Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    tokinoura488

    @tokinoura488

    @tokinoura488
    こちらではゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのリンク×ゼルダ(リンゼル)小説を書いております。
    便宜上裏垢を使用しているので表はこちらです。→https://twitter.com/kukukuroroooo

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 26

    tokinoura488

    ☆quiet follow

    ちょこちょこ更新している【政略婚リンゼル】ゼルダ視点まとめ
    メモ的にあらすじのみで進めてます。
    ツイート元のあらすじ
     ↓
    姫様は力に目覚めず厄災は次世代との予言がなされ、勇者として選ばれたばかりのリンクとハイラル王の指示で婚姻を成す。リンクが一度主従であることを理由に断ったことから姫様はこれはリンクの意思ではない政略結婚なのだと思う。彼の激重感情も知らずに――。

    ##リンゼル
    ##政略婚リンゼル
    ##ブレワイ

    政略婚リンゼル・まとめ《1~35》ゼルダ視点【政略婚リンゼル】あらすじのみで連載中

    ★ツイート元となった「書きたいな発言」のあらすじ
     姫様は力に目覚めず厄災は次世代との予言がなされ、勇者として選ばれたばかりのリンクとハイラル王の指示で婚姻を成す。リンクが一度主従であることを理由に断ったことから姫様はこれはリンクの意思ではない政略結婚なのだと思う。彼の激重感情も知らずに――。
     次世代へと厄災が先延ばしになったということは、世継ぎを産むことこそが姫様に架せられた最大の責務。リンクに夜伽を望むも断られますます心が沈む姫様。夜な夜な寝室を出て行くリンクの不貞を疑い(それすら自分を責める)後を付けるも捲かれる。リンクの気持ちが分からないまま彼に恋をしてると知る。

    【まとめ・1~35】

     草木の影から現れたのは自分と同じ背丈の青年だった。厄災の到来が予言されて聞こえぬ精霊や女神の声に耳を傾け続けたゼルダの日々はなんの充足も与えてくれぬまま終わりを告げた。新たな神託は次代こそ厄災の禍に見舞われると断じたのだ。選ばれたばかりの対となる勇者。見目通りもまだのその者こそ眼前のリンクだった。少年期に伝説の剣に選ばれ抜いた、名の通りの英傑。そよ風がゼルダの長い髪をせせらぎの小魚の如く泳がせる。整った顔貌に空を思わせる瞳。日差しの元へと歩み出た近衛服は凝視する新緑の視線を避けるように深く頭を垂れた。
     ゼルダはコクンと喉を鳴らした。あれが未来の夫となる者挨拶を促す父の声にゼルダは名を告げた。再びまみえた迷いのない眼にたじろぐ。ハイラル王の命は絶対。それは騎士であるリンクにとっても娘のゼルダにとっても同じ。聞きたい言葉をぐっと飲み込み「慇懃な態度は必要ありません」と起立を促す。婚姻が決まった以上二人は対等なのだ。が彼は立たなかった。
     主従関係を継続しながらの婚約は静かに始まった。厄災復活が次世代と予言されようともゼルダは許された範囲で女神への禊と祈りを行う。リンクは常に帯同し近衛騎士としての任を果たす。表情の読めぬ青年と心閉ざす姫に会話は生まれず、ゼルダの呟きばかりが滝の轟音に打ち消された
     ふいの触れあいはあるもののリンクの心は見えない。今だ心通わせることのできぬまま婚姻の日は近づく。馬上のゼルダは苛立っていた。追従する規則正しい蹄の音が落ち着かない。振り切るように馬を駆ったその時、背後から大呼され振り向きざまに馬を止めると彼がこちらへと飛び乗るその瞬間だった
     馬上で押し倒すように抱きかかえリンクはそのままゼルダを大地へと降ろす。間髪入れず嘶く馬脚の隙間から矢を番え放った。それは一瞬の出来事。ゼルダは自分と変わらぬ背丈の青年の背にひたりと頬を寄せ重々しい何かが地面に倒れる音を聞いた。護られたのだと分かったのは彼の体が離れてからだった
     傷の手当をするとリンクの口元が安堵させるように緩んだ。頬が熱くなる感覚にゼルダは戸惑う。一人になると彼が自分との婚姻をどう思っているのかゼルダは初めてそう考えるようになっていた。鬼神の如き闘いぶりと感情を見せぬ花顔はゼルダの行く先々でも話題となっていく。
     リンクへの父からの伝言を携えて彼を探す内にゼルダは聞いてしまう。「一度は拝辞したそうだな」との下臣の声にリンクは否定はしない。「公になっておらぬのだ。今からでも辞して今一度我が娘とはどうだ? 手を取りあった仲というではないか。あれはお前を前から好いて――」
     ゼルダはどう自室に戻ったか思い出せなかった。ベッドに突っ伏す。自分にとってリンクは何なのだろう。初めて彼を目にした瞬間の風が吹き抜けて細胞すべてが目覚めたような感覚を思い出す。けれど今は胸の奥が得体の知れぬもので澱んでいく気がした。姫巫女でなくなった自分に残されたのは勇者の血を継ぎし巫女をこの身に宿すこと。それが全て。
     
     ゼルダは密やかにリンクに夜伽を願う手紙を託した。
     約束の時刻。ゼルダは薄衣だけを羽織り彼の訪問を待った。ノック音に飛び起きる。扉を開ければリンクが近衛服のまま立っていた。ゼルダを一瞥すると彼は目を逸らし、「再考されますよう」と頭を下げた。扉を閉めゼルダは座り込んだ。
     ふたりの心は近づかぬまま婚姻は成った。盛大に祝われるのはゼルダへの祝福ではない。ハイラルの安寧への期待と希望が人々を微笑ませている。その夜からふたりは寝室を同じくして眠る。一つベッドを断り二つとしたのはゼルダだった。夜伽を断られてからリンクの顔を見るのが怖い。
     それでも同じ部屋にリンクがいることに胸が高鳴った。もう正式な夫婦となり主従ではないのだ。ベッドの中でそっと唇に触れてみた。初めてしたキスは一瞬で終わってしまった。顔が近づくとリンクの匂いがした。きゅっと胸が締め付けられゼルダは慌ててシーツをかぶった。リンクが入室してきたのだ。
     何を話せばいいのか分からず眠ったふりをする。様子を確認するようにリンクが近づく気配。落とされたため息に胃が軋んだ。どんな意味を含んだものだったのか。まだベッドの前で立ち止まったままの気配に身じろぎもできずにいると、彼もまた自分のベッドに入ったようだった。夜半それは聞こえた。
     浅い眠りの際に扉の開く音。ベッドにリンクの姿はない。ゼルダは急ぎ外套を羽織ると彼の後を追った。新婚の初夜に花嫁に触れようともせず騎士は……いや夫はどこに行こうというのか。城は眠らない。彼は人目を避けるのに慣れていた。靴音が響いてはと室内履きの薄い布靴で追うゼルダの目の前で彼は城下へと。彼の気配は瞬く間に追えなくなった。
     部屋に戻りゼルダは泣いた。きっとあの娘の元へ行ったのだ。これは偽りの結婚。政略のための結びつき。王女や巫女という地位はあれどきっと魅力がないのだ。男性とは魅力的であれば心はなくとも抱けると聞く。人とのしての魅力も女の体としての魅力もないのだろう。ゼルダははっきりと知った。自分は初めて見た瞬間からリンクに運命を感じ強く惹かれていたのだと。ひとしきり泣いてゼルダは一つの決意をした。
     山際に夜明けの白が滲み始めた頃扉は開き、眠った妻の目尻の赤さに眉根を寄せた。気付かぬ筈はない。わざと追わせたのだから。リンクは静かな寝息のゼルダに恭しく一礼すると冷えた自分のベッドに横になった。

     そんな日々がどのくらい続いただろう。姫は王や貴族の心配をよそに調査により多くの時間を注ぎ、無論リンクも帯同した。できるだけ二人にならぬようゼルダは常に手回していたが、ついに密やかな策が実らない日がやってきた。
     ハテノ村への調香の旅。城を離れたプルアを訊ねた。プルアより預かったのは子宝の香。夫婦となったふたりが未通であるなど知らない者達がいらぬ心配をしているという。ゼルダは心の中で苦笑した。触れられてもいないのに子どもなどできるはずがない。
     遠征地でふたりで子宝の香を焚く。プルアと王への報告が必要だった。偽装すればよいという考えは生真面目な二人に浮かんでくるはずもなく、準備された部屋でぎこちなくベッドでふたり向き合った。未だ誓いのキスししかしていない清い体は強ばり震える。ゼルダはそれを必死に隠した。
    「良いのですか」
    「聞かないで。これは父の命なのです」
     近づいてくる気配と軋むベッドの音。少女の気恥ずかしさと拒絶された記憶がゼルダの内面で逆巻く。
    「触れても」
     ドキンと胸が鳴った。頷けば自分のものではない指腹が頬に掛かった髪を耳へと掛けた。温かい感触に肌が粟立つ。ゼルダはあの夜――リンクが城下へ降りた夜にした決意を思い出した。決して心を許さない。婚姻はすでに成り勇者である彼でなければ次代に力は訪わないかも知れないからだ。だからせめて心は……心だけは。
    (恋する私のままでいたいのです)
     体温とリンクの香りが近づく。顎に添えられた指先。ゼルダは思わず口づけようとしていたリンクを押し返した。
    「子を宿すのに口づけは必要ありません」
    「従います」
     その言葉に苛立ち空しさは棘となって痛んだ。
    (私はやっぱりリンクにとって主なのですね。夫婦となっても主従なのだわ)
     キスは拒絶しても子宝の香によって体は火照る。これは香の影響……そう思うのにリンクが近くにいるだけで息が苦しい。まるで温かい水中でもがいてるような感覚。リンクが触れてくるのを必死に声を出さぬよう耐える。吐息すら甘くなるのを聞かれたくない。
     唇を噛みしめているとリンクの指がそれを押し開いた。折り曲げた中指が入ってくる。
    「こちらを」
     拒絶したい気持ちと裏腹にゼルダの唇はそれを受け入れた。リンクの手が服の上から体の輪郭をなぞる。甘い痺れを感じる度にゼルダはリンクの中指に歯を立てた。ぎこちなく体をまさぐりあったふたり。けれど最後の最後にゼルダの体が強張りリンクは行為を止めた。
    「やはり止しましょう」
    「ではいつ」
     リンクは無言で半裸のゼルダに毛布を掛けた。背を向けられゼルダは着衣の乱れを直すことしかできなかった。

     城へと戻っても言葉のない催促とそわそわした雰囲気にゼルダは居たたまれなくなった。夫婦の部屋にまだ日も沈まぬ時分からふたり押し込まれ、否応なく事に及ぶ。きっかけはいつもゼルダの言葉。こんなにも空しいのに彼が触れられれば心地よく嫌悪感などは皆無でゼルダは恋をしていることを何度も自覚させられた。未達の後は決まってリンクは部屋を出て行った。ゼルダはもう追う気もなく「ああ、また城下へ行くのだろう」と胸に空しい音が鳴る。
     子を授かるまでには至らず暇の夜は繰り返す。平素通りの公務と調査の昼、夜には閨ごと。破瓜の日はじきにやってきた。それは調査に赴いた先の粗末な小屋だった。誰の目もない。ゼルダは強く言った「成すまで退出は認めません」と。
     互いに背を向け服を脱ぐ。先に振り向いたゼルダは長い布でリンクの目を覆った。
    「これならば好きな方を思い浮かべられるでしょう」
     ゼルダは初めてリンクにいるだろう恋人の存在について口にした。今日こそは唯一残された務めを果たさなければならない。触れられて心地よくリンクの吐息に飲み込まれそうになるだけの密事は終わるのだ。今から行うのは未来の創世。それ以外の何者でもない。ゼルダはそう心に言い聞かせた。蝋燭の明かりだけの薄暗い部屋で男女の息は混じる。目隠しされた夫の姿に安堵と空しさと恋情を抱え夜は更けていく。
     声を出さぬよう強く唇を噛めば、それがまるで決められた儀式のようにリンクの指が差し出される。ゼルダは初めてその指を拒んだ。深々と体を貫く熱に表情は甘く緩む。でもいい。彼の目を封じたことでゼルダは与えられる快感に素直になれた。今リンクは恋人を想っているだろう。寂しい空しい苦しい――様々な感情を押しのけてリンクのくれる熱はゼルダを夢中にさせた。決してリンクに知られぬように。父に嘘偽りない報告ができた日から、それは夜ごと行われた。
     どのくらい繰り返せば子は授かるのだろう。夜ごとの片恋相手との愛なき閨ごとに不安を覚えた。心地よくて真白くなるばかりの頭ではいつ言ってはならない一言を唇から零してしまうか知れない。
    「愛している」
     それは決して告げないと決めた言葉。世継ぎさえ授かれば彼をこの叢雲のような城や自分から解き放とうと思っていた。一度振りほどけばきっと戻らない手と知っていてもゼルダがやらねばならないことだ。
     自分自身がそうだった。常に姫巫女であることを求められ苦しんだ。勇者としてだけでなく姫の婿という難しい立場まで背負わせされて嬉しいはずがない。だからずっと彼は感情を見せようとはしないのだろう。もうリンクが想っているであろう女性に、黒く澱んだ嫉妬を抱かずに済むのならばどちらにとってもそれが一番良い選択なのだ。
     だから早くとゼルダは焦っていた。そして知った。子が授かるはずがないことを。
     リンクは発露していなかったのだ。
     漏れ聞いた侍女らの恋人事情に蒼白となった。その夜怒りを抑えられぬまま寝室で夫と向き合った。ゼルダはガウンを脱いだ。まだ目隠しはしていない。リンクが白い裸体から顔を背ける。怒りがさらに沸き上がり、
    「気付かないと思っているのですか」
     と叫んでいた。子は男女の種子がなければ授からない。その役目を回避し続けていることを努めて冷静に伝えた。
    「私があなたと結婚したのは次代のゼルダを生み育てるため」
     役目を果たせと迫るとリンクは否と答えた。
    「ではなぜ……あなたはなん」
     何度も私を抱いたのに……言いかけて止めた。主の命令だと告げる。
    「ゼルダ様」
     初めて呼ばれた真名は静かな怒りの声色が滲んでいた。
    「その言葉後悔されませぬよう」
     青い炎の揺らぐ瞳にゼルダは捕らえられた。

     ここよりリンク視点
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖😭❤😭😭😭💯💯💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💯💖💖💖💖😭😭😭😭😭💖💖💖💖💖💒💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💘💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works