御昼寝 ある日の別邸にて。それぞれの仕事や訓練を終えた執事たちは、昼休憩を取ろうと、自室に戻って来た。
「今日の訓練は上手くやれた気がします!」
「そうですね、ハウレスさんも終始にこやかでしたし、日々の成果が見えてきましたね。」
「でも、主様を守るためにはもっと強くならなきゃですよね」
「はい、私もそう思います。私たちは経験値を買って頂いて悪魔執事になったのですから、少しでも早く戦力にならなくては。」
「それよりも…今日も来なかったですね、ハナマルさん。何か別のお仕事があったのでしょうか?」
「あの方は…どうせサボりなのでは───」
戸を開けると、ハナマルが唇に人差し指を当てていた。静かにしろ、と言いたげに、視線を畳の方に流す。テディとユーハンがハナマルの視線を追うと、その先には、畳の上で丸まって寝ている主とムーが居た。
「そういえば…主様の世界にも畳があると仰ってましたね…」
そっと近寄ってきたテディが小声で囁く。
「やっぱり、畳は昼寝に最適なんだよ~」
「あなたの図体で寝転がられたら邪魔で仕方ありません」
ユーハンも傍に寄り、そっと寝ている二人を覗く。
「それにしても…お二人とも、よくお眠りですね」
クスクスと笑うユーハンに釣られてテディも口元が緩む。
「本当に…可愛らしくて、ずっと見ていたくなっちゃいますね」
二人の無言は肯定の意味だろう。
この屋敷の執事たちは主贔屓が凄まじい。その後、昼休憩を過ぎても主が起きるまで、寝顔を楽しむ執事たちであった。
END 2023.10.15