小さな案内人「ひびき!」
子供は朝から元気だなと自身を呼ぶ声に応えてやりながらまだ眠気の残る頭でぼんやりと思う。さすが護衛艦と言うべきか、それなりの距離を息切れひとつせず一気に駆け寄ってきて隣へと並んだ。
「おはよ、くまの。早いね。ちはやはどうしてた?」
「眠いから後でって言ってた」
「うん、わかった。もう少し掛かるだろうからゆっくりしていて良いよ」
ちはやの方が対人応対に向いているからと任せたいとことだけど、陸上げ中で調子が出ないならば仕方ないと諦める。とはいえ、どうしようか。はたかぜとは歳こそ近いもののほぼ接点も無く、呉に来てからですら挨拶くらいしかしていない。間がもたないよなぁと頭を悩ませたところで、この際くまのに任せてみてもいいかとひとつの案が脳裏を過る。本人の希望次第ではあるけど。
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