三井サンが引退を発表した。
所属していたチームが優勝した矢先だったから知らなかった関係者や世間は驚愕していたが、俺はといえば絶対口外しないことを前提に個人的に前もって知らされていたので、正式な発表の日に「今日だったのか」程度の感想だった。もちろん直後にひっきりなしに共通の知人や高校時代の先輩後輩から連絡が来るという対応には見舞われたが。
俺としてももったいないと思っていたけれど、チームが優勝した直後、まるで見計らったかのように彼の膝は限界を訴えたらしい。
まるでもういいよ、もう大丈夫だよとでも言うように。
引退会見まできっちり終わらせ表舞台での仕事を全て終了した途端、今度は心が彼自身に対して休息を促すかのように三井サンは深い眠りに就いた。
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