夢の中の司は映画館のような場所にいた。目の前に広がるのは大きなスクリーンと、それを取り囲むようにして座席の並ぶ空間。周囲に人はおらず、司1人だけが席に座っていた。やがて照明が落とされ、真っ暗になる。それと同時に映画が始まった。
最初に聞こえたのは、ピアノの音色だった。美しく、繊細な旋律だ。だがどこか物悲しく、聞いているとかすかに不安になってくる。
スクリーンにはピアノを弾く指だけが写っていた。指を写していたカメラがだんだん上へと上がっていく。そして演奏者の顔が写る。
ツートンカラーの髪、銀色の瞳、涼しげな目元に泣きぼくろ。端正な顔立ちの青年には見覚えがあった。
「……冬弥」
それは、可愛い弟分であり幼少期から親交がある青柳冬弥その人だ。
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