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    紫鶴@bktd_shizuru

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    プロヒ同棲爆轟

    #爆轟
    BakuTodo

    心の声が聞こえる個性事故に勝己が合う話ヴィランと交戦中に個性を受けるヘマをした。
    その個性っつーのがクソめんどくせぇモンで、傍にいる他人の心の声がダダ漏れてくるというものだ。脳に直接響くせいで思考は乱され攻撃の正確さも下がる。解除方法は時間制限しか無く待つしかねぇ。
    仕事に支障が出るから個室で事務処理だけして退勤したが帰路だけでも吐きそうになる。市民の心の中っつーのはこうもエグいモンなのか。どいつもコイツもまともなこと考えちゃいねぇ。悪口だの言い訳だの虚勢だの文句だの聞くに耐えねぇ言葉ばかり。何とか無心で家まで向かいリビングに入ると同時にソファに寝転がる。流石に一人の部屋では何も聞こえねぇがこだまのように脳に残響が残る。うぜぇ、うるせぇ、頭痛ぇ。腕を目に押し当てるも通常の頭痛とは理由も違ぇから良くならねぇ。もう寝ちまおうと目を瞑ったすぐにガチャ、とドアが開く。
    「爆豪、大丈夫か」
    「…おぉ」
    ダイナマイトが個性攻撃を受けたことは伝わっているが個性の内容は伏せられている。コイツも漠然とその情報だけ入ってんだろ。「怪我無ぇか、どんな個性だ」と横にしゃがみ込む。
    「おい顔色悪いぞ。頭痛ぇのか」
    心配そうに頬に手が伸ばされた瞬間、少し体を引いちまった。轟が伸ばしてた手をビクッと止める。どうやら俺は割と弱ってるようだ、コイツの心の声を聞くのか怖ぇだなんて。
    「あ、わりぃ…触れられたくないんだな」
    (爆豪、どんな個性掛けられたんだ)
    触れなくたって轟の心の声は聞こえる。低くて甘い、俺がこの世で唯一心地いいと感じる声。避けるなんてバカげてるな…そっと手を取り掴むと冷てぇ。ちゃんと手洗いしてから来たんか、偉ぇな。「おっ…」と固まる轟を他所にそのままごつゴツゴツしつつも綺麗で長ぇ指を弄ぶ。

    (爆豪…?具合悪く無ぇんか…?)
    (何で何も爆豪話さねぇんだ…)
    (あ、これがそういう雰囲気ってやつか?え、今からスんのか?)

    「爆豪爆豪うるせぇしシねぇわ、情緒学べ」
    「お、爆豪しゃべった。よかった、頭痛か?」
    声に出してない疑問に答えたというのに驚いてる様子はなく「冷やすのと温めるのどっちが楽だ?」とこめかみ辺りを両手で包まれる。
    (頭痛いのか、一体何の個性だ?…蕎麦食いてぇな)
    心配してる合間に蕎麦のこと考えンじゃねぇわ。指を弄び手を絡め、甲を通り長袖口に軽く指を入れる。
    「お、お…?」
    (ばくごう何でこんな触ってくんだ。何か変な気になっちまう)
    変な気って何だよ、ンとに情緒の無ぇ奴。まァ期待なんざしてねぇがな。袖口から手を出して左頬に手を添え親指の腹で火傷痕をなぞる。オッドアイが更に不思議そうな色を纏い、頬に熱が籠もる。
    (こんな醜い火傷痕をいつも大事に触ってくれる…何でだろうな)
    「ハァ?醜いなんて二度と思うな」
    てめぇが苦しんで受け入れて乗り越えてきたモンが醜いわけねぇだろ。俺の大事なモンを勝手にバカにすンな。苛ついて口走ったが「えっ」と轟が声を漏らす。
    「俺、今言ったか?…ん、っ…」
    薄くて小せぇ唇に唇を重ねる。クソ個性だと思ったが使いようによっちゃ面白ぇかもしンねぇ。
    「轟、俺が何の個性掛かってか考えろ。当てたらキス止めてやる」
    「えっ、え…?ん、ぅ…っ」
    モブ共の反吐吐きそうになる思考に頭がおかしくなっちまったんだろうか、轟の声に脳が休まっていく感覚。これが癒やされるっつーことなんか。唇を軽く重ねては離す、鼻や頬にも移動しつつまた唇へ。さっきまでの不快な頭痛が吹っ飛んでいく。
    (え…キスしたくなる個性…?)
    「違ぇ」とキスの合間に答える。手が暇だな、と指の間をすりすりとなぞればピクリと身体が震えた。
    (え、あ…恋人が可愛く見える、とかか…?)
    「ンなもん前からだわ」
    つーかコイツ、さっきから心の声に答えてやってんのに何で気づかねぇんだ。段々と言葉が聞こえなくなり(あ、う…ばくごっ…)と切羽詰った擬音と名前だけが届く。くくっ、焦凍がショートしやがった。…おもンねぇわ。
    「ンだよ、もう降参か?」
    「あ…えっ…心が読める、のか…?」
    「くはっ、気づくの遅ぇ」
    約束通りキスすンのやめて手を引きソファの上に一緒に寝転がせる、と同時に腕ン中抱き寄せた。「お…」と一声上げて大人しくなる。そのまま後頭部を撫でてやれば轟の身体からとろとろ力が抜けていく。
    (頭撫でられんの気持ちいい…)
    「何だ、撫でられンの好きだったんか」
    「え!あ、そうか、読めるのか…」
    恥ずかしい、と呟く轟。甘えるのも弱さを見せて頼るのも全部苦手なコイツは愛情表現に対していつもどこか一歩引いている。
    俺からすりゃ惚れてる奴が無防備に横にいたら手を出すなんざ当たり前なんだが、コイツはどうも遠慮しがちだ。分かっちゃいるが、俺ばっか好きみてぇで腹が立つ。
    そのまま撫でつつ額に、眉間に、瞼に唇を滑らせる。されるがままだった轟が控えめに背中に手を回して甘えるように擦り寄ってきて。珍しいな、と表情を伺えばいつも以上に惚けた顔をしている。まるで熱に浮かされてるようだ。

    (好き…好きだ、爆豪…好き…)

    脳に響く余裕の無い溶けた轟の声にゾクゾクと背中に高揚感が走る。俺のことが好きで好きで堪らねェって顔しとる。この無駄に整った面をだらしなく呆けさせられるのは、世界中で俺だけだ。
    「…ばくごー、何かダメだ…そんな触れられたら俺、安心しちまう…」
    「てめぇ俺に大事にされンの好きだもんな」
    「うん…」と素直に頷いた轟はかぷりと俺の首筋を噛む。くくっ、噛みグセあんだよなコイツ。
    前からだが轟は自分の価値を低く見積もり大事にしなさすぎている。だから自分のメンタルが傷ついてるのも気づかねぇで日々を過ごそうとしちまう。小せぇ傷でも塵も積もれば、だ。いつか爆発しちまう前に出来るだけ寝る前に腕ン中閉じ込めて頭のてっぺんから爪先まで愛してやる。てめぇはこの大爆殺神ダイナマイトの宝モンなんだぞと教えこんでやるんだ。
    「好き…頭撫でてくれ、たくさんがいい」
    「くくっ、でけぇ子どもだな」
    撫でてやれば「ふへへ」と頬をふにゃりと和らげる。コイツこんな顔出来たんか、と驚く反面させてやれた興奮に思わず口角が上がる。気分が良いから飯は蕎麦にしてやろう。だがもうちっと、コイツを堪能してぇ。結局轟の腹の虫が鳴くまで頭を撫でてやっていた。



    (…け、て…いた、…ぃ)
    眠っていた意識が何かの声を拾いじわじわと浮上する。泣いているような声…ガキか?
    (痛い、怖いよ、助けて…)
    「…!?」
    轟だ、と気付きガバッと身を起こして横を見ればすぅすぅと眠っている。だが閉じられている左目から一筋涙が流れ枕を濡らす。あぁそうか、夢見てンのかコイツ。魘されてる訳でも無ェからこいつ自身は見てることに気づいてねぇのかもしれねぇ。だが俺には聞こえちまっている、小せぇ轟の泣き声が。
    「…痛ぇよな、怖ぇよな」
    聞こえるわけねぇが火傷痕に手を添え呟く。
    (ごめん、なさ…俺が、悪い…)
    「てめぇは悪くねぇよ、何も悪いことしてねぇ」
    夢ン中で謝るんじゃねぇよ、否定してやれねぇだろ。謝ることなんざ1つもしてねぇ、お前は血反吐を吐きながら真っ直ぐに生きてきただろ。俺の声が聞こえたのか「ん…」と轟がぼんやり目を開ける。
    「…ふふ、ばくごうだ」
    「おぉ」
    すり、と嬉しそうに擦り寄ってくる体を抱きしめる。やっぱ夢は覚えてねぇみてぇだ。まぁ煮え湯を浴びるなんざ何度も体験するモンじゃねぇし好都合だ。寝起きでぽやぽやした声のまま「なぁばくごう?」と呟く。

    ーー「また、俺の宝モンって言ってくれ」

    「…は?」
    一気に体温が下がる感覚。俺、それ言ってねぇよな。黙った俺を不思議そうに見てた轟がパチっとオッドアイを開く。おいコラ、まさかてめぇ。
    「あ、違う、これはあれだ、言われてねぇやつだ」
    「おい何で知ってんだ」
    「いや、違う。寝ぼけてたんだ。ほんとに違うぞ」
    「何が違ぇンだ無駄な言い訳すンな!!」
    「違うんだほんとに…あぁもう俺バカだ」
    「イイから言え!てめぇも心ン声聞こえとったんか!?」
    長々と「違う」「間違えた」「寝ぼけてた」と言う轟は布団に潜り「寝る」しか言わなくなって。どうにもこうにも言わずそのまま本気で寝やがった。朝には個性の効果も切れたが納得いかねぇ。出勤後早々に昨日拘束したヴィランの個性を調べて「クソが…ッ」と舌打ち。

    『個性発動中、強い思いは相手にも電波する』

    「…ハァァア…」
    好きだの何だの遠慮無く思ってた気ィする。通りで轟がいつも以上に惚けた顔をしてた訳だ。途中から『爆豪、好き』しか聞こえなくなったし電波したンはあの辺りか?何が聞こえちまってたのか考えたくもねぇな。






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