ハッピーエンドに辿り着くまで(ワイテルズ編)あなた達がここから抜け出す方法はただ一つ。ハッピーエンドに辿り着くこと…
🐼「うぅん…ここは…」
ふかふかな草原の上で目を覚ますNakamu。さっきまで自分の部屋にいたはずなのだが、眩しい光に包まれてゲーム内へと吸い込まれてしまったようだ
📕「あっ、おはようNakamu~」
🐼「Broooock!お前もゲームの中に吸い込まれたのか?」
📕「そうみたい。でも他のメンバーはいなかったよ」
上体を起こすと隣に座っていたBroooockを見る。どうやらここにいるのは二人のようだ
🐼「そっか。無事だといいけど…」
📕「みんなのことだし大丈夫だよ。僕達もずっとここにいても何も見つけられなさそうだし、町か何か探そ?」
🐼「そうだね。行こうBroooock」
二人が立ち上がり、場所を移動しようとすると辺りから人型の魔物が沢山現れる
🐼「なんだ…」
📕「敵襲じゃないNakamu!」
🐼「わかってるBroooock!戦うぞ!」
Nakamuが片手剣を、Broooockが両手剣を構えると魔物達が襲いかかってきた
🐼「おらっ!」
📕「よいしょ~!」
襲いかかってくる魔物達を次から次へと斬り伏せていくが、魔物の数が減る気配はない
🐼「Broooock、なんかこいつら変じゃない?」
📕「Nakamuも思った?僕も変だと思う」
🐼「無限湧きなのかキリがないな」
📕「どうする?このままじゃ消耗するだけじゃん」
🐼「進もうとしてた方に少しずつ進むしかないな。森があったからそこに入れば少しはよくなるかも」
📕「OK~!いっくよ~ん!」
二人で息を合わせて進もうとしていた森の方角の敵を倒しながら前進する。数は相変わらず減らないが森は近づいている
🐼「あとちょっとだ!Broooock!」
📕「Nakamu!しゃがんで!」
🐼「うわっ!」
Nakamuの頭めがけて飛んできた攻撃をしゃがんで避け、その敵を両手剣で斬り飛ばす
🐼「Broooock後ろ!」
📕「うわぁっ」
後ろから襲われそうになり、なんとか両手剣で防ぐと魔物達がNakamuとBroooockの間を両断する
🐼「しまった!大丈夫かBroooock!」
📕「大丈夫だけど大丈夫じゃないかも!」
🐼「どっちだよ!」
Nakamuには攻撃してこない魔物達はBroooockの元へ行くのを邪魔する
🐼「くそっ!邪魔だって!」
📕「うわぁちょっ、離して~!」
囲まれたBroooockが魔物達に取りつかれて持ち上げられている
🐼「Broooockおいお前らやめろ!」
魔物達はBroooockを連れてNakamuから離れていく
🐼「Broooock!!」
📕「僕は大丈夫!Nakamuはみんなを探してー!」
追いかけようとするNakamuだったが、魔物達は逃げ足が早いのかみるみるうちにBroooockを運び見えなくなってしまった
🐼「Broooock……」
👿「ケケケ…オマエ、ココデアキラメル。オレラ、ヤミノセカイ、モドル。アイツ、タスカラナイ。ザンネン…ダッタ………ナ……………」
魔物がNakamuの心を折るように言葉を発していると、それに耐えきれなかったNakamuが斬り倒す
🐼「…………絶対助ける。待ってろBroooock」
闇の世界へ連れて行かれてしまったBroooockを助けるため、他のメンバーを探しに森の先に少し見える町へとNakamuは歩み出したのだった
町に着くと、酒場を見つけ情報収集のために入ると見慣れた顔が二つ…
🐼「きりやん!シャークん!」
👓️「Nakamu!」
きりやんとシャークんが顔を上げてこちらを見る。そこへ駆け寄り席に座る
🐼「よかったぁ…心配してたんだ」
👓️「俺達も他の奴らの心配してたんよ。な、シャークん」
きりやんがシャークんの方を見るとペンでリングノートに『心配してた』と書いてそれを見せてきた
🐼「シャケどうしたの?筆談してんの?」
👓️「それは俺のせい。シャークん今声が出ないんよ」
🐼「えぇ」
自分のせいだと言うきりやんにシャークんは首を横にブンブンと振っている
🐼「シャケ顔を横に振ってるけど?」
👓️「いや、絶対に俺のせい。俺があの時気を失ってなかったらまだ何とかなったって」
🦈『そんなことない。あれは最良の判断だった』
👓️「絶対違うって!お前が俺にあれ以上危害が加わらないように交換条件でもしたんだろ!」
🦈『違う!あれはたまたまそうなっただけだって!』
きりやんとシャークんは声と筆談で喧嘩し始めた。仕方なくそれをNakamuが制止する
🐼「はいはいはい!喧嘩しない!とりあえず状況を聞きたいし、場所移そ」
👓️「そうだな。ここじゃなんだし、俺達がお世話になってる宿屋でも行くか」
🦈『賛成』
🐼「いいね!そこ行こう」
こうして酒場を後にした三人はきりやんとシャークんがお世話になっている宿屋の一室へ移動した
🦈「おーい。きりやん大丈夫か~?」
👓️「ん?んん~?」
眩しい日差しを手で避けながら目を覚ますきりやん。さざ波の音とシャークんの声が耳に響く
👓️「シャークんか。ここどこ?」
🦈「多分ゲームの中。ほら、俺達あのゲームやろうとしてたじゃん?」
👓️「あぁ~、Nakamuがやろうって言ってたやつか」
🦈「そうそう。体験型とは言ってたけど、これはなんつーか命かけすぎじゃね?」
👓️「つーかゲームの中に吸い込まれること自体おかしくね?しかも俺とシャークんしかいないし」
🦈「確かに。他の奴らどこ行った?」
二人は辺りを見回すが、目の前は海。後ろは砂浜でしばらく行くと草原にでそうだった
👓️「わかんね。でもまあどっかにはいるっしょ」
🦈「それもそうだな。とりあえず町かどっか見つけようぜ!情報収集だろ!」
👓️「だな。行くか」
二人が立ち上がると、先程まで眩しかった太陽が突然黒い雲に覆われていき、たちまち大雨が降り始める
👓️「なんだ」
🦈「おいきりやん!あれ!」
シャークんが海の方を指差すと、先程まで穏やかだった海に大きな渦が現れ、そこからでかい化け物のようなタコが現れた
👓️「タコか」
🦈「タコだけどでけぇ!」
👓️「化け物だろあんなん!」
🦈「しかも俺達狙ってるのか」
👓️「くるぞ!避けろ!」
二人目掛けて振り下ろされたタコの足をお互いに左右に避けてかわす。何故かわからないがタコは怒っているらしく、シャークんときりやんを狙っているようだ
👓️「なんかあいつ怒ってね?シャークん何かした?」
🦈「してねぇよ!きりやんこそ何かしたんじゃね?」
👓️「してないし!?つーか…」
怒ったタコは足を全部使って二人に襲いかかってくる
👓️「タコなのに何で足が10本あんだよ!!化け物かよ!」
🦈「どう見ても化け物だろ!!これヤバイって!」
シャークんがサバイバルナイフで、きりやんが槍が合体したような杖で攻撃を避けながら足を撃退していく
👓️「数多すぎて無理だって!!シャークん!」
🦈「きりやん!!ヤベっ!」
足の数が多く苦戦を強いられる二人。タコは怒っている影響か攻撃が激しく全てがかわせず疲弊していく
👓️「くそっ!こいつ!っ…!」
🦈「無理すんなきりやん!ちっ…逃げるしかねぇ!」
👓️「シャークん!草原の方だ!」
🦈「わかった!」
二人は草原の方を目指そうとするが、タコの足が行く手を塞ぐ
👓️「うおっ!」
🦈「おい!きりやん!!くっ…!」
足がきりやんをふっ飛ばし、砂浜に倒れる。シャークんも攻撃を受けながらきりやんに駆け寄る
🦈「しっかりしろきりやん!おい!」
打ち所が悪かったのか気絶しているようできりやんから返事はない
🦈「クッッソ!どうしろってんだ!」
後ろを向くとタコの足が目前に迫っており、2本ほどナイフで弾き返したがそのまま他の足に巻き付かれ捕まってしまう
🦈「ちっ!離せ!」
シャークんときりやんが足に捕まり、絞め殺されそうになっている
🦈「やめ…ろっ…!やめろっ……!」
シャークんがタコを睨みながら叫ぶと二人を絞める足の強さが緩んだ
🦈「なんだ」
足のうちの一本がシャークんの首を絞まらない程度に巻き付く
🦈「気持ちわりぃ!離れろ!」
反撃したいが、捕まっていてまったく動けない。突然首元が光り、それが収まるとタコは二人を離した
🦈「……………………!」
シャークんは叫んだつもりだったが声が全く出ていなかった
🦈「」
自分の声が全く出ず動揺するシャークん。深呼吸をして一旦落ち着いて辺りを見る。タコは既に姿を消しており一人で立ち向かうこともできないため、ひとまず倒れているきりやんを連れて近くの町を目指すことにした
👓️「それからここにシャークんが運んでくれて、俺は数時間後には目を覚ました。けど、もうその時シャークんは喋れなかったってわけ」
宿屋へと場所を移動したNakamu達はきりやんとシャークんの状況について話していた
🐼「そんなことがあったのか…シャケ、身体とかは大丈夫なのか?」
🦈『特に問題なし。マジで声が出ないだけ』
👓️「多分あのタコを倒せばいいんじゃないかなって思ってるんだけど、さすがに同じ二人で行っても敵わないだろうし、何故か怒ってるし…困って酒場でとりあえず情報収集をしようとしてた時にNakamuと会ったってわけ」
🐼「状況はわかったわ。俺の方のことも少し話しとく」
Nakamuは先程までBroooockと一緒にいて、謎の魔物達に襲われてBroooockが拐われてしまったことを話した
👓️「そっちはBroooockと一緒だったのか。てことはあと所在不明なのはきんときとスマイルか?」
🦈『Nakamuはきんときスマイルと会った?』
🐼「いや、俺は見てない。でもこの感じだと二人も一緒に居るんじゃないかなって気がする」
👓️「確かに。とりあえずそっちを先に探すか。俺らの倒したいタコは多分三人でもキツいし。あと魔法使えるであろうスマイルがいた方が楽そうだし」
🐼「そうだな…シャークんもそれでいい?」
🦈『OK』
🐼「決まりだ。きんときとスマイルを探しに行こう!」
目標を決めた三人は持っていたこの世界の地図を開く
👓️「俺達がいる町がここだろ?んで、Nakamuが越えてきた森が町を挟んで続いてるんよ。その森を越えてしばらく行くと城のあるでかい城下町みたいなとこに出るからそこを目指そうぜ」
🐼「城下町のが人が多くて目撃情報とかあるかもしれないしな。そういえばここの町では二人の目撃情報はなかったの?」
👓️「ちゃんとは聞いてないけど、俺達みたいに異風な格好をした人は見てないって言ってた」
🦈『この町には来てなさそうだから、城下町のがワンチャンありそう』
🐼「OK。とりあえず今日は休んで、明日城下町を目指そう」
こうして三人は明日に備えて休息を取るのだった
その頃、魔物に連れて行かれたBroooockはなんとか魔物達から逃げ出していた
📕「もう~なんなの~?Nakamuとはぐれちゃうし~…ていうか、ここどこ…」
辺りは真っ暗で何もなく、一寸先も闇で全く見えない
📕「真っ暗じゃん。どうすんだよ~」
目印も何もなくどちらに進むかもよくわからない状態のBroooockは途方に暮れている
📕「…………はぁ、歩くか~」
こうしてBroooockはあてもない世界を歩き始めた
次の日、町を出た三人は城下町を目指して森を歩いていた
🐼「森、どんぐらい続いてるんだろうな」
👓️「わかんね~。地図上で見た感じクソ広くはなかったはずだけど」
🦈『何日もかかる広さではないはず』
🐼「とりあえず進んでいくしかないな」
森の中をしばらく進むと、三人の周りから人型の魔物が出現する
👓️「敵かよ!!」
🐼「待って!こいつらBroooockを拐っていったやつらと同じだ!」
👓️「マジ何しにきたし!」
🦈『Nakamu狙ってるんじゃね?』
🐼「俺…なのか?」
三人はそれぞれ武器を構える。魔物達は確かにNakamuの方を見ている
👓️「そうっぽいな。Nakamuは渡さねぇぞ!」
🦈『そうだそうだ!』
🐼「きりやん…シャークん…ありがとう。よし、なんとしてもこいつら追い払うぞ!」
👓️「任せとけ!行くぞシャークん!」
シャークんが首を縦に振り、きりやんと一緒に魔物を片付けていく。Nakamuも負けず劣らず寄ってくる魔物達を斬り伏せていく
🐼「相変わらずキリがない感じか…」
👓️「前もそうだったん?」
🐼「そうだった。それで押し負けてBroooockが…」
倒しながら話をして少し気弱になったNakamuに魔物達が集団で襲いかかる
👓️「Nakamu!やべぇの行った!」
きりやんの声と同時くらいにシャークんもNakamuを助けに走り出すが距離があるため集団に辿り着けそうもない
🐼「ちっ…!やられるわけには!」
集団がNakamuの元へ流れ込む。数体倒すのが限度と思われる
👓️「Nakamuー!!!」
きりやんが叫ぶとどこからともなく斧が飛んできて集団の半分を消し去った。その好機を逃さずシャークんが残党を斬り、消し去る
🐼「今のは…」
?「おーーーーい!!!」
👓️「あれきんときじゃないか」
斧が飛んできた方向を指差すきりやん。その方向を見ると確かにきんときらしき人が立っている
🐼「きんときだ!!きんときー!!」
🎤「Nakamu達ちょっと伏せてて!!こいつら倒すから!!」
そうきんときが叫ぶと頷いたNakamu達は少し
屈む
🎤「おらっ!消し飛べや!」
次の瞬間、魔法の攻撃で残ってる魔物達を蹴散らし、きんときが合流した
🎤「Nakamu達無事でよかったぁ~」
🐼「きんときも無事でよかった!きんときはここで何してたの?」
🎤「たまたま見回りに来てたらなんか聞き覚えのある声がして…来てみたらやっぱりみんなでよかった」
嬉しそうに笑うきんときに、Nakamu達も一瞬口元が緩む
👓️「俺達の状況も話さなきゃだけど、さっきNakamuが拐われかけたしここじゃちょっとな」
🎤「じゃあ城下町行こう。俺そこでお世話になってるからさ。色々話しておきたいし」
森の中できんときと合流したNakamu達はきんときの案内で城下町へと向かって行った
城下町に着いた四人はきんときの案内で城の中を歩いていた
🐼「きんとき。何で城の中…?」
🎤「お世話になってて、自由に出入りしていいことになってるんだよ。まあ基本的にここは自由度が高くて、一般の人でもお城に出入りはできるらしいけどね」
👓️「すげぇ…一度はこういう暮らししてみてぇよな」
🦈『確かに。ちょっと夢あるよな』
城内部の廊下を進むと、少し広めの居間のようなところに入る
🎤「ここなら大丈夫っしょ。みんな座って」
きんときに促され、みんなが備え付けてあるソファに座る
🐼「とりあえず、現状の報告をきんときにしよっか」
🎤「聞かせて聞かせて。ずっとシャークんが喋ってないのも気になる」
Nakamuときりやんが今までのBroooockのことと、シャークんが喋れないことを説明する
🎤「そんなことがあったのか。それでシャークんは喋れず、Broooockもこの場にはいないんだね」
🐼「そういうこと。そういえばきんときはスマイルと一緒じゃないの?」
🎤「いや、知らない。俺はたまたまこの城下町の近くで目覚めて、それから行く宛もなくてここでお世話になってるから」
👓️「俺の予想外れたな。スマイルどこ行った?」
きりやんとシャークんがうーん?と頭を悩ませている一方で目が少し泳いでいるきんときをNakamuは見逃してなかった
🐼「きんとき、ちょっといい?」
🎤「うん?どしたの?」
🐼「あとで話したいことあってさ。いい?」
🎤「全然いいよ。なんだったら今でもいいけど」
🐼「じゃあちょっと場所移そう。きりやん、シャークん。ちょっと待ってて」
そう言ってNakamuときんときは一度部屋を出て廊下を進む
🐼「きんとき。嘘ついてない?」
🎤「え?何が?」
🐼「さっき目が泳いでたぞ。言いたくないことなら無理にとは言わないけどさ、俺達仲間だろ?話せるなら、話してほしい」
🎤「…………はぁ。Nakamuは鋭いなぁ。これ、渡しとくよ」
そう言って懐から一本の鉄製の鍵を取り出しNakamuに渡す
🐼「鍵?」
🎤「それ持ってちょっと来て」
きんときについていくと、一つの部屋の前で止まった。ノックもせず中に入るとそこは普通の部屋だった
🎤「ここ、俺が借りてる部屋ね。もし俺の姿が見えなくて何か伝えたいことがあったりしたら、その鍵を使って地下室に来て。ここから行けるから」
そう言って床にあったマットをどかすと、そこには鍵付きの扉があった。どうやら地下室に繋がっているらしい
🐼「地下室って、一体どういう…」
🎤「じゃ、俺ちょっと用事あるから。シャークんときりやんには急用って言っといて」
そう言ってきんときはどこかへと行ってしまった
🐼「きんとき…どうしちゃったんだ?」
普段と様子の違うきんときを心配しながらも、一先ずきんときが何処かへ行ってしまったことを伝えるべくきりやん達の元へ戻った
城の使用人に案内され、一人一室の個室で休んだNakamu達。次の日、朝御飯と昼御飯の時間にもきんときは姿を見せなかった
🐼「きりやん、シャークん。きんとき見た?」
👓️「いや、見てない」
🦈『俺も』
昨日案内された居間で集まる三人は一向に姿を見せないきんときに疑問を持っていた
🐼「だよな…俺も今日見てないんだよなぁ」
そう言いながら、昨日きんときに鍵を貰ったことを思い出したNakamu。もしかしたら…と思い地下室に行くことを決意する
🐼「きりやんとシャークん、ちょっとここにいて。俺思い当たるところあるかも」
👓️「いいけど、一人で大丈夫なとこ?」
🐼「城は出ないから大丈夫」
🦈『OK。気をつけてな』
Nakamuは部屋を出て、昨日きんときに案内された部屋へ向かう。部屋のカーペットをどかし、地下室への扉へ鍵を差し込むと鍵が回り扉が開いた
🐼「開いた…地下室どうなってるんだろう?」
開いた扉を潜り、恐る恐る階段を下りていく。少し下りると扉が見え、扉を開くとそこは植物園のように植物が生い茂る綺麗な部屋だった
🐼「綺麗だな…きんときはどこだ?」
城の地下にあるとは思えない広い部屋をNakamuは歩く
🐼「きんとき~?おーいきんとき~?」
返事がなく、少し歩くと人の頭が視界に入る
🐼「あ、いた。きんとき!」
部屋の一角に置いてある机に突っ伏して寝ているきんときに駆け寄る
🐼「起きろきんとき。こんなところで寝たら風邪引くぞ」
少し肩を揺さぶるとう~ん?という声と共に目を擦りながら起きたきんときがNakamuを見る
🎤「あれっ、Nakamu…?どうしてここに?」
🐼「お前がしばらく見当たらなくて心配だったから探しに来たんだ」
🎤「そっか!ごめんごめん。勉強とか夢中になるとつい引きこもりがちでさ…」
申し訳なさそうに頭を掻くきんとき
🐼「それはいいけど、心配だから一回ぐらい顔見せてくれよ」
🎤「気をつけるよ」
そう言って机の上に広がったノートを閉じる
🐼「そういえばここ…城の部屋の地下にこんな大きな部屋があるのも驚きだけど、これってどうなってるんだ?」
🎤「俺が魔法で繋げてるんだよ。本来は全然別の空間にある部屋」
🐼「すご!ていうか、きんときって魔法使えたの…?」
🎤「あはは。まあね」
笑って誤魔化そうとするきんときを何となく察し、これ以上追求しないように話題を変える
🐼「あっと、きんときはここで何してるの?」
🎤「……まぁ、Nakamuには教えておいた方がいいか。ていうか、Nakamuなら何かわかるかもだしな。ついてきて」
少し考えてからそう呟いたきんときは立ち上がり、部屋の端の草木に覆われた場所の前に立ち、指を鳴らす
🐼「うわっ」
突然草木が勝手に分かれ、扉が現れたことにNakamuは驚く。きんときはそのままドアをノックした
🎤「入るよ」
🐼「誰かいるの?」
🎤「入ればわかるよ」
ドアの奥から返事はなく、それが当たり前のようにきんときは扉を開ける。後に続いてNakamuが部屋に入るとそこは普通の部屋だった
🎤「おはようスマイル」
🐼「スマイル」
ベッドに向かってそう挨拶したきんときの後を追うようにベッドに目をやると確かにそこには寝ているスマイルがいた。返事は特にない
🐼「なんでスマイルがここに…?」
🎤「全部俺のせいなんだ」
🐼「きんときのせい?どういうこと?それに全く反応ないけど…」
🎤「それは呪いのせい。スマイルは俺のことを庇って目覚めない呪いを受けて…それからは俺が看病してる」
🐼「どういうことだ…?」
🎤「話すよ。そこ座って」
きんときに促されて部屋にある木製の椅子に腰かける。するときんときが話を始めた
きんときが目を覚ますと城下町の近くの草原でスマイルが一緒にいた
🎤「スマイルも目覚めたのここら辺?」
🙂「そう。きんときもか」
🎤「うん。どうやらここに居るのは俺達だけみたいだね」
🙂「だな。他のやつらどこ行った?」
🎤「わからんね。多分この世界にはいるんじゃない?」
辺りを見回したが城下町から賑やかな声が溢れてくるだけで、見覚えのある顔は見当たらなさそうだった
🎤「どうする?とりあえずみんな探す?」
🙂「それがいいんじゃね?どうしたらいいかわかんねぇし」
🎤「だよな。じゃあとりあえず情報収集か」
🙂「城下町広そうだし、一回分かれるか?」
🎤「その方が良さそう。あの入り口近くの酒場で夜落ち合おう」
🙂「OK」
こうしてきんときとスマイルは一度分かれ、城下町で他のメンバーのことなどについて情報収集をする。数時間城下町を探索し、夜に酒場で合流する
🙂「どうだった?」
🎤「全く情報なし。スマイルは?」
🙂「俺もなし。Nakamuとか他のメンバーらしき人を見た人はいなかった」
🎤「ダメかぁ~。ここじゃないのかな?」
落胆するきんときに持っていた地図を広げて見せるスマイル
🙂「可能性はある。持ってた地図を見た感じ近くの森を越えたとこに町があるっぽいし、そっちかもな」
🎤「となると、森を越えなきゃか。でもあそこの森、何かやべぇやついるらしいじゃん」
🙂「きんときも聞いたのか。呪術師の話」
🎤「大体聞く奴全員言ってたわ。何かやべぇ呪いを使う奴らしいじゃん」
🙂「ここの人達も困ってるって言ってたぞ。森の動物達もいなくなってるとか」
🎤「ワンチャン倒せないかな?倒せたら向こうの町にも行けそうじゃん?Nakamu達のことも気になるし、行ってみない?」
🙂「俺はいいけど」
🎤「じゃあ決まり。明日情報集めて行ってみよう」
この日二人は近くの宿屋に泊まり、次の日はまずお城に向かった
🙂「ここ、誰でも来れるんだ」
🎤「ね。一般人にも開放してる城って漫画とかゲームでもあんま見なくね?」
🙂「ないわけじゃないだろうけど、珍しいよな」
🎤「とりあえず使用人とかに話聞いてみるか」
二人は城で働いている使用人何人かに声をかけ呪術師について情報を集める
🎤「大体みんな言うことは同じだな」
ある程度話を聞き終わったところで二人は入り口まで戻り、話を纏める
🙂「人を不幸にしたり傷つける呪いを使う、動物を呪って使役している、呪われると死ぬまで呪われ続ける…なんていうか、いかにも悪役って感じだな」
🎤「だな~。いけるかぁ?」
🙂「やってみるしかないだろ。それに倒せばワンチャンみんな見つかってここなんとか出れるかもだし」
🎤「それあるなぁ。行くか!」
Nakamu達の情報を掴むべく、二人は森を越える為に森へと向かった
森の中へ到着する二人。森は木々によって日差しがあまり入らず暗い
🎤「視界わっる」
🙂「いかにも出そうだな。悪いやつ」
🎤「確かに。そこら辺にいそう」
二人が周りを見回すと、森の奥からローブを纏った人影が姿を現した
🎤「誰だ」
🙂「こいつ、呪術師じゃないか?」
🎤「こいつか!スマイル構えろ!」
🙂「わかってる!」
きんときが斧を構え、スマイルも本を召喚させる。それを見た呪術師は呪いの力を使った魔法で攻撃を仕掛けてきた
🎤「きんとき!それ絶対に当たるなよ!何の呪いかわかんないぞ!」
🙂「OK!任せとけって!」
飛んできた魔法をスマイルが魔法で相討ちにして消していく。その隙にきんときが斧で殴りかかる
🎤「おらぁっ!」
呪術師は避ける素振りも見せずきんときの斧攻撃をモロに受ける
🎤「おっ、手応えあり!」
🙂「気を抜くな!まだ倒れてない!」
🎤「わかってるって!スマイル援護頼む!」
🙂「了解」
攻撃を受けて後ろに飛んだ呪術師に追い打ちをかけるようにきんときが距離を詰める。相手が飛ばしてくる魔法を相討ちで落としながらさらにきんときを援護するようにスマイルが水の魔法を撃つ
🎤「もう一発くらえ!」
またも攻撃を避ける様子はなく、きんときの攻撃を受けて後ろに吹き飛ぶ
🙂「いいぞきんとき!倒せそうだ」
🎤「決めるぞスマイル!」
🙂「OK!」
弱った呪術師にトドメを刺すためにきんときが走り込む
🙂「行けきんとき!」
スマイルが炎の魔法できんときの斧に炎を纏わせる
🎤「これでトドメだぁぁぁ!」
その斧を呪術師に振り下ろし、弱ってた呪術師にトドメを刺す。すると消えていく呪術師から紫色の煙が出てくる
🙂「きんとき!下がれ!」
🎤「えっ?」
スマイルに叫ばれ、煙が下に充満していることに気づくきんとき。少し下がったところで足が全く動かなくなった
🎤「うそっ!動かない!」
🙂「きんとき!間に合えっ!」
走り込んできたスマイルがきんときに這い寄ろうとしていた煙を魔法のバリアで防ぐ
🎤「スマイル大丈夫」
🙂「大丈夫。多分…」
煙がバリアで弾かれ、少しずつ消えていく
🎤「なんなんだこれ」
🙂「多分呪術師の呪いだ…下手するときんとき死んでた…ぞ……」
煙が完全に消えたところでバリアが切れ、スマイルが倒れる
🎤「スマイル」
咄嗟に倒れたスマイルを支える。スマイルは目を閉じている
🎤「え、ちょっ、スマイルしっかりしろって!おい!おーい!」
声をかけるが全く反応は返ってこない。だが、呼吸は安定していて生きてはいるようだ
🎤「どうする?どうすればいい?」
動揺するきんときは少し悩んだ後、スマイルを連れて城下町の方へと戻ることにした
🎤「城にスマイルを連れていったら呪いとかに詳しい人がいて、その人に調べてもらったらマジで人を殺す呪いだったし、それを軽減したけど俺を庇って受けたスマイルは眠ってしまったってわけ」
🐼「そんなことがあったのか…じゃあこのスマイルがいる部屋は…」
🎤「城の借りてる一室。普通の入り方じゃ誰も入れないようにしてる」
今までのことを話し終え、お互い一呼吸置いてNakamuが口を開く
🐼「なあきんとき。このこときりやんとシャケにも話そう。きっと力になれるって。俺達仲間だろ?」
🎤「…そうだよな。なんか俺のせいだし俺がなんとかしなきゃ~って感じになっちゃっててさ。ごめん」
🐼「いいって。みんなで早くこの世界から出ないとだしな」
🎤「それもそうだな。よし、行くか!」
きんときとNakamuはスマイルのいる部屋を後にし、きりやんとシャークんの待つ部屋へと向かった
👓️「おっ、きんときじゃん!みんな心配してたぞ」
🎤「ごめんごめん。つい勉強に没頭しちゃってさ」
🦈『勉強?何してたの?』
🎤「それも含めて今から話すよ!Nakamuも座ろう」
Nakamuときんときが空いてるソファに座り、四人が丸くなるような形に座る。Nakamuときんときが先程のきんときとスマイルの話を二人にした
👓️「え、じゃあ現状スマイルも戦えないってこと?」
🎤「そういうこと」
🦈『もしかして俺が一番被害少ない?』
🐼「いや、シャケの声でないも相当だろ。意志疎通図りにくいし」
🦈『それもそうか』
👓️「んで、スマイル起こすにはどうすんの?あてとかあんの?」
🎤「現状わかんないんだよね。俺が魔法で何とかしようと思ったけどダメだったし」
🐼「きんときが魔法使えるのってそういうことか!」
🎤「あ、そっか。Nakamuにも言ってなかった!スマイルのために魔法勉強したんだよね。この世界、適性があれば勉強して多少なんとかなるみたいでさ。魔法ちょっとだけ使えるようになったんだわ」
👓️「確かにきんときって脳筋のイメージだから武器で殴ってそうだよな」
🦈『わかる』
🎤「お前らなぁ?」
🐼「はいはい話戻そうね!!」
Nakamuがパンパンと手を叩くと話を仕切り直す
🐼「とりあえず俺達の目標はまずスマイルを起こすこと!異議ある?」
👓️「異議なーし!」
🦈『異議なし!』
🎤「俺もなし。早く何とかしてやりたい…」
🐼「きんときは焦らない!一個ずつ解決していこ!俺達なら大丈夫!」
👓️「そうそう。なんていっても俺達ワイテルズですから」
🦈『謎の説得力』
🎤「…そうだよな!俺達6人でワイテルズだし。誰も欠けさせないよな!」
🐼「そういうこと!よし、明日から頑張るぞー!」
👓️🎤🦈「「『おー!』」」
こうして、全員の所在が一応わかったNakamu達はまずスマイルの回復を目指して町で情報を集めることにした
4人が一致団結した頃、Broooockは暗闇の中を一人進んでいた
📕「景色変わらなすぎでしょw僕壊れちゃうよぉ~~~」
暗闇のため全く景色が変わらない中、とにかく前に進むBroooock。景色が変わらないため前に進めているかどうかもよくわからない
📕「人恋しくなっちゃうって…Nakamuでも誰でもいいから突然降ってきたりしないかなぁ~………」
独り言をぼやきながら誰にも会えない場所で一人歩みを進めていくのだった
次の日、スマイルを起こす方法を探すために城下町で聞き込みをはじめる4人。半日ほど経って城の前で落ち合うとシャークんがある情報を拾っていた
🦈『実は昨日、森で動物が何かから逃げて行くのを見たって人がいた』
👓️「マジ?何かって何だ?」
🦈『わからん。詳しく聞いたけど、黒い靄みたいなのがかかっててよく見えなかったって』
🐼「黒い靄かぁ…いかにも怪しいけどな」
🎤「…もしかして、呪術師なのか?」
きんときがポツリと呟いた言葉に三人はきんときを見る
👓️「え、それってきんときとスマイルが倒したんじゃないの?」
🎤「そうだけど、簡単に倒れたからもしかしたらと思って…」
🐼「確かにきんときの話の感じからして、苦戦したってわけではなさそうだったよね。てことは、わざときんときとスマイルにやられたってこと?」
🦈『可能性でてきたか?』
🎤「ワンチャンあるかも」
👓️「もしそうだとしたらさ、そいつ倒せばスマイル起きんじゃね?」
きりやんの言葉に他の三人が顔を合わせる
🐼「そうじゃん!!まだ生きてるなら倒してみるが早そう!」
🎤「この人数なら絶対行ける。スマイルを助ける!」
🦈『きんときのやる気十分だし、行くか?』
👓️「行っちゃおうぜ。悩んでても仕方ないだろ」
🐼「よっしゃ、行こうぜ!!」
Nakamuを先頭に四人はこの城下町に来る時に通り抜けてきた森へと向かう
🦈『町からそんな離れてないところって聞いてるから、近くだと思う』
🐼「なんか数日前より暗く感じるね」
四人が進む方向からは戻ってきたはずの森の動物達が逃げ出してきている
👓️「確かに動物達逃げてんな。何かに怯えてるか?」
🎤「あれ、黒い靄じゃね?」
きんときが指を差した方向には一ヶ所に集まるように黒い靄がかかっている
🐼「間違いなさそうだな。みんな構えて!」
Nakamuの掛け声で全員が武器を構えると黒い靄から魔法の玉が飛んできた
🎤「みんな避けて!」
きんときが叫ぶと同時に4人は魔法の玉を避ける
🎤「スマイルと戦った時と同じならそれも呪いの一種だ!気をつけろ!」
🐼「OK!みんな!あいつ倒すぞ!」
👓️「当たり前だろ!行くぞシャークん!」
🦈『任せろ!』
きりやんとシャークんが先に二人で飛び出していく
🐼「きんとき行くぞ!」
🎤「おう!」
後からNakamuときんときが追いかけていく。呪術師の攻撃はこの前より激しく、本気のようだ
👓️「魔法飛ばしすぎだろ!!避けるのめんどい!」
🐼「これ以上スマイルみたいに呪いにかかるやつは増やせない!頑張って避けて!」
先陣を切るきりやんとシャークんが魔法を避けながら距離を縮める
🎤「これでも喰らえ!」
きんときの水魔法で呪術師の魔法を打ち消していく
👓️「ナイスきんとき!シャークん距離詰めるぞ!」
きりやんの掛け声にシャークんが頷き、魔法を打ち消している間に呪術師との距離を詰める。やっと武器での攻撃が届きそうだ
🐼「スマイルのために死んでもらう!覚悟!」
Nakamuが剣の攻撃を呪術師に入れる。すると呪術師が後方に下がり、また魔法の攻撃を繰り出す
👓️「また魔法かよ!!ウザすぎんだろ!」
🎤「俺がなんとかする!みんなは前を頼む!」
🐼「きんとき任せた!きりやん、シャークん行こう!」
Nakamu達はきんときに後ろを任せて魔法を避けながらまた距離を縮めていく
🎤「(俺がやる…!みんなを援護する…スマイルみたいにきっとできるはず!)」
味方に飛んでくる呪いの魔法を的確に水魔法で打ち消していくきんとき。おかげでNakamu達は前線を押し上げている
🐼「きりやん!シャークん!危ない!」
👓️「おわっ!一筋縄じゃいかねぇってか!」
先頭にいたきりやんとシャークんに突如現れたコウモリが襲いかかる。どうやら呪術師の攻撃のようだ
👓️「くっそ!邪魔だなぁ!」
🐼「うわっ!こっちにも来た!」
続けてNakamuの方にもコウモリが飛ぶ。各々武器で応戦しているが数に押されている
🎤「(魔法で攻撃したいけど数が多すぎる!それに対象がさっきより小さくて当たるか怪しい…外したらみんなに当てるかもだし、どうする……)」
きんときが魔法を撃つか悩んでいる間にも前線の三人はコウモリに押し戻されていく。更に呪術師が魔力を練っているように見える
👓️「おい!何かヤバいの来そうだって!」
🐼「きんとき!何とかなんない」
三人をきんときの近くまで押し戻し、コウモリは消える。とりあえずどうすればいいかを考えるきんとき。少しずつ大きくなっていく紫色の玉はどう見ても呪いの玉であることは確かだった
🎤「(このままじゃ押し負ける…かといってあの大きさの呪いは武器じゃ防ぎきれないし、当たったらみんな死ぬかもしれない。魔法で対抗するしか…ない!)」
覚悟を決めたきんときは魔力を一点に集中させる。呪術師は力を溜め終え、巨大な呪いの玉から魔法を発射させた
🐼「きんとき!!」
🎤「おらぁぁぁっ!」
Nakamuが危険を知らせる為に叫ぶとその呪いに対抗するようにきんときも水の魔法を発動させる。魔法と魔法が競り合い、一進一退のような感じになっている
🐼「いけっ!きんとき頑張れ!」
👓️「あんなやつに負けるわけないって!」
🦈『頼むきんとき!』
仲間達の声援に後押しされ少し魔法を押し返す。しかし、すぐに押し戻され逆に不利になってしまう
🎤「くっ…!負けるか!」
何とか押し返そうとするが力負けしているのか押される一方で、現状維持が精一杯だった
🎤「(このままじゃまずい…でも俺って魔法が得意なわけじゃないし、これが限度なのか…?)」
ジリジリと呪いがみんなに近づいてくる。このままでは時間の問題だ
👓️「ヤバいヤバい!きんとき逃げるしかないって!」
🐼「きんとき!一旦何とかして戻ろう!このままじゃ…!」
仲間達が心配し、撤退を促すがここまで来て諦めることはきんときには出来なかった
🎤「(このままじゃ全員呪いにやられる。そんなのダメだ。絶対にあいつを倒す!みんなを…スマイルを助けるんだ!)」
絶対に仲間を助けるという思いで再び呪いを押し返す
👓️「おおっ!」
🐼「いいぞきんとき!押し返してる!」
🦈『いけいけ!やっちまえ!』
みんなの応援で更に呪いを押し返していく。あと一歩というところまで来て、さすがの呪術師も本気で抵抗をしているようでトドメには至らない
🎤「くっ、あとちょっと…!」
?「(──きんとき。お前の力はそんなもんじゃないだろ?)」
🎤「」
どこからか知っている声が聞こえた気がしてきんときの口元が少し緩む
🎤「あぁそうだよ。お前みたいに魔法は得意じゃないけど、こんなやつには負けねぇよ!」
最後の一押しが通り、呪術師の魔法はきんときの水魔法に打ち消されそのまま魔法が直撃する
🎤「これで…本当に終わりだぁ!」
水魔法を被り弱った呪術師にそのまま斧を直撃させる。すると今度こそ呪術師は倒れ、塵になって消えていった
🐼「や、やったぁぁぁ!きんときやったぞ!」
👓️「やるやん!一瞬ヒヤッとしたって!」
🦈『最後かっこよかったじゃん!』
呪術師を倒したきんときに三人が駆け寄る。呪いもなく今度こそ本当に呪術師が消えたことにより森が明るくなっていく
🎤「倒した……やった!」
🐼「きんときワンテンポ遅いって!」
👓️「はははっ!実感後から来るタイプなんじゃね?」
🦈『きんときらしいかもな』
🐼「よし、とりあえず城下町に戻ろう!お城の人達にも報告してあげた方がいいし!」
🎤「うん。スマイルにも報告しに行かなきゃ」
こうして呪術師の討伐を果たした四人は一度城下町へと戻っていった
城へ戻った四人。きりやんとシャークんに城の人達等への報告をお願いし、きんときとNakamuはきんときの部屋から地下室へ向かいスマイルの部屋へと行くところだった
🐼「スマイル起きるといいな」
🎤「これで起きなかったら、俺どうしよ…」
🐼「大丈夫だって!ほら、元気だしてきんとき」
背中を軽く叩かれ一度深呼吸をするきんとき。スマイルの部屋のドアの前までやってきた
🎤「じゃあ、入るよ」
🐼「うん」
きんときがドアをノックする。いつものように返事はない
🎤「入るよスマイル」
ドアを開けて部屋の中へと入る。すると、二人は部屋の現状に動揺を隠せなかった
🎤「え…………………?」
🐼「スマイルスマイルは」
絶句するきんときと辺りを見回すNakamu。ベッドに居るはずのスマイルの姿が忽然と消えていたのだ
🎤「もしかして拐われた…」
🐼「だとしたらきっとまだ近くにいるはずだ!探そう!」
二人が部屋を出ようとした時、二人の名前を呼ぶ声がした
?「きんとき。Nakamu」
🐼🎤「「えっ?」」
きんときとNakamuが声のした部屋の外を見ると見覚えのある顔が立っていた
?「よぉ」
🐼🎤「「スマイル!!!」」
名前を呼ぶ声がハモり、Nakamuが笑顔を見せる一方で安心のあまりきんときがスマイルに飛びついた
🙂「うぉっ!落ち着けきんとき!」
🎤「落ち着けねぇよ馬鹿!お前どれだけ心配したと思ってんだよ!」
ちょっと泣きそうになりながらスマイルの腕辺りをギュッと掴んでいる
🙂「悪かったって。でもああするしかなかったんだよ。きんときが死ぬところだったんだし」
🎤「そうだとしても!いきなり倒れてさ…心配させんなよ」
🙂「だから悪かったって」
🎤「…スマイルの馬鹿」
🙂「はぁお前なぁ」
🐼「ふふっ…あはははっ!」
二人の言い合いを見て突然笑いだすNakamu。きんときとスマイルは言い合いをやめてNakamuの方を見る
🎤「Nakamu?」
🙂「おい何笑ってんだよ!」
🐼「いやだって…お前ら面白いなって…あははは!」
一人楽しそうに笑うNakamuを見て、二人も言い合いをする雰囲気ではなくなってしまった
🙂「はぁ…まあ変に言い合うことでもないか」
🎤「だな。Nakamuがそういうやつで助かるよ」
改めてお互いの顔をちゃんと見る二人
🙂「おはよう、きんとき」
🎤「おはよう、スマイル」
やっと落ち着いて挨拶を交わした二人を連れてNakamuはきりやんとシャークんが待つ居間のような部屋へと向かうのだった
🐼「きりやん、シャケ、お待たせ!」
👓️「おっ、お帰り!スマイルいんじゃん!」
🙂「きりやんとシャークんじゃん。もうほとんど勢揃いなのか」
居間に戻ってきたNakamu達はきりやんとシャークんと話すためにソファに座る
🦈『よおスマイル』
🙂「シャークんなんで筆談?」
🐼「そっか!現状を話しておかないと!」
NakamuがスマイルにBroooockのこととシャークんときりやんにあったことを説明する
🙂「なるほどね。じゃああとはBroooockを探すのとシャークんの声を取り戻すのか」
🐼「そういうこと!きりやんが襲われたタコを倒すにはスマイルがいた方が良さそうって言ったから」
👓️「だってお前魔法使えるっしょ?俺もきんときも多少使えるけど多分スマイルのが強いし」
🙂「え、待って。きんとき魔法使えんの?」
スマイルがきんときの方を見る。きんときがそういえば…と思い出したように話す
🎤「スマイルが眠ったあとに勉強したんだよ。そしたら多少使えるようになった」
🙂「マジか!俺と一緒に戦ってた時そんな雰囲気なかったからビビったわ」
👓️「まあそんなわけで魔法使えるやつがこれで揃ったわけだし、あのタコ倒しに行くかぁ!」
🦈『倒して刺身にしようぜ!』
👓️「おっ、いいねぇ刺身!酒のつまみにするか!」
きりやんとシャークんが盛り上がっているのを見てNakamuが宣言する
🐼「次の目標はタコ!!シャークんの声を取り戻すぞ!!」
👓️🦈🎤🙂「『「「おーー!」」』」
こうしてスマイルを取り戻したNakamu達は次の目標をシャークんの声を取り戻すことに決めた
その頃、暗闇を進むBroooockは…
📕「これどこまで続いてんの?僕さすがに飽きてきた」
代わり映えのない風景に参っているとどこからともなく声がした
?「結構諦め悪いんだね」
📕「え、幻聴?ついに僕ヤバい?」
きょろきょろと辺りを見るが、暗闇の中に人影はない
?「幻聴って…まあいいか。ここから先ずっと進んでも君が仲間達と出会えることはないよ」
📕「何か言ってる~。なんで出会えないとかわかってるわけ?」
人影は見えないが、なんとなく声がする方に向かって話してみた。すると…
?「…さあ。なんでだろう。いずれわかるよ」
📕「意味わかんない…何者なわけ?」
?「今は秘密。またそのうち会おう」
その言葉を最後に、それ以上は何も聞こえなかった
📕「今の何なの?ていうか誰?わかんね~~!」
頭をくしゃくしゃっと掻くと首を軽く振った
📕「しょうがないからもうちょっと歩くかぁ…」
謎の人物の声が気になりつつも、もう少しだけ進もうと決めたBroooockなのだった
次の目標としてシャークんの声を取り戻すことにしたNakamu達はひとまず城下町を後にし、森を抜けてもう一つの町の方へと戻ってきていた
🎤「こっちの町は城下町より小さめだね」
🙂「確かに。Nakamuやきりやんシャークんが目覚めたところはこっちのが近かったのか」
🐼「そっか!きんときとスマイルはこっち来たことないのか!」
辺りを見るきんときとスマイルにそうか!という顔をするNakamu。きりやんとシャークんが先導しながら拠点となる宿屋へ向かっている
👓️「小さめっつっても酒場は何ヵ所かあるし、町にしてはでかいけどな」
🦈『だな。そろそろ着く』
少し歩いたところで宿屋に到着し中に入る。受付の人はNakamu達のことを覚えていたようで、快く迎え入れてくれた
🎤「Nakamu達知り合いなの?」
🐼「俺っていうよりきりやんとシャークんかな」
👓️「シャークんが気を失った俺を運んでくれた場所がここなんだよ」
🦈『町の入り口から近くて目に入ったのがここだった』
🙂「なるほど。そういうことか」
宿屋の一室を借り、作戦会議をはじめる5人は適当に座った
🐼「次の目標はシャケの声を奪った化物タコだけど…なんか有力な情報とかあるの?」
👓️「俺とシャークんがこの町の酒場で聞いてた時はほとんど何もなかったな。だよなシャークん?」
🦈『なかった。そもそもそんなタコ見たやつすらいなかった』
きりやんとシャークんの話にう~んと唸るきんときが話を続けた
🎤「不思議だね。俺とスマイルの時は呪術師の噂を嫌というほど聞けたのに、タコの噂は全くないなんて」
🐼「確かに。俺とBroooockの会った魔物は嵐のように去ってったから何もなくてもわかるけど、タコはそこにしか居座ってなさそうだし、普通何かありそうだよな」
🙂「きりやんとシャークんが狙って襲われたとか?他の人が行っても何も起こんないんじゃね?」
スマイルの言葉にそうかも?と考えるようにシャークんが顎に手を当てる。きりやんも確かにと言わんばかりに腕を組む
👓️「マジか。もしそうだったとしたら確信犯がいるってこと?」
🦈『そもそも俺らがこうなってる時点で黒幕的な犯人はいるだろ』
🐼「俺もそう思う。じゃなきゃBroooockも狙って拐われないだろうし」
🎤「あの呪術師も誰かの差し金だったなら、俺とスマイルが襲われたのも誰かの企みってこと?」
🦈『可能性あるな』
5人はこの世界に来た時のことについて考えてみる
🐼「なんか核心に近づいてる気がする。そもそも俺達がこのゲームの中にいること自体おかしい!」
🙂「ていうか一緒のゲームをやろうとしてさ、起きた時点ですでにバラバラなのおかしいだろ。しかも互いに何かしらに襲われてるし」
👓️「そうだよなぁ。誰かが裏で糸を引いてるとしか思えない」
🦈『誰が俺達をこんな目に合わせた?』
👓️「わからん!今この状況じゃ情報が少なすぎる」
🎤「とりあえずシャークんの声取り戻してBroooock見つけてからでもこの話はいいんじゃない?」
きんときの言葉にみんなが納得し、話を戻す
🐼「それもそうだ。まずは仲間優先しよう!タコ倒そうタコ!」
🙂「とりあえず情報足らないからもう一回聞き込みするところからだろ」
🦈『だな。スマイルの意見で異議なし』
🎤「異議なし!」
👓️「なんとしてもシャークんの声は取り戻す!異議なし!」
🐼「きりやんは落ち着いて。呪術師の時と同じようにみんなで協力すればきっと大丈夫。それじゃ、情報収集に行こう!今回は宿屋で落ち合おう!」
こうしてまずは情報収集をするべく、5人はバラバラで町へ向かっていった
その日の夜、聞き込みした情報を宿屋で交換していた
🐼「とりあえずみんなの情報まとめよう!俺は新情報特になし!」
🙂「Nakamuと同じく情報なし。きんときは?」
🎤「Nakamuスマイルと同じくなし」
🦈『俺もなかった。きりやんは?』
👓️「なかったわ。俺達が襲われた時以外マジで出てきてないっぽい」
🐼「てことは、行ってみるしかないか」
Nakamuの言葉に4人も頷く
👓️「行ってぶっ飛ばしてきたほうが早そう」
🎤「それな?出てきたタコをフルボッコにしてやろうぜ」
🦈『この人数なら倒せるだろ』
🙂「じゃあ行こうぜ。さっさと倒してBroooock探そう」
🐼「よし。じゃあ明日朝イチで海辺に向かおう!」
こうして5人は化物タコを直接倒しに行くことにした
翌日、海辺へと向かった五人は砂浜で足を止めた
👓️「俺が最後に気絶してたのここら辺じゃね?」
🦈『そこだわ。多分もう少し海に近づくと出てくる』
🐼「OK。みんな準備はいい?」
🎤「任せとけって!」
🙂「魔法での援護は任せろ」
🐼「きりやんとシャークんもOK?」
👓️「勿論。ぜってぇ倒す!」
🦈『OK』
🐼「よし、行くぞ!」
Nakamu達が海に数歩近づくとたちまち辺りに暗雲が立ち込める。次の瞬間、海にできた渦から10本の足を持ったでかい化物タコが現れた
🐼「こいつが化物タコか」
🐙「来たな異界の人間!」
👓️「なっ…!こいつシャークんの声で喋ってやがる!」
前にきりやんとシャークんが戦った時は全く喋れなかったタコが聞き慣れたシャークんの声で流暢に喋っている
🦈『てめぇ!』
🐙「声奪ったら喋れるようになったんでね!」
👓️「タコがシャークんの声で喋ってるの違和感ありすぎんだよ!」
🐼「そうだぞ!シャケの声返せ!」
喋れるようになったタコと言い合いをしてる3人を横目にスマイルが本を開いて構える
🙂「さっさと倒すぞ!きんとき!」
🎤「OK!任せろスマイル!」
斧を握ったきんときが砂浜を蹴り、言い合いをするタコに殴りかかる
🙂「言い合ってないで戦え!ほらっ!」
スマイルが放った炎の魔法がタコときんときの斧目掛けて飛んでいく
🎤「こいつをくらえぇぇ!」
スマイルの魔法で炎を纏った斧でタコの体に殴りかかる。言い合いをしていたタコは足でその攻撃と魔法を防ぐ
🐙「言い合ってるところに攻撃するな!」
🙂「勝てばいいだろ勝てば」
🎤「そうだそうだ!人数有利は最大限に活かさないと!」
🐙「人数有利か。この足の数に勝てるかな?」
そう言ってタコが足をうねうねとさせる
👓️「1人2本相手にすれば問題ねぇんだよ!」
🦈『今度は負けねぇ!』
🐼「かかってこい!化物タコ!」
Nakamuの挑発でタコの足が各々に襲いかかる
🐼「こんなの当たらないっての!」
👓️「前に比べたら楽勝だから覚悟しとけ!シャークんの声はぜってぇ返してもらうからな!」
言った通り足を二本ずつくらい相手をして防ぐ五人。なんとか戦えてはいるようだが、楽勝ではなさそうだ
🐙「これでは防戦一方だぞ?先ほどの威勢はどうした?」
👓️「ちっ!調子乗りやがって!」
🐼「でも実際足以外攻撃できてないぞきりやん!」
👓️「わかってるけど!」
そんなことを言っているうちになんとか防いでいたシャークんとNakamuに変則的な足の攻撃が襲いかかる
🐼「うわっ、ヤバッ!」
🙂「Nakamu!シャークん!」
二人を攻撃しようとする足を咄嗟に炎魔法で攻撃し、攻撃を中断させる
🦈『助かった』
🐼「サンキュー!スマイル!」
👓️「やられてばかりじゃいられねぇよなぁ!」
足を二本弾いたきりやんがそのままタコの本体に向かって走り出す。それを見たシャークんも足を弾いてあとに続く
🐙「身の程知らずだな!」
弾かれた足で二人の攻撃を遮断しようとするがそれを軽々避ける
👓️「まずは一発!」
きりやんの槍のような切っ先とシャークんのサバイバルナイフの攻撃が通る。傷がついたタコは怒っているようだ
🐙「よくもやったな!許さんぞ!」
🐼「うわっ、津波」
怒ったタコが津波を起こし、五人の方へと迫ってきた
🙂「防ぐぞ!きんとき!きりやん!力貸せ!」
🎤「OK!Nakamuとシャークんは下がって!」
👓️「三人いればなんとかなるっしょ!」
スマイル、きんとき、きりやんの三人が魔法のバリアで津波を弾き返す
🐼「反撃開始だ!行くぞ!」
Nakamuときんときが駆け出し、そのあとをきりやんとシャークんが追う
🐙「雑魚がちまちまと!」
タコの足がそれぞれに襲いかかるのを軽々かわしながらタコへと飛ぶ
🙂「これでもくらえ!」
突撃する四人を援護するように氷の魔法を放ったスマイル。タコは飛んできた魔法を足で防ぐ
🙂「かかったな!」
🐙「なにっ!」
攻撃を防いだ足元の水を魔法で凍らせ、動けなくする
👓️「スマイルやるぅ!」
🦈『ナイス』
🎤「これなら行ける!Nakamu!」
🐼「OK!行こうきんとき!」
動けなくなったタコに追い討ちをかけるようにNakamuときんときが飛び込み、剣と斧で攻撃してダメージを与える
🐙「くそっ!よくもっ!!」
怒るタコを余所にその前を飛ぶ二人の影が見える
👓️「行くぞシャークん!ぜってぇ声は返してもらう!」
🦈『覚悟!』
きりやんの槍とシャークんのサバイバルナイフがタコに直撃し、氷った水が溶けると同時に足がへなへなと力なく水の中に潜っていく
🐼「トドメいけ!きりやん!」
🎤「決めちゃえ!」
👓️「おっしゃ!これでトドメ!」
🐙「うわぁぁぁぁぁ!それだけは勘弁してください!」
弱ったタコにトドメを刺そうとしたところで、さっきとはうってかわってでかい頭を下げてきた
🙂「命乞いか?」
👓️「は?そんなことしてもシャークんの声奪ったんだから許すわけないだろ」
🐙「声なら返します!返しますから許して!でも返したら喋れなくなるからその前にせめて弁明を…!」
必死に頭を下げるタコを見て五人は困惑しながらも話を続ける
🎤「弁明…?どゆこと?」
🐙「自分、普段はこんな態度でかいタイプではなくて…全部命令されてやっていて、声を奪ったのもその一環だったんです!ほんとなんです!」
🐼「命令された?それって誰に?」
🐙「顔は見たことないです…隠していて見えなかったですが、男の人でした。力をやるからお前たちを襲えと…」
🙂「なるほどな。嘘…ではないか」
🎤「嘘をついてるようには見えないけど…ね、Nakamu?」
🐼「うん。そいつが黒幕の可能性が高そうだな。他に何か知ってることは?」
🐙「あとは闇の中を行き来して色んなところに顔を出しているということしか…これしか本当に知らないんです!許してください!」
今回の出来事について洗いざらい吐いたタコは足を二本再び海から出し、先端をシャークんに向けると光が喉へと向かう。最後まで謝りながら声をシャークんに返し、海へと帰っていくのだった
🦈「…わっ!声出たわ!」
🐼「シャケだ!!俺たちの知ってる体で喋るシャケだ!」
🙂「やっとまともに会話できんじゃん」
🎤「よかったよシャークん。これで意志疎通図れるもんね」
🦈「確かに?これでこいつらともおさらばだな」
喋れるようになったシャークんはリングノートとペンをしまう
👓️「シャークん…」
🦈「きりやん。心配してくれてありがとな」
👓️「いやまあ仲間だし?当然じゃん?」
🦈「ははっ!それもそうか」
👓️「いやそこはもうちょい疑ってくれよ!」
🦈「え?」
👓️「いや、え?じゃないだろ!おい!」
相変わらず喧嘩しそうな雰囲気だが、目を合わせた次の瞬間二人で笑いだした
👓️「あはははは!やっぱシャークんとはこうじゃなきゃな!」
🦈「っはははは!そうかもな!」
仲良く笑い合う二人を見守る三人。キリがよさそうなところでNakamuが口を開いた
🐼「とりあえず目標は達成したし、一旦戻ろう。情報も整理したいしな」
🎤「だね。なんか情報もあったし」
👓️「だなぁ。宿屋戻ってシャークんが喋れるようになったの聞かせて驚かせようぜ!」
🦈「面白そうだな。お世話になってる宿屋だし声が戻ったこと喜んでくれるかもな」
そんなことを言って再び笑い合うきりやんとシャークん。タコの件について一段落ついた五人は一度宿屋へと戻ることにした
宿屋へと戻った五人は宿屋の人におめでとうと祝わってもらいながら部屋に戻り、先程のタコの話を整理するため丸くなって座った
🐼「さっきのタコの話からすると、黒幕は男で誰かは不明。名前もわかんなそうだったな」
🎤「あとは闇の中を行き来してるとかなんとか。どういうことなんだろうね?」
👓️「わかんね。でもあのタコは脅されてたんしょ?」
🦈「言い分的にはそんな感じだったな。それで俺の声奪ったわけだし」
🙂「てことは俺ときんときが倒そうとしてたあの呪術師もなのか?よく考えてみれば悪い噂はいっぱい流れてたけど、誰一人襲われたってやつはいなかったな」
🎤「確かに!傷つける呪いがあるって噂もあったけど、実際傷ついたやつはいなかったな」
🐼「てことは、完全に俺達を狙ってるってことか」
う~ん、とNakamuが唸るとスマイルが気になったことを口にする
🙂「そういえばさ、NakamuとBroooockが襲われたのってそこの草原だよな?」
🐼「ん?そうだけど?」
👓️「それが何だよスマイル」
🙂「いや、おかしくね?だってさ、タコや呪術師は居る場所が固定されてたからわかるけど、Nakamu達が襲われたところって見晴らしのいい草原だぜ?雑魚の魔物共が居座る場所もないし、かといってその量が草原大移動してたら一人ぐらい目撃してるやついるだろ」
🦈「それは一理ある。俺達のタコは場所が町から離れてて見えにくいし、呪術師は森だから行かなきゃ見えないしな。それに比べて見晴らしのいい草原は目撃してる可能性高いよな」
👓️「言われてみれば俺とシャークんがここで聞き込みしてた時、魔物を見たって話は聞かなかったもんな」
🎤「ということは、NakamuとBroooockが襲われた時にいた魔物達って闇の中を通ってきた…?」
五人が顔を見合わせる。お互いに頷いて状況を理解する
🙂「その可能性が高いだろ。それにNakamu達がきんときと合流した時も襲われたんだろ?」
🎤「確かに襲われてた。でもあの森ではその時以外魔物は見てないね」
👓️「もう確定じゃね?黒幕が闇の中を通して魔物達にNakamuとBroooockを襲わせたんだろ」
🐼「…待てよ?てことは、Broooockが連れ去られた闇の世界は………黒幕のいる闇の中と同じってこと?」
👓️「次の行き先、決まったな」
そう言ったきりやんの方を見てNakamuは強く頷いた
🙂「でもどうやって行くんだよ?闇の中ってその黒幕と魔物しか行き来してなさそうだろ」
🎤「もう一回魔物に襲われれば行けそうだよな」
🦈「とりあえず手がかり探しに最初にNakamuとBroooockがいた草原行ってみる?」
🐼「そうしよう。今日はシャケの声を取り戻したし、とりあえず休もう。明日の朝行ってみよう」
こうしてBroooockと黒幕の足取りを追うべく明日はNakamuとBroooockが目を覚ました見晴らしのいい草原へ向かうことになった
Nakamu達が核心に迫っている頃、Broooockは闇の中をとぼとぼと歩いていた
📕「はぁ~~~~…ほんとに何も見えてこないじゃん。さっきの人の言う通りかよ~」
前に会った謎の人物の言葉を思い出すBroooock。無限に続く暗闇にさすがのBroooockも限界を迎えていた
📕「どうしよう…Nakamu達今何してるかな…」
足を止めたBroooockの前に謎の人物が姿を現した
?「会わせてあげてもいいよ。まあ俺の言うことを聞くならだけど」
📕「誰」
?「誰だと思う?まあさっき会ったけど」
声を聞く限り先程の謎の声の人物で間違いないようだ。今度は下半身だけだが姿がはっきりと見える
📕「さっきの人?」
?「そう。そろそろ一人で歩くの限界でしょ?みんなに会わせてあげるよ」
📕「今言うこと聞くならって言ったじゃん。怪しい~」
?「ちゃんと聞いてたんだ。じゃあ力づくだな」
謎の人物が薙刀を構える
📕「やるなら僕だってやるし!」
両手剣を構えるBroooock。謎の人物は余裕そうな雰囲気を出している
?「それならそれで俺は構わないよ。あ、俺はeoheohね」
📕「えぇっ」
次の日の朝、見晴らしのいい草原に来た五人はNakamuとBroooockが襲われた辺りをうろうろしていた
👓️「何かねぇかなぁ~」
🦈「辺り一面草原だしな…あっても岩とか石とかだし」
🙂「何もなさそうじゃね?」
🐼「うーん、でもここ以外で探せるところってあとは二回目に襲われた森くらいだし…」
🎤「…あれ?何か聞こえない?」
きんときの言葉で全員が耳を澄ませる。風の音とは別に人の声らしきものがどこからか微かに聞こえてくる
🐼「確かに…なんか人の声らしきものが聞こえる!」
🙂「どっからだ?」
👓️「微かにしか聞こえないけど、そんな遠くなさそうだよな」
みんなで声の出所を探す。数分してシャークんが声の出所を見つけた
🦈「ここだ!何か変な亀裂があるじゃん!」
🐼「ナイスシャケ!こんなんわかるか!」
👓️「ぜってぇ見落とすわこんなん」
草原にある少し大きめな岩に謎の亀裂があり、亀裂から見える向こう側は真っ暗のようだ
🎤「声も聞こえるね」
🙂「二種類くらい声聞こえるけど、これ片方Broooockじゃね?」
全員が耳を澄ませ、亀裂の向こうから聞こえる声に集中する。すると微かに声が聞こえてきた
📕「……名前…って正体…………なんて……だろ!」
🐼「Broooockだ!!間違いない!」
?「……べつに………言って………って思って………だけ……」
🎤「ってことは、今の声は黒幕のやつ?」
👓️「可能性高いよな。だって黒幕のやつも闇の中を行き来してんだろ?」
🦈「Broooockの名前読んでみようぜ?聞こえるかも」
🐼「よしっ!みんなで呼ぼう!せーのっ」
🐼🦈🎤🙂👓️「「「「「Broooock」」」」」
📕「突然名前言って正体を明かすなんてずるだろ!」
👽️「いやべつに…名前言ってないなって思って言っただけだし」
名前を聞いて驚いたBroooockだったが、攻撃はしっかり受け止めて弾き、難を逃れていた
📕「それでもずるでしょ!しかも知ってる人!!」
👽️「そんな驚くとは思わないし」
📕「驚きます!!」
?「Broooock!」
文句を垂れていると何処からか名前を呼ばれた気がした
📕「あれ?今僕のこと呼んだ…?」
👽️「そんなわけない……ん?まさか」
eoheohが辺りを探りはじめる。上を見て固まったところを見てBroooockも上を向く
📕「あ!!Nakamu」
二人が見る上には微かに亀裂が入っており、そこから外の世界が見える。何となくだがNakamuっぽい人が見えたのが確認できた
👽️「あの魔物共のせいか。これだから雑魚は嫌いだ」
📕「Nakamuがいるとこに帰れんじゃん!!」
👽️「行かせない」
📕「邪魔させないし!」
邪魔をしてくるeoheohをなんとか撃退し、亀裂のある方へ地面を蹴って飛ぶBroooock
📕「Nakamuーー!!!」
🐼「声、聞こえたかな?」
🎤「どうだろ?こっちからじゃ向こうは暗くてよく見えないし」
👓️「だな。とりあえずもう一回呼ぶか?」
もう一回Broooockの名前を呼ぼうとしたその時
📕「Nakamuーー!!!」
🐼「Broooock!!」
🙂「今のBroooockの声だったぞ!さっきよりはっきり聞こえてね?」
🎤「近づいて来てんじゃね?」
🐼「Broooockこっちだ!」
Nakamuが亀裂の隙間から手を伸ばす
🦈「届くか」
🙂「届かせろNakamu!!」
👓️「Nakamuいっけぇぇぇぇ!」
亀裂の隙間から伸ばされたNakamuの手に気づいたBroooock
📕「これで帰れる!」
👽️「行かせるか!」
Broooockを追いかけて飛んできたeoheohが薙刀を投げ飛ばす。かなりのスピードで飛ばしてきている
📕「間に合うもん!」
BroooockがNakamuの手をしっかりと掴む
🐼「Broooockの手掴んだ!」
🎤「今だ!引っ張れ!」
四人がNakamuを引っ張り、そのままBroooockを引き上げる
🐼📕🦈🎤🙂👓️「「「「「「うわぁぁぁぁ!!!」」」」」」
引っ張った勢いで後ろに倒れる五人の前にBroooockも倒れこんだ
🐼「Broooock!!」
📕「Nakamu…みんな…!」
感動の再会を喜び合おうとしたその時、六人の横に薙刀が突き刺さった
🎤「薙刀」
📕「そうだ!あいつ追いかけてきてる!」
Broooockが亀裂のあった方を振り向くと、追いかけてきたeoheohが立っていた
👽️「結局みんな揃っちゃうのか…まあ仕方ないか。こうなったらここで倒すしかない」
体勢を立て直したNakamu達は薙刀を抜くeoheohと正面から向かい合う形になる
🐼「どうしてeoheohさんが…?」
👓️「つーか、黒幕ってえおさんなの…?」
👽️「いやまあ、この状況見て黒幕じゃないなんてことある?あとなんでここにいるかはそっちと変わんないと思うよ」
薙刀を構えるeoheohに動揺を隠せないNakamu。Broooock以外の他のメンバーも驚いてはいるようだったが、各々武器は構えていた
🎤「やろうNakamu」
🐼「きんとき正気か」
🎤「めっちゃ正気。理由はどうあれBroooockが襲われていた以上、今はやるしかないっしょ」
🐼「それはそうだけど…」
🙂「悩んでる暇ないぞ!」
👓️「やんなきゃこっちがやられんだよ!それに俺達元の世界戻るんだろ?こんなとこで死ねるかよ!」
🦈「全員集まったんだから戦っても勝てるって!な?」
四人の言葉にどうするか悩んでいるNakamuの横にBroooockが立つ
📕「僕一人じゃ無理かもだけど、Nakamu達とならいけるよ!それに、僕らと同じ理由でここにいるなら、倒して事情聞けば何かわかるかもじゃん!」
🐼「Broooock…そうだよな。うん。やろう!」
eoheohに改めて向き合うNakamu。覚悟を決め剣を構える
🐼「俺達は元の世界に帰るんだ!行くぞ!!」
📕🦈🎤🙂👓️「「「「「おう!」」」」」
👽️「俺にも負けられない理由があるんだよね。全員まとめて相手してやるよ。White Tails!」
こうして全員揃ったWhite Tailsの最後の戦いが始まった
👽️「こっちから行くぞ。おらっ!」
eoheohが薙刀を持ってこちらへと走り込んでくる
🎤「スマイル援護頼む!」
🙂「OK。任せろ」
それを防ごうときんときが走りだし、後ろからスマイルが炎の魔法を何発も撃つ
👓️「俺達も行くぞシャークん!」
🦈「おう!かましてやろうぜ!」
その後ろからきりやんとシャークんが特攻を仕掛ける
🐼「Broooock!俺達も!」
📕「おっけ~!やっちゃうよ~ん!」
さらにその後ろをNakamuとBroooockが追いかける
👽️「そんなんで倒される俺じゃないよ」
きんときの斧を弾き、スマイルの魔法を薙刀で斬って消していく。そのまま特攻を仕掛けてきたきりやんとシャークんを薙刀で受け止め後ろへ弾く。後からきたNakamuとBroooockに斬り込み、二人ともそれを避けるように一度後退する
🐼「やっぱ一筋縄じゃいかないか…」
📕「Nakamuどうする?僕もあんまり戦ってないから弱点とかわかんないけど…」
🐼「う~ん……」
👓️「悩む必要なんかないだろ!!」
悩む素振りを見せるNakamuにeoheohと戦っているきりやんが叫ぶ
👓️「二人でダメならみんなでやるだろ!」
🦈「俺達、六人でワイテルズだしな!」
🙂「やっちまおうぜ!」
🎤「行こうNakamu!」
きりやん、シャークん、スマイル、きんときの声を聞いてNakamuが悩むのを止める
🐼「そうだよな。俺達全員でならなんとかなる!」
📕「やろうNakamu!」
🐼「おう!行くぞみんな!」
Nakamuの掛け声で戦っていた四人が一度下がり、体勢を立て直す
👽️「何度やっても変わんないでしょ」
🐼「それはどうかな!頼むスマイル!」
🙂「OK」
Nakamuの号令でスマイル以外の五人がeoheohに向かって走り出す。スマイルは後ろから氷、炎、風、水、雷の魔法を放ち、その後に闇の魔法を撃つ
🐼「サンキュースマイル!みんな一斉に行くぞ!」
スマイルの魔法がそれぞれの武器に宿り、氷を纏った剣をNakamu、炎を纏った両手剣をBroooock、風を纏ったサバイバルナイフをシャークん、水を纏った斧をきんとき、雷を纏った槍のような杖をきりやんが構え、一気に襲いかかる
👽️「数でゴリ押しなんてさせるか!」
全員の攻撃と魔法をなんとか薙刀で凌ごうとするが、さすがに耐えきれず押されてしまう
👽️「くっ、これくらいで…!」
👓️「おら!隙あり!」
🦈「こっちだこっち!」
押されたところをすかさず、きりやんとシャークんが攻撃を撃ち込む
👽️「っ……!」
🎤「まだまだ!」
🙂「こっちもくらえ!」
きんときとスマイルもそのまま斧と魔法で攻撃を当てる
👽️「くそっ……!」
📕「まだあるよ~!」
🐼「はぁぁぁっ!」
怯んだところにさらにBroooockとNakamuが攻撃をし、完全に体勢を崩す
👽️「しまっ……」
🐼「今だ!!みんな!!」
📕「OK~!」
🦈「任せろし!」
🎤「決めるよ!」
🙂「わかった」
👓️「やっちまえ~!」
その隙を見逃さず、総攻撃を仕掛ける。さすがのeoheohも防げずその場に膝をつく形となった
👽️「…………やるね」
🐼「俺達六人が揃えば、これくらいならなんとかなりますから」
👽️「はぁ……やっぱ最初にやらなかったのが失敗か」
🐼「失敗って、何が……」
Nakamuが問いかけようとした時、闇の世界との亀裂があったところから光が漏れだす
👓️「なんだ」
🎤「なんか光ってるよ」
やがて亀裂が丸いワープホールみたいなものに変わり、光も収まった
🦈「なんだったんだ……?」
👓️「わかんね。けどなんか帰れそうな雰囲気じゃね?」
ワープホールはどうやら元の世界に繋がっているようで、これで元の世界に帰れるようだ
🐼「そういえば、eoheohさんは?」
みんなは辺りを見回すがeoheohの姿は見当たらなかった
👓️「どこか消えたんじゃね?」
🦈「とりあえず戻ろうぜ。これが消えない保証もないし」
🐼「う、うん。そうだな」
eoheohのことが気になるNakamuだったが、ひとまずワープホールでみんなと一緒に元の世界へ帰ることにした
🐼「見慣れた部屋だぁ……」
ワープホールに入った後、パソコンからひょいっと放り出されたNakamu。なんとか椅子に着地するとそこはいつも撮影をするために使っている部屋だった
🐼「はぁ…それにしても、ハッピーエンドなのかな?」
一番最初に言われた言葉を思いだして、ハッピーエンドとは何かを考える
🐼「eoheohさんを救わないとハッピーエンドじゃない気がするんだけど、どういうことなんだろう。俺達に対するハッピーエンドだけでいいのか?」
悩むNakamuを他所に、スマホからメンバーの連絡が来る
🐼「っとと、撮影しなくちゃ!とりあえず撮影終わったら話をするか」
こうしてWhite Tailsは日常へと戻っていったのだった
HAPPY END…?