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    マトマトマ

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    マトマトマ

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    トネさんにはとても酷いことをしたと思っています、ごめんなさい

    虜にされたのは「ふ、んっ……」
     
     湯に当てられ上気した頬。触れた場所にぴたりと吸い付いてくるような軟い肌。そして、自身の指先一つで悩ましげに揺れる、濡れた湖の瞳。
     それら一つ一つにどうしようもなく心踊らされながら、シミひとつない美しい背中を自身の胸板で迎え入れる。目の前に広がった銀の混ざった金の絹糸に顔を埋めて、その下の純白のうなじに吸い付いた。
     
    「はぁっ、あ、ぁぁ」
    「……声、抑えて。受付の人に聞こえちゃうでしょ?」
     
     彼女の肌から吸い取った湯の感触を楽しみながら、存在を主張する胸の先端をくりくりと弄ぶ。いつも凛々しかった声音は、それだけでいとも容易く蕩けていった。
     けれど悦びに震える甲高いその声音は、ここを貸切にしてくれたという気前のいい女将にさえ聞こえてしまいそうだったから、真っ赤な可愛らしい耳に向かって囁いた。
     
    「っ……ふ、ん、んんぅ……」
     
     ちゃぷちゃぷと、彼女の身体を愛撫するのに合わせて波立つ水音にさえ溶け込めない、その声音。桜色の薄い唇が、必死になってそれを抑え込もうとする様はとてもいやらしくて、喉がなった。
     
    「っ……!!だ、だめ、りつ、かっ……」
     
     自分に似て押し殺してばかりだから、何よりも聞き逃さないようにしていた彼女の呼び声は、何故かとても遠くに聞こえる。だからぎゅっと彼女の腰に回していた手を、細い二つの足の狭間に差し込んだ。
     
    「ぁっ……」
     
     湯船のせいで、腕の中の彼女の状況はよくわからない。けれど、つぷりと差し込んだ一本の指は、湯船よりも熱い隙間に酷く簡単に飲み込まれていって。
     
    「ふ、んんぅっ……!!」
     
     入り口を浅く何度も行き来すれば、彼女の上体が段々と湯の中へ沈んでいく。快楽に耐えようとするその仕草がやはり酷く可愛らしくて、もう片方の腕でぐいっと起き上がらせた。
     
    「こ、の……っ……!やぁっ、あっ、あっ……ちくび、やぁっ、あぁっ……」
     
     かりかりかり。じゅぶじゅぶじゅぶ。
     
     可愛らしくもいやらしい音を立てる彼女の肢体。それを隠そうとする無意識な仕草を全て台無しにして、彼女の無防備となった急所を執拗に虐め続ける。
     すると、『だめ』とか『まって』とか。明らかに身体とは違う反応が返ってきて、そういう姿を見るのが酷く心地よかった。
     
    「っ……ばか……ばかぁ!!こんなのっ……むり、む、りっ……っ――~~――……!!」
     
     びくん、びくんと彼女の身体が大きく跳ねた。その後、細く小さい身体が何度か小刻みに揺れて、脱力した。
     
     ――ああ、これは。
     
     抱き心地のいい身体を一度ぎゅっと抱きしめてから解放すると、彼女は蕩けきった表情でこちらを見上げていた。
     
      ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

     力の入らない少女の身体に、ゆっくりと口付けを落とす。余韻が響く身体はその感触にさえぴくぴくと震えていて、正直、とても欲が唆られた。
     
    「っ……」
     
     彼女もそれを感じ取ったのだろう。なにせ、腰には猛った自身の分身が押し当てられているのだから。
     だが少女はそれを忌避するでもなく、背中越しに細い指先でその熱に触れ、囁いた。
     
    「……へんたい。……でも、苦しそうなのは、かわいそう、ですから」
     
     指先で猛った分身を柔く包み込みながら、欲に塗れた眼差しで、そんなことを言う。熱っぽいその誘惑は、平時であれば断れるものではない。
     だが――
     
    「俺のより、君のここの方が大変そうだけど?」
    「ひぁ、あっ……!?」
     
     湯の中で彼女の胎内に向けて指を再び蠢かすと、小さな身体は弓のようにしなって震えた。
     ごぼごぼ、と湯船が荒ぶるのを気にせず、中で指を折り曲げて内壁を押したり撫でたりした。
     
     ――ああ、早く繋がりたい。繋がりたいけれど。
     
     彼女のこの身体を、もっと虐めたい。
     いじめにいじめ抜いて、彼女の――しい表情がぐちゃぐちゃになってから。
     この狭い膣に自身の分身を押し込んで、その美しい声音を鳴かせたい。
     
     その為に彼女の心地いい胎内の熱を、もっともっと、火傷してしまいそうなほど蕩さなければならない。
     
    「っ……んんっ、そ、それっ……きも、ちぃっ……」
     
     ――ああ、だけど。本当に。
     
     この少女は、どうしてこうも簡単にこちらの理性の枷を壊していくのだろう。
     
     湯の抵抗を受けながらも、彼女の細い腰をぐっと持ち上げて、縁石の上に乗り上げる。そして軟い桃尻から伸びる力の入らない両足を、ぐいっと大きく広げさせる。
     その後、瑞々しい太ももを一ミリも閉じれないように自身の両足で固定して、彼女の大事な場所を無防備に晒させた。
     
    「ちょ、ちょっと……こ、これは調子にのりすぎっ……」
     
     足の中心にある秘所は、あのたった一度の絶頂でぱくぱくと開閉を繰り返して、あるものを望んでいた。
     だがその蜜壺が求めているものは生憎とまだ差し出すことはできず、自身が求めているものも、また違った。
     
    「ま、まさ、かっ……そんな、ひど、いこと……」
     
     この一連の準備の意図を悟ったのだろう。恐る恐る振り向く彼女の表情はとても怯えていて――けれど、これから訪れるであろうどうしようもない快楽に期待していた。
     
    「気、やっちゃだめだよ」
    「っ、ど、どの口で……」
    「声も、ね」
    「ひゃん……あぁ……」
     
     白いうなじに浮かぶ汗にじゅうっと吸い付きながら、両足の中心――その更に中心の、ぴんと硬度を持った先端に指先をあてる。
     触れただけでくちゅり、となる音に言いようもない興奮を覚えながら、薄い膜から丁寧にその芯を晒させた。
     
    「っ――ゃ、やぁっ、んぅっ……」
     
     いつも隠れているはずの秘芯に空気が触れる感触に、細い腰が悩ましげに揺れる。だがその動きを封じるように、柔らかな尻たぶに自身の猛りをごしごしと押し当ててやった。
     びくっと揺れる彼女の身体と共に、蕩けきった秘部からとろりと粘度の高い液体が滴り落ちていって……それを塞ぐように指を突っ込んだ。
     
    「ふぁぅっ……!! 」
     
     くちゅ、じゅぷ、くちゅぅ。
     ぴくぴく揺れる身体に似つかわしく、やはり彼女の膣は火傷してしまいそうな熱を持って、咥え込んだ指を離さない。
     だからこそ、普段自身のものを入れる時よりも、ずっと優しく、丁寧にゆっくりと。
     肉襞の一つ一つを意識させるように、臍の方の壁をくすぐっていく。
     
    「っ、――~――……」
     
     いつもとは完全に異なる愛撫の方法に少しだけ心配になるも、いやいやと首を振りながらぎゅうっとこちらの腕を掴んでくる様子にそっと胸を撫で下ろす。
     そのお返しに可愛らしい桜色の乳頭をかりかりと指で虐めながら愛撫を続ければ、彼女の内部がひくひくと痙攣をはじめた。
     
    「イきそう?」
    「ん、っ……っ……!」
     
     頬を真っ赤に染めながらこくりとゆっくり頷く彼女に、じわじわと込み上げていた加虐心が頂点に達した。
     
    「指、噛んでいいからね」
    「んぅ……?」
     
     乳首をいじめていた指を、小さな唇が咥え込んだことを確認してから、いつの間にか二本もの指を簡単に咥え込んでる蜜壺に意識を向ける。
     そして求めてもいないものを健気にも締め付けるそれを、――何度も何度も、丁寧に、優しく、壊れるくらいに、掻き回した。
     
    「んんぅ、ぅ!ふぅぅっ…… ん”――――っ!!」
     
     ぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅ。
     逃げ場などない蜜壺から溢れ出る愛液を、掻き出して、掻き出して、掻き出して。
     尽きることのない愛液を噴かせる度に、少女の美しい瞳に火花が飛ぶ。それを刻みつけているのは自分だと言う昏い実感を、心地いい悲鳴で満たしながら――それでもまだ足りないという思いを、左手の指先に込め続けた。
     
    「っ……!!! っっ……!!ふぅぅっふぅぅうんっ……!!」
     
     蕩けきった瞳から涙をぽろぽろと流しながら、それでも尚縋るようにこちらを見上げてくる少女の表情。それはまるで、一度味を覚えたら忘れられない麻薬のようで。
     脳がぐらぐらと揺れるような背徳的な快楽は、必死に指を噛まないようにして叫ぶ彼女の秘芯に指をあてがわせる。剥き出しに晒させていたそれに触れた途端、びぐんっと大きく小さな身体が揺れるが、もう遅い。
     いやいやと首を振りながら、ふぅふぅと大きく深呼吸を繰り返して、――けれどもう、彼女に逃げ場などないのだから。
     
    「ぃっ、ぁぁぁっ――~――!!!」
     
     掻き回していた指の先端を、膣のざらついた部分に押し当てて、ゆっくり丁寧に、何度も何度も力強くこそぎあげる。そして度重なる絶頂で完全にそそり立ってしまった突起を、押し潰して、転がして、爪弾いて。
     
    「い、いくっ……いくっ、いく、いぐっ……!! あ〝ぁっ!っ!!!」
     
     秘芯を触る前から、彼女が達していることなど、とうに気づいていた。
     でもやっぱり、快楽に大きく揺れる体も、許しを乞うような仕草も、何もかもが胸のなかの感情を掻き立ててきて。
     
    「やっ、あ〝ぁっ!?っ!りちゅ、かっ……っ――!!」
     
     ――ああ、本当に。この――しい少女の声音は、聞いていて酷く、心地いい。
     
    「っ――――~~ー!!!」
     
     腕の中の少女の身体が一際大きく揺れると同時、ぷしっ、と彼女の秘所から勢いよく噴き出るものがあった。
     さらさらと粘度の低いそれは、指をゆっくりと引き抜いたあとでも断続的に震える身体と共に撒き散らされて、ぽちゃぽちゃと透明な湯に溶け込んでいく。
     そんな水面に浮かぶ、少女のあられもない姿――可憐な身体を羽交締めにされ、惨めに潮を噴かされるその光景は、あまりに背徳的で、魅力的で。
     
    「……気、やらないでって言ったのに」
     
     未だぴくぴくと痙攣する少女の身体をぎゅっと抱きしめながら、労うように銀の混ざった金系を撫でる。だが、綺麗な湖の瞳の焦点は、未だ上向きに宙を彷徨っていて――
     
    「……出ないとだめかな」
     
     ほおに張り付いた髪の毛を拭いながら、彼女の唾液に塗れた指を含んだあと、その小さな身体を抱き上げた。
     
     ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
     
     温泉から上がり、浴衣だけ着せた少女の髪をしっかりと拭ったあと、ぺちぺち、と優しく頬を張る。いくら自分より一回り小さい少女の身体と言えど、意識のない身体を別棟にある自室に持っていくには、些か以上に人目が憚られた。
     
    「……」
    「トネリコ」
     
     もう一度、ぺちぺちと未だほんのりと朱に染まった頰を張る。いつもなら、少しすればぱちりと目を覚ますはず……だった。だが今日は、いくら頰を叩こうが、揺すろうが、目覚める様子がない。
     少しだけ考えてから、仕方ない、と彼女の身体を抱き上げた。
     
    「……寝込みまで襲おうとするなんて」
    「俺はしっかり起こそうとしたよ?」
     
     ひょいっとその身体を抱き上げたとき、何故か手元から届く声があった。
     
    「でも、意識のない女の子を連れ込もうとしましたよね」
    「それは……そうだね。元から君を君の部屋になんか返す気なんてないし」
    「――ー」
     
     冷ややかな瞳だった。侮蔑とも、言ってもいいかもしれない。
     けれど、彼女の両手はしっかりと首に回されていて、抱き上げたその身体を下ろそうにも下ろせなかった。
     
    「落とさないでくださいね」
    「自分で歩いてもいいんだよ?」
    「…………………腰、が、」
    「……そっか。しょうがないね」
     
     若干引き攣りそうになる表情をなんとか抑えて、彼女をしっかりと抱え直す。すると、意識を取り戻した身体は、何故か先程とは比べようもなく軽くて。
     
    「……なんですか」
     
     ぶすっとさえ聞こえてきそうな問いかけには何も答えず、ただくすりと笑いかけた。
     
     ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
     
     温泉の受付を出ると、女将ににやにやとした笑みを浮かべられながら、別棟までの人気のない道を紹介される。裏口からまた裏口に続くそれは、建物外を行く道で、湯を上がったすぐ後では湯冷めの心配があった。
     
    「……そんなの、部屋につけばどうせ関係ありませんよ」
     
     目の前の女将にさえ気づかれないように囁かれたそれは、彼女と一番至近距離にいる自分にはしっかりと聞こえてしまって、まぁ確かに、と頷いた。
     
    「でも、やっぱり少し寒いですね。早く運んでくだい」
    「……安全第一なんです。ちゃんとお送りしますから、そんな文句言わないでくださいね、お姫様?」
    「姫?……こんな姫がいるわけ、ないじゃないですか」
     
     てくてくと、舗装された道を歩く。横抱きにした身体はとても暖かいのに、彼女の言葉通り、屋外の道はどこか寒々しかった。
     
    「……あの時も、こんな感じでしたっけ」
    「……そうだったね」
     
     ここは山奥の旅館なれば、空を見上げればたくさんの星が煌めいていて。
     それを見上げる彼女の瞳に、なんとなく彼女の言いたいことが伝わった。
     
    「あなたは思ったより薄情者でしたね」
    「そんなこと、」
    「ない、と、わたしの前で言えるんですか?」
     
     その言葉に、彼女の身体を支える力をぎゅっと込めた。勿論だ、と言えればいいのに、何故だか言葉は出ない。
     いや、伝えたい感情や思いは、本当は山ほどある。あるはずなのに、それを言葉にする術を、自分は知らない。
     だから、お詫びをするようにそっと額に口付けを落とすと、彼女は少しだけ驚いた顔をして、そしてすぐに嬉しそうに微笑んだ。
     
    「ほら。中途半端に誠実なんです、あなたは。――そんなもの、わたしは求めてないのに」
     
     ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
     
     ぱんぱんぱん。ぐじゅぐじゅぐじゅ。
     
    「あぁっ、あっ、あっ」
     
     大きな喘ぎ声と共に響く水音に、どうしようもなく昂りを覚えていく。腰を打ち付けるたびに桃尻を大きく揺らされる少女は、先刻と同じようにひくひくと痙攣するばかりだった。
     
     白い肌をつーっと指先で撫でれば、大袈裟なくらいに身体が震える。その反応があまりにも可愛らしくて、何度もその身体に触れてしまう。けれどその度に、彼女の身体は熱を増して、そして――。
     
    「ぃ、いくっ……ぃくっ、いぐっ――……!!」
     
     びぐんっと彼女の身体が大きく揺れて、そしてまた糸の切れた人形のように、へなへなと布団の上に崩れ落ちた。
     息も絶え絶えに身体を痙攣させる少女は、自身の美しい絹を纏いながらも起き上がる素ぶりさえなく。ただただ、股の間からごぽりと白濁を垂らすのみで。
     
     ――声を、もっと聞かせてほしい。
     
     先ほどはあんなにも言葉にすることが難しかった声が、こんなにも簡単に形になるのは何故なのだろうとどこか不思議に思いながら、その小さな身体に覆い被さった。
     
    「ん、……!?……おぉっ、ぉ……!!」
     
     その様子に勘づき、ほんの少しだけ後ずさろうとした腰を床に縫い付けるように打ち付ける。すると、彼女はお漏らしでもしているかのように股から愛液を垂れ流しながら、かくんかくんっと激しく身体を跳ねさせた。
     その様子は、確かに庇護欲を掻き立てるようなか弱いものではあったけれど――逆にそれが自分の中の加虐心を加速させていた。
     押さえつけた小さな身体を好き勝手に弄ぶ様に、昂りが抑えられない。
     
    「っ――!だめっ、だめ、ぇ……」
     
     制止しようとする声を無視して、更に激しく腰を振っていく。ぱんっぱんっと肉同士が打ち合う音と共に、ぶしゃ、ぶしゃとまるで壊れた玩具のような反応を見せてくれる。
     だが肉棒どころか結合部全体を熱く濡らすそれをまるで他人事のように眺めると、浮いた腰の隙間に手を差し込む。そして赤く膨れた秘芯を乱暴に弄べば――少女の顔が目に見えて歪んだ。 
     どろどろの快楽に蕩けきった顔から、苦悶にも似た表情に変わったのだ。
     
    「っ、はーっ、はーっ……――う”ぅ……」
     
     ――その顔に、唐突に我に帰る。
     
     はっ、はっと犬の息をしながら腰を引こうと力を入れると、引き止めるように彼女の細い手が腕を掴んで――がりっ、と鋭い痛みが走った。
     
    「……ごめん」
     
     うっすら血が浮かんでいるようにまで錯覚させたその痛みは、けれど細い指先がただ爪を立てたのみだった。
     
    「べつに……あやまらなくて、いい、ですから……」
     
     薄い胸を大きく上下させながら、忌々しげに見上げてくる瞳がそんなことを言う。他人に好き勝手されて痴態を晒させられた後だというのに、いつもと変わらないその様子に、とても安堵する。
     
     だがその一方で、――何か、今日の自分はおかしい。そう言わざるを得ないほどに、いつもは簡単に出来ていた感情の抑制が、上手くいかない。
     
    「――ふふ」
     
     そんな自分の様子に戸惑いを覚えていた頃、眼下の桜色の唇が、妖しげな笑みを溢した。
     
    「……トネリコ。君、」
    「なんですか?」
     
     続けて、あんなに美しかった瞳が、銀色の混ざった絹からちらりと妖しく、舐るように細められて。
     
    「楽しみ、です」
    「……なに、が?」
     
     ぞく、と背筋に走る何かに気づいた時、いつも歪だった胸のなかの声音が、とても鮮明に聞こえた気がした。
     
    「あなたがこれから、わたしにどんな言葉を聞かせてくれるのか。それが楽しみで、仕方ないんです」
     
     ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
     
     ――実は、最初から聞こえていたのです。
     
     これはただ、わたしが彼の口から直接聞きたかっただけのこと。
     
    「うぁっ、あぁっ……っ」
     
     身体の底から突き上げるような快楽が脳髄までをどろどろに溶かして、意識どころか本当に身体の隅々まで溶かしていくよう。
     
    「ひっ……!あ〝ぁ、っ――!!」
     
     膣を穿つ肉棒にぐりぐりと激しく膣奥を刺激されれば、声など我慢出来ない。わたしの身体はまるで自分のものではないように跳ね、震え、そして―― 
     
    「っ――――~~!!!」
     
     逃げられないよう彼の両手で両足を開かされた状態での、もう何度目になるかもわからない絶頂。そのおまけのように結合部から噴き出る、恥ずべき体液の感覚。それが股下に敷いてあるバスタオルすら飛び越えて、ぼたぼたと畳に滴り落ちる様を、呆然と見せつけられる。
     
     だが、最初は感じていた羞恥も、もうここまできては意味もなさない。ひたすら襲いくる快楽に溺れないよう、彼の身体に縋り付く一心だ。
     
    「……ねぇ」
    「っ――……は、んっ……!!」
    「まだ、聞こえないの?」
     
     余韻を許さないように責め立ててくる、彼の言葉と熱い楔。身体はそれに完全に白旗を挙げているが……生憎と、まだ彼の聞きたい言葉は、聞けていなかった。
     
    「もう何度も伝えたのにな」
    「ふーっ、ふーっ……」
    「ね、トネリコ」
    「ぁ、や……ぁぁっ……」
     
     ぽすっと濡れた地に腰を落とされると、彼の手が全身を這い回りはじめる。一つの動作で面白いほど身体を跳ねさせ、彼がどれほど自身の身体の勝手を知っているかを知らしめされる。
     そして、これまで何をされたかをゆっくりと思い出させるように、わたしの身体を弄びはじめた。
     
    「君のおっぱい、とっても形が綺麗だよね」
    「ふ、ぁぁっ……あっ……」
     
     するり、するり、と、お椀の形を確かめるように何度も大きい手のひらが徘徊して、硬い指先が乳輪を擽る。甘い疼きが蓄積されていくことに怯えながら、形を支えるように左手のひら全体が片方の胸を覆うと、胸の付け根から絞るように、乳首を強調されて――
     
    「乳首も綺麗な色だけど……こうやってくにくにくにくに弄れば、君は綺麗な声を出してくれるよね」
    「ぅ……あ、あぁ、っ――~~――!!」
     
     くにくと右手の人差し指と親指がわたしの乳首を押し潰して、転がして、引っ張って。
     甘く切ない疼きが先端で弾ける感覚に喉を反らせば、あまりに簡単に唇の奥から悲鳴が迸った。
     
    「あっ……ふふ。そんなにこれ、ほしいんだ?」
    「っ、……ぁ”っ、ぁ……」
    「そういえば、こっちも随分と弄ったよね」
     
     身体の先端から走る快楽にたまらずのけぞると、やはり結合部を強く強く締め付けて、内側にある彼のものに淫猥に媚びてしまう。
     すると後ろから伸びていた手がするりと秘芯に降りてきて、耳元で楽しげに言葉を囁かれる。それだけで、後ろにいて見えないはずの彼の口元に、とてもきれいな三日月が浮かんだのがよく分かった。
     
    「ここ、普段よりもぎちぎちになってたからね。――いつもより、優しく丁寧に、虐めてあげたよね」
    「や、やめっ……だめ、もぅ……!!」
     
     包皮は完全に剥かれ、敏感な部分をかりかりと指ではじかれる。人差し指と中指で秘芯を押しつぶしながら、こりこりと擦られる。
     もうなにも差し出せるものなんてないと、惨めに腰を突き出して震わせているのに、彼はそれさえも押さえつけて、まるで玩具を扱うかのように絶頂させてくる。
     
    「あ〝ぁっ……!あ〟っ……っ!!!」
     
     一度蕩けた芯は、そう簡単には戻らない。なのに、彼は何度も何度も、――何度も何度も、わたしを向こう側に連れていって、決しておろしてはくれない。
     頭の中が弾ける。快楽に身体がバラバラになってしまう。
     もう自分が何を言っているかも分からなくなった頃、身体が一瞬完全に浮き上って、そして――
     
    「――――――っ、ぁ……?」
     
     ――どちゅん、と、雄を求めて開閉を繰り返していた入り口に、熱い滾りが接吻したのが分かった。
     
    「あぁ。あっ。あっ。あっ。………おぉっ――――――」
     
     まるで本当に口付けしているかのように、雄の象徴は子宮をぐりぐりと舐る。
     既に何度も嬲られ、潮を吹き、愛液を垂らしたその場所は、ほんの少し剛直で小突かれるだけでぷしぷしと喜びに打ち震える。
     
     ばちばちと視界に散っていた火花が、また激しく舞い踊る。呼吸の仕方を忘れた唇が、ぱくぱくと酸素を求めて動き、全身に走る快感に、両足がつま先まで伸び切った。
     
    「、……ぐっ……――ー~~~ー、――――っ!!!!」
     
     一際強くばちばちっ、と火花が弾けて、音が遠くなった。そして、股の間のさらに奥……その中心にまた彼の欲望がそそがれているのが、なんとなくわかって。
     その感覚をどこか遠いところで感じながら、わたしはぷつりと意識を失った。
     
     ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
     
     彼のもとに召喚されて最初に気づいたことは、彼はどこにでもいる、ただ精神が気高いだけの普通の人ということだった。
     何事にもひた向きで、何事にも真剣に向き合って、誰に対しても礼儀をわきまえて、親切で。
     
     ――そして、他には何もなかった。
     
     そんな少年があんな使命に向き合い続け、誰に対しても弱音を吐けず、毎夜毎夜すすり泣いている。そんな状況を、ここにいる正しき人々が何故誰も何も言わないのか不思議だった。
     
    「大丈夫です。わたしがいますから」
     
     けれど、肌寒い夜。星がきれいな夜だった。
     
     偶々なんてこともない任務にあたって、偶々他の護衛と離れ離れになって。焚き火を囲う人影がたった二つしか無くなった時、彼はその日もうなされていた。
     
     だから自身よりもずっと若い雛鳥――そんな彼を安心させるために漏れた言葉に、同情も憐憫も現れなかったことにとても安堵しながら、彼の震える体を迎え入れた。
     
    「あり、がとう。……でも、ごめん」
     
     だが、そうして迎え入れた大きいはずの小さい身体は、そうやって一言だけつぶやいて、すぐにわたしの手の中から抜け出した。
     そして、改めて膝を抱え蹲る姿に、『あぁ、なるほど』と一人合点した。
     
     さすがは人理に名高い英雄たちだ。彼らは、彼の意思を捻じ曲げてまで――いや、一時だけの不安定な依り代や押し付けの善意なんて、害悪でしかないと知っていたのだ。
     
    「でもわたしは、彼のような人が行きつく先を知っている」
     
     不器用なまでの頑なさも、陽だまりのような優しさも、このままではある時、ぷつりと潰えてしまう。わたしに心からの感謝をくれた友人が、また一人、いなくなってしまう。
     
     ――どこにでもいるはずだった誰かは、その実、わたしにとって、たった一人しかいない宝物だ。
     
    「ならやっぱり、わたしは救世主じゃなくて、魔女になろう」
     
     そんな当たり前なことに気づいて、ある行動を決意した頃には、彼の覆い隠されていたはずの心に触れていた。
     
     ――あぁ、だけど。
     
     寒い夜。星に覆われた空の下から見上げる彼の表情は、あまりにも無垢で健気で、残酷なまでに正直だったから。
     
    「わたしを好きになんて、ならないでくださいね」
     
     ――こうして少年は、魔女に誑かされたのだ。
     
     ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
     
     ぬかるんだ泥沼から這い出るように、少しづつ意識を覚醒させていく。
     うすぼんやりと広げた眼に、窓から照り付ける太陽の日差しが差し込んで、瞳の奥が焼けるようだった。
     
    「りつか……」
     
     緩やかに意識が覚醒すれば、当然すぐ近くに自分以外の意識があることを悟って、ほぼ無意識にそれにすり寄った。
     瞼はまだ重くて上がらない。だけど、手に伝わってくる彼の身体の感触はどうやらわたしに正面を向けてくれているようで、少しだけ安心した。
     
    「………」
     
     だがその一方で、自分にそんなことを思う資格などない、とも思う。
     この関係を無理やり始めたのも、それを何度も継続させてきたのも、そして……今回の彼に対する企ても、何もかもが自業自得なのだから。
     
     
     
    『日帰りで旅行に行かない?』
     
     ――リツカは一人だけで温泉に行った。
     ――わたしは周回に駆り出してばかりのくせに。
     ――わたしにだって、偶にはご褒美くれてもいいんじゃないんですか。
     
     そんな言葉が聞こえてきそうな魔女の無言の抵抗を、彼は慰安旅行のやり直しという形で叶えてくれた。
     だからこそ、わたしも彼に心から羽を伸ばしてほしかった。日中は一緒にいろんなところを回って、夜は温泉につかって、心身ともに癒してほしかった。
     
     そしてあわよくば――
     
    「ちゃんと、『愛してる』って、言って欲しかったんです」
     
     あんなことを言った手前、今更自分から伝えることなんて出来ない。けれどそれで諦められるほど、わたしの感情は器用にはなれなくて。
     
     ――だから、彼の飲み水に一服盛った。
     
     悪巧みのための道具や妙薬は、魔女の十八番だ。それをまさか自分が作るとは思わなかったけれど、制作するのは簡単だった。
     
    「でも結局、リツカは最後までわたしのお願いを守ってしまったし……あんな、あんなっ……!」
     
     完全に意識を取り戻した頭は、鮮明に昨夜の記憶を思い出して、熱を暴走させた。
     
     ――たった片方の先端を執拗にくりくり弄り回されただけで、簡単に絶頂を迎えるように調教されるなんて。
     
     ――度重なる刺激に震えが止まらなくなった身体を無理やり抑えつけられて、手慰みのように膣と秘豆を弄り回され絶頂させられるなんて。
     
     ――仮初な身体をいいことに、適切な形に慣らされた膣奥の一番大事な場所に、精液を何度も何度も吐き捨てられ……それでも惨めに絶頂を迎えさせられるなんて。
     
     いつも焦ったいほどに優しかった彼の本性が、こんな……こんな獣だったなんて知らなかったのだ。
     
    「もうわたし、お嫁に行けない……」
     
     きっとこの身体は、もう彼なしでは生きていけなくなっている。
     彼の指の感覚を、彼の熱を、彼の匂いを、彼の味を、彼が与えてくれる快楽を、――彼の、すべてを、覚えこまされてしまった。
     
    「……んっ……」
     
     ――ほら、今だって。
     
     昨夜の果てしない情事を思い出しただけで、彼の肌が触れているところ全てがまるで火傷したように熱くなって。少しでも身体が擦れれば、腰が跳ねそうなぐらいに反応してしまって。
     
    「りつか……」
     
     息が無造作に荒くなって、頭だって、段々とうまく働いてくれなくなって。……そうしたら自身の指が、いつのまにか勃ちあがってしまった先端と、股の間へ伸びて――
     
    「昨日のじゃ、足りなかったんだ?」
    「っ――ー!?!?」
     
     耳元で、少しだけ責めるような、意地悪な声がした。
     弾かれたように顔をあげると、そこにはいつもよりどこか肌艶がよくなった彼の姿があった。
     
    「い、いつから起きてたんですか……!?」
     
     顔から火が出るようだとはまさにこのことだ。
     慌てて股の間をまさぐろうとしていた手を引き戻すと、その手を今度は彼にしっかりと捕らえられた。
     
    「最初から、かな」
    「っ……!こ、この……!」
    「ねぇ、トネリコ」
     
     わなわなと震えるわたしを悪戯っぽい瞳で見つめながら、彼はゆっくりと口を開く。
     
     ――言い訳、考えておいてね。
     
     その一言と共に口付けを落とすと、彼はわたしの最後の理性の糸を、華麗にぷつりと断ち切った。
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