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    Tou3yosih9

    @Was1nANdm0

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    Tou3yosih9

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    🔥🎴。現パロ。キ学軸のDomsabです。
    全年齢(現時点)・以降続く予定です。

    #🔥🎴
    #煉炭
    refinedCarbon
    #Domsab
    #キ学軸
    chiropracticAxis

    社会科準備室の帝王学「君、一年の竈門かな?」
     昇降口に向かう廊下の途中で呼び止められた。
    「はい」
     呼び掛けに咄嗟に応えて振り向く。
     先生だ。
     この先生、地歴公民の先生で確か、
    「煉獄…?先生」
    「うむ!」
     とても溌剌とした応答が返って来た。
     なぜ、呼び止められたのだろう?この先生の授業は未だ受けていない。確か三学期からの筈だ。
     何かの御用かと尋ねようと口を開き掛けた時、
    「竈門少年。時間に問題無ければだが、少し社会科準備室に寄って行かないか?」
     思い掛けない言葉が返ってきた。
     放課後になったばかりで、未だ少し時間に余裕はあった。
    (先生に呼ばれているのなら…行った方が良いだろうか…)
     自宅で経営しているパン屋の店番が気になったが、授業で未だ関っていない先生から声を掛けられたのだ。何かやらかしていたのかも知れない。最近のお客さんの流れを思い返して、
    「…少しなら大丈夫です。」
     そう答えて先生の後に付いて行った。

     煉獄先生。
     二ヶ月前の入学式の時、紹介でとても大きな声の先生だったので多分皆覚えただろう。この学園は、どこを向いても個性の強い先生しかいない。友人の我妻善逸からは「アクが強すぎなんだよ」と泣きながら掴んで振り回されたくらいだ。
     授業も、見た目も…。
     煉獄先生の後ろを着いて歩きながら、天辺の方に目を向ける。真っ先に目に入る、遠目から見ても目立つ髪色。煉獄先生は山吹の髪に毛先にゆくにつれ赤い色に変わっている。眼も。さっき正面から初めて見たけれど、髪と同じ金に赤の…。
    紅葉の真っ盛りみたいに鮮やかな配色の色と、よく通り抜ける程の声、存在感のある同性でも惚れ惚れする様な体格。けれど、裏腹に鼻の良い自分の鼻腔に感じるのは松の木の様に落ち着いた香りだった。

     そんな事を考えながら先生の背を追っていると、ピタリとその背中が立ち止まった。スラックスの右ポケットから、赤いタグの付いた鍵を取り出しガチャリとひねると、
    「どうぞ、入りなさい」
    ダンスのエスコートでもするみたいに、スッと伸ばされた掌で入室を促された。
    「ぅ、、失礼、します」
     にこやかに微笑む先生にちょっと見惚れてしまって、慌てて中に入った。人の笑顔って良く見ている筈なのに、思わずじっと見てしまうなんてどう云う事だろう。

     どうしてか、ほやりと上がってしまった体温を誤魔化そうと、いそいそと入った室内の最初に目に入った光景に「わ、ぁ…」と、思わず声が出てしまった。
     教室以外の部屋に入るのは初めてだ。資料室の中は幾つも有る棚にびっしりと書籍が並んでいて、これを全部授業で使うのだろうかと思うと、ぽかりと口が空いてしまう。
     そして、窓際にデスクが一つ。ノートパソコンと紙類が沢山乗っていて、(あぁ…ここは煉獄先生の根城なのだ)と思った。
    「そこに掛けなさい」
     ソファを勧められて慌てて座った。ジロジロと室内を見回して失礼だったかも知れない。
     慌てて、そして緊張していたから、気づかなかった。
     もう一度ガチャリとドアの鍵の音がしたことに。

    「学校生活には慣れたろうか?体調は?不調などは出ていないかな?」
     先生はデスクの近くの棚から湯呑みを取り出しながら聞いて来た。
     ?。どうしてそんな事を聞いてくるのだろう?
    すれ違いざまに、面識の薄い先生に声を掛けられる程に体調が悪く見えているのだろうか?
     眼を伏せて、少し考えて、「いえ、特には…」と、答え掛けた時、先生の顔は同じ目線にあった。
    ソファの隣に座るのではなく俺の前に、左の膝を床につけて、跪いて、尋ねられた。
    「睡眠が思うように摂れていないのではないかな」
     正面から、真っ直ぐ見据えられる眼から逃げられない。さっきまでの笑顔と違う。金の眼の赤の虹彩がより強くなった気がする。その眼の力強さに身体が思わず後退りをしている。ソファの背もたれが無ければもっと後ろに…。
     それに、睡眠…。
     確かに、最近疲れている筈なのに夜に眠たくなりにくいとは思ってた。でも、些細な事だ。毎日顔を合わせている家族からも何も言われなかったくらいの。本当に些細な事。
     なのに…先生は何故そんな風に思ったんだろう。
     面識の殆ど無い先生に生活の状態を指摘されて、理由が判らず握りしめていた手の中に汗が溜まってきた。
    「驚かせて済まなかった。自己紹介をしよう」
     先に目線を逸らせたのは先生からだった。そして自身の白いシャツの胸ポケットからケースを取り出した。
    首から下げていたストラップに繋がる、教員のIDが入っているケース。その裏側からもう一つIDカードを一枚取り出して目の前に差し出した。

    『ダイナミクス/ケア従事者・準一級/Submissive/煉獄杏寿郎』

     背景の青い顔写真と共に記載された情報を目で追う。
    「入学前の検診で医師から説明を受けたと思うが…」
     煉獄先生がそう告げる。
     そう、そうだ…確かにお医者さんに言われた。
    (君の入学予定の学校には、対応出来るスタッフが居るから安心しなさい。学校内で困った事があったら…)
    「なんでも相談しなさい。と、」
     そう、確かにそう説明を受けた。
    「君は『Dominant(ドミナント)だろう」
     煉獄先生の声が、言葉が、あの日に聞かされた事を呼び起こす。
     あぁ…そうだ。3月のあの日、『君にはドミナントの因子がある』と病院で言われた。
     スタッフと言われたから、もしも何か自身に異変を感じたらスクールカウンセリングの先生みたいに保健室に行けば良いと思っていたのに。
     指の先が小さく震えてる。俺はどうしたらいいんだろう。
    「安心しなさい」
     そう云うと、煉獄先生は俺の震える指先に手を置いて、笑い掛けてくれた。
    さっきまでの怖さはもう感じない。
     柔らかい声が告げる。
    「とにかく、緊急時のケアをしよう。『Command』は?覚えているかな?」
    そう言われて、返事に困った。
    知識としては覚えている。でも使った事が無い…。使い方が解らない。
     今迄、ニュースや本で見ていた出来事と自分との関係が繋がらない様に思えて、どこから考えれば良いのか解らない。
     俺の顔を見て先生は察してくれた様だ。
    「君は心身共に成長している時期だ。状況は目紛しく変化するし初めて経験する事も多いだろう。今回の事も、自分の体調に気を配る事に気付くいい経験になったと思う」
     そう云うと、煉獄先生は跪いたまま俺の指先を軽く握りながら
    「誘導するから、先ずはその通りに動いてごらん。大丈夫…信じて欲しい」
     怖い事は無いよ…と。
     片膝を付いたまま告げる煉獄先生を、ソファーに掛けたまま見つめる。
     生きてゆく為に、俺は支配者になる事を覚えなければならない。
     最初にこの先生と出会った事は幸運なんだろうか。 
     頭の中を今まで見てきた情報がグルグルと巡っている。それを悟られたのか、先生は力強い眼で笑みを作ると人差し指を立ててこういった。
     心地よい声色が、
    「集中…」
     と、告げる。
     まだ受けた事は無いけど、先生の授業ってこんな感じなのかも知れない。
    (そうだ、先生なんだから…これは授業なんだ…)
     そう思った途端、授業が始まる前の感覚になった。いつもの教室で、教壇に集中する。
     煉獄先生にもそれが伝わった様だ。

    「では、先ず『play』の大まかな流れを確認しよう」
     最初に声を掛けられた時と同じ、溌剌とした声が授業の開始を告げた。





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