りはそれをわかっていないってことがこういうことを引き起こすんだよ。私が起きたから来たの?
「ねぇねぇ。この人誰?」
「この方はラウズ・クリマール様です。ラキ・クリマール様の息子様にあたります。」
へぇ。名前をこんなに名前言われてもわかんないけどw。
今の私からすると、はじめましてになっちゃうけど…。
「あの、ラウズ様アレン様は記憶をなくされているのです…。」
「えっ…。記憶がない…?」
「はい。申し訳ないです。私は自分が何者なのかもわからないし、あなたが誰なのかもわからないんです。」
「そんな…」
ほんとなんで私この子に入っちゃったんだろ…。あの神様のせいだよ!なんで私なんかにこんなことするんだだろう…。私に何か成し遂げてほしいのかな…。私そんなことできないよ…。
「じゃあ、これまでのことも、おばあさまのことも覚えていないんですか…。」
「おばあ様のことはカミエラから聞いています。でも、あなたのことはよく知らないので良ければ教えていただけませんか?」
「もちろんです。」
「あの、アレン様。アレン様がよろしければ一緒にお茶をいただきながら話しませんか?」
あ、それいいね。みんなでお茶会だね!
「もちろんいいよ!ラウズ様、よろしいですか?」
「え、あ、はい。大丈夫ですよ。」
「ありがとうございます。」
さて、何から話そうかな。自分のことをちゃんと話すべきかな。
「あの、私は、もともと違う世界に住んでいたのです。日本というところなのですが知らないですよね…。」
「日本?わかりますよ。」
『え⁉』
「なんで知ってるの⁉」
「実は僕も記憶があいまいで…。覚えている分には覚えてるんですけど、場所によってはわからないこともあるんです。」
私みたいにすべてがわからないことではないんだ…。いいなぁ。この子なんでこんなに空っぽなの?何かいやなこととかあったのかな…。
「私の本当の名前は、中野菜乃です。多分知らないだろうけど…」
「菜乃ちゃん⁉え、本当に菜乃ちゃんなの⁉」
え?私のこと知ってるの?しかも、その呼び方…もしかして…⁉
「海ちゃん⁉」
「あ、やっぱり菜乃ちゃんだったんだ。」
海ちゃんもあの日死んじゃったのかな…。私は気持ち悪い死に方してしまったけど…。圧死だけはしたくなかったなw
「海ちゃんはどうして死んじゃったの?」
「えっと…。鉄骨が倒れてきて…。」
一緒の死に方してるじゃん…。うれしいような悲しいような…。
「ちなみに菜乃ちゃんはどうして死んじゃったの?」
「それは…。海ちゃんには言いずらいんだけど、君島さんにあの地震の時に殺されちゃって…。」
「……。」
あぁ。やっぱりこうなるよね…。
「ごめん。きららがそんなことを…。」
「っ!なんで海ちゃんが謝るの?海ちゃんまったく関係ないじゃん。」
「でも、きららの弟だし…。」
「それでも海ちゃんに殺されたわけでもないのに…。私が殺されたのは君島さんだよ…。」
そうだよ。関係ないんだから海ちゃんが謝る必要なんてないんだよ。おかしいのは君島さんなんだから…。弟だからって気にすることはないんだよ…。
「そっか…。ありがとう。」
「では、本題に入りましょうか。」
よ~しっ!何から教えてくれるのかな~
。
「まず魔法とはなにがあるかですけど、属性というものがありまして、多くても一人2つまでの属性の魔法しか出せません。その属性は選べません。ちなみにアレン様の家系は水属性が使いやすいかと…。」
水か…。できるかな。水はイメージが簡単だから、流れるイメージ…。
「アレン様!止めてください!」
え?なになに?なにを止めるの?
ふと、目を開けてみると…。
え⁉なんで⁉イメージしただけなのに…。止めるイメージ…。蛇口をしめる。
「なぜ、アレン様魔法が使えるんですか…。」
「なぜって、わかんないよ。知らない。イメージしただけなの。呪文っぽいことも言ってないし。」
本当に何も知らないんだよ。川の水が流れているイメージをしただけなのに…。イメージだけで魔法って使えるものなのかな…。
「無詠唱では魔法は使えないのに…。なぜ。しかも年齢も魔法が使える歳ではないのに…。」
私にもわからないけど一定の年齢にならなくても魔法は使えるということがわかったんだ。じゃあ、違う魔法も使えるんだ!次は…。
「アレン様、次に使う魔法を考えてらっしゃいますね?」
「えっ。なんでばれたの…。」
「ばれるもなにも…。今のアレン様を見ればわかりますよ。」
まじか…。そんなにわかりやすいのかな。
「もしほかの魔法を試されるのであれば外に行きましょう。今のアレン様には膨大な威力を持っておられるので部屋を壊されると怒られますので…。」
「わかった。それじゃあ外に行こうか。」
「外といっても演習場ですがね…」
演習場…。絶対広いよね。
わぁ。ひろ~。
「なんでこんなところがあるの?」
「それは…。もし戦争などが起きてしまった時のために訓練するようです。主に使われているのは騎士団の方々ですね。」
騎士団…。強そうだけどなぁ。名前からして。まあ、国の力を強くすることは大事だよね。
「ちなみに、どこと戦争するかもしれないの?」
「えっ…。あの、なぜ戦争するかもしれないと思ったのですか?」
「何が?普通じゃない?戦争するかもしれないところがなかったらこんなとこ造らないでしょ。」
「確かにそうですが…。こんなことをいうのはなんですが、この戦争は尋常じゃないほどの大規模な戦争となります。この土地をめぐってのことなので…。」
この土地を求めているのか…。それならどうすれば戦争をしなくてすむんだろう。
「カミエラ、その国と私たちの国は貿易とかしてるの?」
「ボウエキってなんですか?」
『えっ⁉』
「貿易をしらないんですか?」
「え?ボウエキなんて聞いたことがないですけど…。」
えぇ。貿易を知らないなんて…。そりゃ戦争になるよ。貿易はとっても大切なものなんだから!
「ちなみに戦争の相手国はどこなの?」
「えっと。たしか…。クリオパルと言っていたような…。」
クリオパル…。なにが有名かな。
「クリオパルと言ったら果物などが有名だったような。」
「果物⁉」
「え、あ、うん。菜乃ちゃんここに来たばっかりだもんね。」
使える!果物を貿易のものとして…うちの国(バルグィ)は何が有名かな。
「バルグィは何が有名なの?」
「バルグィといえばお花や植物が有名ですよね。」
「そうだね」
植物…。いい感じだね。
「あの、アレン様、ボウエキとは何なのですか?」
「あ、忘れてたね。貿易っていうのは、簡単に言ったら物々交換だね。例えば、クリオパルの果物を100ドルで買ったとしよう。そしたらクリオパルに100ドル分のお花などの植物を買ってもらうんだよ。」
「なるほど…。たしかに、そうすればうちの国の有名なののが与えることができると…。」
「そう!」
そうすれば戦争は防げると思うんだよね。土地が目当てならだけど。土地=特産物のイメージなんだよね。こんなところは造らなくていいんだよ。二度と戦争なんてしちゃいけないんだよ。だれかがつらい思いをするなんてあってはならないんだよ。
「提案してみるのもありかもしれないね。提案するなら僕も手伝うよ。」
「ありがとう。きっときいてくれるよね。」
「アレン様、そろそろ戻らなければ。皆様集まってということなので。」
「わかった。」
これで、お父様がこの提案を聞いてくれなければこの国は終わる…。
ガチャッ
もうみんな集まってる。ちょっと遅刻かな。
「アレン、もう皆集まってるから早く座って。」
「あ、すみません。少し遅れました。」
夜ごはんめっちゃ豪華。おいしそう…。でもお話合いからスタートだね。
「まずはアレン、回復おめでとう。」
「ありがとうございます。お父様」
『⁉』
「皆様、たぶんとても驚いていると思います。私に昔の記憶がありません。この体も誰のものなのかすらわからない状態です。ですから皆様が誰なのかもわかりません。そのためお母様に無理を申して集まっていただいたのです。迷惑をかけないためにも教えてほしいんです。」
『・・・。』
「もともとあなたがどんな人だったかも覚えていないの?」
「もともとの私はこの世界に存在していませんでした。たぶん私は違う世界から来た異世界人だと思うんです。」
『異世界人⁉』
『異世界人⁉』
「異世界人ってあの異世界人⁉」
そんなに驚くことだろうか…。普通じゃないんだ…。日本を知らない…。
「アレン、あなたは何を言っているの?」
「なにって…。本当のことを言ってるのに…。」
「アレン様、この世界では異世界人は神と呼ばれる存在になっているのです。」
神…。
「神⁉えっ⁉神って言った⁉」
「そうです。神なんです。」
はへ~神…。信じられない…。私が神…。あの男の人じゃないの?私は神じゃ。とか言ってたのに…。
「なんじゃ、呼んだか?」
「ふぇ⁉なんでここに⁉」
「なんでってここ、お前が前に来たとこじゃよ」
前に来たって…。私が移動してきたってこと⁉何してくれてるの!せっかく大事な話してたのに!
「そんなの知らん。お前が呼び出したのじゃ。で、ここにきているときは時間は流れておらん。」
「え…。なんで…。」
「なんでって、ここはあの世に行くか、転生するかの時に時間が流れてしまったら老けていくじゃろ?」
そんなにすぐに老けないでしょ。
「そうとは限らんのじゃ…。ここは時空がゆがむと消えてしまうんじゃ。」
「消える⁉っていうかなんで私の心が読めるの…。」
「神じゃから!これ言ってみたかったんじゃ」
はぁ…。これが神様なの?大丈夫なのかな…。神様ってもっとちゃんとしてるんじゃないのかな…。
「その神様に聞きますけど、私って向こうの世界では神様なの?」
「お前たちはここを通ってから異世界にいったじゃろ?」
「はい。」
「そうなるとここ=神の道になってしまって、異世界人=神になってしまったんじゃ。だから向こうの人たちはお前のことを神と言うんじゃよ。」
なるほど…。だからみんな神だって言うんだ。
「このまま神だって言ってもいいの?このままじゃあなたが神じゃなくなっちゃうよ?」
「いいんじゃよ。お前らが過ごしやすいようにすればいいんじゃよ。」
わかった。
「アレン様…?どうしましたか?」
あれ?戻ってきてる。あの神様自由だな…。
「大丈夫よ。」
バタバタバタバタッ
なになに?何かあったのかな…。
「アルーナ様‼急いで逃げてください‼敵の攻撃が始まりました‼」
「攻撃⁉なぜです⁉」
「わかりませんが急に攻めてきたので住民の避難と皆様の避難を素早くしてくださいと…。」
「わかりました。アラク!支度を!」
「任せとけ!絶対に守ってやるからな!お前たちは先に避難しろ!」
『はい!』
私は役に立つことできないかな…。
「アレン様、今は魔法のことは考えずに避難しましょう。」
「あれ…。なんでばれてるの?カミエラにはかなわないね。」
「当たり前ですよ。今のアレン様はわかりやすすぎなんですよ」
わかりやすくなってよかったけど、やっぱり役に立ちたい…。魔法が使えるんだから活用したい…。無理なのかな…。人の傷を直すくらいならできるかな。
「あのっ。けが人はどこにいるんですか。」
「アレン様⁉避難したんじゃ…。」
「いったん避難しましたがやっぱり心配で…。」
「そうでしたか。あの訓練場にいます。」
「足場が悪いので気を付けてくださいね。」
「わかりました。ありがとうございます。」
けが人を治すことなんてできるのかな…。異世界系は聖女しかできないっていうけど…。本当なのかな。本当だったら私無理じゃん!どうしよ…。何もできないなんて…。そんなのやだ‼誰か助けてよ。
だれか…。助けてよ…。
「お助けできますよ。」
えっ⁉誰の声⁉聞いたことない…。あの神様じゃないし…。
「私は精霊の女王カロリアと申します。」
カロリアさん…?精霊?女王?精霊なんて本当にいるんだ…。ありえないでしょ。これは夢?
「違いますよ。これはれっきとした現実です。それよりも、助けてほしいのでは?」
「え、あ、うん。そうだった!たすけて!」
「もちろんです。ただし、契約を行わななければなりません。」
「もちろんするよ。」
「では。
いつどんな時でもあなたに仕えると誓います。
あなたも。」
「え、あっ
いつどんな時でもあなたたちとの契約を切らないと誓います。」
これでいいのかな。
「魔力をこめて、自分の名前を名乗ってください。」
「はいっ。アレン・クリスタル!」
「これで、完了です。」
?これでおわり?何にも起きないけど…。
[こういうことができるようになるんですよ。]
カロリアさんの声が頭に響いてくる…。
[早く皆さんを助けてあげましょう〕
うん‼みんな大丈夫かな…。
「な、なにこれ。なんで…。」
いつの間にこんな街に…。火の海だ…。何も見えない。お母さんは⁉お父さんも…。だれも見えない…。
[アレン様、落ち着いてください。皆様避難しているようですよ。ただ、アレン様のお父様がたは戦っているようですね。]
まだ、大丈夫なんだ…。じゃあ、こんどこそ助けてもらうよ!
[もちろんです‼]
「5代精霊、水の精霊よこの火を消し去れ!」
「りょ~かいっ!任せなさいな!」
本当に消せるのかな…。
「アレン様…これ以上は危険です。下がってください。」
「あなたは…。何をしているのけがをしているじゃない!ちょっとまってね」
「私はもういいですから…。アレン様はお逃げください…」
そんなこと…できるわけない…。この人を助けてから私は行くから先に行ってて。
〔わかりました。早く来てくださいね。私たちの力がすべて戻ったわけではないので〕
〔わかってるよ。すぐに向かうよ〕
「こっちへ来てください」
「はい」
まだ助かるはず…。何があったんだろう。怪物でも出てこない限りこんなことにはならないのに…。なんで…。…、あれ?なんで私こんなことわかるんだろう。こっちに来たばかりなのに。なんで?何かしたっけ。
「なにがあったのですか?」
「あ、あれは怪物ですっ。炎を放ち、この街ごと燃やすつもりなんですよ。バグィ様でも勝てませんよ!」
「お父様でも?無理なのですか?それほど強いと…うちの戦力では足りませんね。」
足りないとなるとぶっつけ本番で魔法を使うとかしかない気がする…。これしかできないからこの手を使うしかないんだけどね。よし、この人を治してすぐに向かおう!
〔自然の住民よ、我に力を分け与えてくださいませ。ヒール!〕
「え⁉なにをしたのですか…」
「説明してる時間はありません。安全な場所に避難してください。今すぐに!」
「え、あ、はい!」
さぁ、死ぬのを覚悟して戦場に行くか…。
カロリアさん来たよ。
〔お待ちしておりました。〕
今何が起きてるの?何が暴れてるの?
〔おや、人ではないと知っておられたのですか?〕
いや、感だよ。聞いた話じゃ、炎を放つようだけどどんな感じなの?
〔その通りです。私たち妖精にはわかります。同じ妖精ですから。〕
あれが妖精⁉そんな風に見えないけど…。
〔あれは炎の妖精です。〕
炎…。妖精ってあんなに強いの?
〔あれは操られているだけなので本来の力ではありません。〕
本来の力…。ちなみに本来の力と今の力どっちのほうが強いの?
〔本来の力のほうが強いです。あの妖精は自分で制御できています。これが制御できなくなるとあの妖精は死に至ります。〕
え⁉早く助けなきゃ!どうしたらいいんだろう…なにをしたら…。あ!そういえば妖精なんだったらカロリアさんみたいに話せるよね⁉
〔できないことはないですけど、危険ですよ。だからその前に周りの火を消すことをお勧めします。〕
わかった。試してみるか。私の魔力の最大をみたいね。よーしっ!行こう!
「お父様!この周りの火を消させていただきますね!」
「アレン⁉何をしている!今すぐ逃げなさい!」
「いやです!私は帰りません!皆様の手伝いをしてから帰ります!私の町くらい私が守ります!」
「アレン…。引き下がる様子ではないな!では気が済むまでここにいるがいい!」
「はいっ!ありがとうございます!」
さぁ、ここからだね。水をどうやっていっぱい出すか…。
〔お手伝いできますよ。〕
ほんと⁉お願いしたい!でもどうやって?できるの?
〔任せてください。水の精霊を呼びましょう。ですがアレン様に呼んでいただきたいのですが。よろしいでしょうか〕
もちろん。
〔清き水の精霊よ。今われの力になってくれ!〕
「はじめまして、アレン様!私ウォーラといいます!」
「よろしく。この火、消せる?」
「もちろんですよ!まかせてください!あー、でも私一人じゃしんどいから…」
「なに?呼んだ?」
「呼んだよ!」
え?え?なにを言ってるの⁉何があったの⁉