『お気に召したら幸いです』「ね〜、ちょっと付き合ってよ」
「ヒッ!え、拙者?」
「他に誰がいるの〜」
魔法史の授業中、隣どおしに座ったイデアのパーカーの袖をクイクイと引き、フロイドがぼやく。
「えっと今日は」
「何も予定ないでしょ?ちゃんとアズールとクリオネちゃんに確認したし」
「外堀を埋めてらっしゃる!」
「そこ!私語は慎むように!」
口もとを片手で抑え、オロオロとしたイデアにトレインが叱責すると、フロイドはケタケタと笑って視線をノートに落とした。
授業は話半分に聞き、手もとの落書きを仕上げていく。そんな彼をイデアが横目で睨むも、どこ吹く風とばかりにご機嫌そうな様子に、イデアも肩の力を抜いて、授業内容から出題されるであろう時代のレポートをせっせと内職し始めた。
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