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    slekiss

    @slekiss

    QMA・YGO(GX未履修)・悠久・格ゲー(主にSNK系、初期のBB)・刀剣等。
    今描ける環境ほぼないので基本文字書きのひと。
    過去絵(主に描きかけて飽きたやつ)や駄文をぽいぽいと。

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    slekiss

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    アル1主前提のお題(無防備なきみに恋をするシリーズ)の1と2番目を、貧乏根性で載せてみる。
    本当は5題を時系列に沿わせてふたりの関係を進めていくつもりだったのだが、お題元がなくなってしまったので諦めた。因みに某所に載せたアル1主は3番目になるはずだったもの。

    #アル1主
    #腐

    無防備なきみに恋をするシリーズ1・2「無防備なきみに恋をする」シリーズ

    1.誰にでもスキだらけ


     第一印象は最悪だった。

     冷静に話し合うといった雰囲気は微塵もなかった。

     にらみ合いが続き、一触即発の空気が漂って。

     出会って数秒で、互いを敵とみなした。

     もう少し違った出会い方をしていたら

     素直に『スキ』と言えただろうか。

     気持ちを洗いざらいぶちまけて

     抱き締めることができたなら

     楽になれるのだろうか。

     決着はまだ、つきそうにない。









    「無防備なきみに恋をする」シリーズ

    2.眠るきみに秘密の愛を


     その日、アルベルト・コーレインは疲弊していた。
     掛け持ちで所属している第三部隊の仕事で、徹夜で魔物退治をしていたのだ。
     そういう依頼の場合は、いつもなら友人で同僚──今は一応『上司』でもあるが──のシオンと一緒にこなすのだが、今回は生憎と別の依頼が重なってしまい、仕方なくアルベルトひとりで受けることにしたのだ。
     かなり手こずったが、それでも依頼を成功させたアルベルトは、今度は睡魔という魔物と戦いながら家路を急いでいた。
     季節は春。暖かい日差しが降り注ぎ、その陽気に思わず立ち止まる。
    「いい天気だなあ……」
     ぼそりと呟いて、空を見上げる。寝不足でしぱしぱする目に太陽がまぶしい。
     慌てて視線を地上に戻すと、土手が目に入った。
    「ちょっと、休憩するか」
     誰に言うでもなくそう言って、アルベルトは愛用の長槍を傍らに置くと、ごろりと土手に寝転がった。
    「あー、気持ちいー……」
     ぽかぽか。ぽかぽか。
     芽吹いたばかりの若草はとてもやわらかく、アルベルトの身体をやさしく受け止めてくれる。
     目を閉じたアルベルトから、安らかな寝息が聞こえてくるまで、さほど時間はかからなかった。


    「何やってんだ、あいつ」
     アルベルトが夢の世界に入って暫く経ったころ、朝一番の仕事を終えてジョートショップへ戻ろうとしていたシアン・ローズが通りかかった。
     長槍を抱き枕よろしく抱えて眠るアルベルトに興味を惹かれ、彼を起こさないようにそうっと近づいてみる。
     すると、遠目からは判らなかった、顔やむき出しの腕に所々出来た擦過傷が目に留まった。
     よく見ると、自警団の制服である青い衣は埃にまみれ、鎧には魔物の爪痕と思わしき傷が深々と刻まれている。
     察するに、魔物討伐か何かの任務についていたのだろう。
     古巣の第一部隊と、友に乞われて助太刀に入った第三部隊。二足のわらじを履いて奔走する姿を、シアンは幾度となく目撃している。
    「よく身体が保つもんだ……感心するぜ」
     呆れたように呟いて、シアンはアルベルトの顔を覗き込んだ。
     顔を合わせる度に喧嘩になるので、こんな至近距離でまじまじと彼を見るのは初めてだ。
     日に灼けた肌に乗せられた化粧は、汗と埃でまだらになっているものの、それでもその整った容貌は変わらない。
    いつもは強気な光を宿している瞳が閉じられているせいか、ほんの少しだけ表情がやわらかいように思えた。
     視線を少し下ろすと、皮手袋に包まれた長い手指が目に入った。日頃武器を扱っている者特有の手。関節に出来た胼胝がそれを物語っている。
    少し屈んで手を重ねてみると、一回りほど差があった。そのことに軽い苛立ちを覚える。
     数年前、問答無用で盗難事件の容疑をかけられた時は、遮二無二突っかかるこの自警団員が大嫌いだった。
     けれど容疑が晴れ、以前ほど険悪な雰囲気での喧嘩をしなくなってからは、アルベルトに対する見方も随分変わり、今では時折、自警団事務所で茶を飲むくらいの仲にはなった。
     友人、といっても差し支えはないのかもしれない。
     おそらく、端から見ればそうなのだろう。
     けれども。
     共に過ごす時間が増えるたび、胸の奥でじわりと湧き上がる熱。
     その正体に、シアンは薄々気付き始めている。
    「……アル……」
     小さく呟いて膝を折ると、そっとアルベルトの耳に唇を寄せた。


    「     」


     それは、声と判別できるかどうかの音として、アルベルトの耳に吸い込まれた。
     但し、当の本人は未だ夢の中であるため、それを意味ある言葉として聞き取ることは不可能だった。

     言ったシアン本人も、自分の声を認識できないくらい。
     それくらい、かすかなものだった。

     眠るきみに そっとささやく秘密のことば。

     それは、紛うことなき『アイノコトダマ』
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