タイトルそろそろ決めないとな 鳥の囀りが聞こえる。名前は分からない。店先の落ち葉と小枝、僅かばかりの砂利を掃いて一箇所にまとめ、アッシュは顔を上げた。よく晴れた東の空は既に夜の気配がする。日没がすぐそこまで迫っていた。
竹箒の柄に顎を乗せ、アッシュは窓からそっと店の中の様子を伺う。客の姿はなく、カウンターの向こうでマオが大きな欠伸をしていた。吊り目がちの大きな瞳に涙の膜が張るが、微妙にアッシュの好みの表情からは外れている。残念だ。マオにつられて出そうになった欠伸を噛み殺しながら、アッシュは店の裏手にちりとりを取りに向かう。残照を背に拡がる雑木林が、その輪郭を黄金色に滲ませていた。人々が恐れる魔物の時間の先触れだ。
「アッシュさん」
5448