ST闇慈ルート。「ザナフ、御津は氏(うじ)の贔屓(ひいき)の色子か?」
ちょっくら様子を見てくるわと闇慈が姿を消し、二人になったチップに、苦労して『友達』になった『侍』が不思議なことを訊いてきた。
「いろこ? Sorry. 言葉がわかんねぇわ。」
「ふむ。御津と同衾する仲ではないのか?」
「……やたら敏(さと)いな。」
今度は率直に言い表された言葉に、つい今まで子供のようにはしゃいでいたチップが、少しだけ警戒の色を覗かせる。
「我の人として生きた時代、そう珍しい物でなかった故な。」
我が主も小姓を側に置いていたものよと、遠い昔に思いを馳せているのだろう侍は軽く天を仰いだ。
「我を上総介に献上した者らの教義では男色は最たる罪の一つであったが、上総介の国では罪どころか主従の絆を強くするために契ることもあるというのに随分と驚いたものだ。」
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