その意味を知っている「我愛你」
「知ってる」
「香主は彼奴に甘すぎます」
「は?」
「虎仁幇の次期当主をしてあんなことを言わせておいて『知ってる』で済ませるなど……本来なら相応の答えを返すべきでしょう」
「……聞いていたのか」
「聞こえてきたのです。香主、あんな不誠実な男のどこが良いのですか? ただでさえ面倒を持ってきて迷惑を被っているのに、これ以上許容してはいつか本当に取り返しのつかないことになるかもしれません。将来虎仁幇を背負う者として、相応の相手を見つけなければ、いつか痛い目を見ますよ」
「…………」
「どうしても同性が良いというのであれば…例えば、浩然はどうでしょう? "表"の仕事の人間ではありますが、度胸もあるし腕もある。本人も"こちら側"の仕事を希望しています。『夜』のことも心得があるし、何より香主に心酔している。うってつけでしょう?」
1152