捕食者と獲物同居中ルメ璦
「ねえ、開けてよ。」
その声は異様に甘ったるい声色だった。
息絶えた獲物の前で舌なめずりをする様な。
そんな格別に甘くも恐怖を感じる声。
同時に気づいてしまった。
その愚かにも捕らえられた獲物は自分だと。
□□□
某所の病院
表向きは常に清潔感溢れる場所だが裏では幾つもの過酷な出来事が日常で溢れている。
そんな出来事に翻弄される日々、それは誰であっても疲労が付き物だ。
現在仮眠室に居る男も例外ではなかった。
なだれ込んだのか皺が寄りぐちゃぐちゃのシーツの上で現実と夢を彷徨っている男…ルメリは燃え尽きていた。
すぐに帰れる状態ではないと判断したのはどうやら正解だったようだ。
病院にあるとは思えないほど薄い毛布を掛け目を閉じ直すと徐々に身体が重くなる。
5537