僕の幼馴染は、どこがいいのかわからないが、案外モテる。今日だって、帰るぞと僕のクラスまで呼びにきたリアスが、クラスに入ることも叶わずに、女の子に呼び止められている。
ふわふわの明るい髪の、女の子らしい、柔らかそうな子。ねえあなた、リアスのどこがいいのか知らないけれど、やめといたほうがいいですよ。大雑把だし、デリカシーはないし、僕の扱いは適当だし。あなたの時間の無駄だから、それはもう辞めて他の男にアピールしなさい。
頭の中でそう唱えても彼女にその思いは届くはずもなく、リアスとその子はスマホを出したかと思うと、恐らく連絡先を交換した。リアスを見上げるその子の指先は、リアスのカーディガンを掴んでいて、ああ、あざといってこういうことなのかな、なんて思う。自分の、暗い色が塗られた爪を見ながら。
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