猫(又)枕 大型連休真っ只中の本日、インドア派かつ絶賛受験生である俺は、学校から出た課題を片づけるべく自室の勉強机に向かっていた。
ちょうどひとつ終わったので少し休憩しようと伸びをしたところで、開けたままにしていた部屋の窓から柔らかい風とともにお日様の匂いが入り込んできた。振り向けば顔なじみの猫又が。どうやら日向ぼっこ帰りらしい。
「こんにちは、少年」
「おー……今、課題やってるから邪魔すんなよ」
「はいはい」
猫又は俺が座る椅子の薄い背もたれに飛び移り、そのままそこで器用に丸くなる。
いい匂いに誘われて枕代わりにと頭を預けてみれば、重みに驚いたらしい猫又の、ぷぎゃっ!? という間抜けな声が聞こえて俺は小さく吹き出した。
331