かつての雪の日のこと【かつての雪の日のこと】
スワロー島の冬は長い。一年の四分の三を占めている。
シーディエン・ルピナスは朝が来るよりも先に起きた。大きく伸びをする。窓の外を確認すれば、小雪が降っていた。
まだこれぐらいだと雪が降っていない範疇に入る。パジャマから着替えて、屋根裏部屋から一階へと降りた。
一番最初に起きたのは自分だ。
暖炉の準備をしておいて、朝ご飯も作っておくことにする。同居人の二人はまだ目覚めない。
ルピナスは一番早く寝て、一番早く起きている。
「ローはパン。嫌いなんだよね。何処が嫌いなんだろう」
「不味いだろう。パン」
この家の朝食は殆どルピナスが作っている。料理をするのは好きな方だし、メニューも調整が出来るからだ。
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