ジューンブライド「雨……よね」
「雨だな」
控室の窓際に立ち、小雨ぎ降る外を眺め言う香の隣で獠も同じく言葉を落とす。
「時期的に仕方ないとは思うけど! でも、昨日は晴れていたのに」
「まぁ、こればかりはなぁ」
六月は雨の時期。それを承知で選んた日に空から雫が降り落ちる。
「……外に出たかった」
晴れた空の下で獠に誓いの言葉を言いたかった。と香は肩を落とす。
「外じゃなくても誓えるだろ?」
「そうだけど! でもっ‼」
獠の言うとおり、教会の中ででも言葉は紡げる。でも、六月の、ジューンブライドと呼ばれるこの時に、陽の元で愛する人と人生を共に歩む誓い合いたいと思うのが乙女心と言うもので。
「ふむ……。しゃあねぇな」
「えっ? あっ、ちょっと! 獠、何するの⁉」
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