喧嘩は、ないない!仙京のとある一日。
南陽将軍こと風信の、神武殿をも揺るがすほどの怒声が響く。
「くそ!!馬鹿にするのも大概にしろ!!」
「お前は頭が硬すぎる!!馬鹿を馬鹿にして何が悪い!!」
南陽将軍に対するのは、玄真将軍こと慕情。二人は暇さえあれば喧嘩することで有名だ。
その喧嘩は素手の殴り合いで終わるときもあれば……
「おい、そこに立ってろ。お前のその減らず口を黙らせてやる」
風信は手に法器・風神弓を握り、その特別な矢をつがえて狙いを定めた。
「ふん、上等だ」
向き合う慕情も、その手に鋭く長い法器・斬馬刀を構えて、せせら笑った。
喧嘩の理由は実に"下らない"が、当の本人たちは至って真面目な力比べをしている。
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