「お戯れが過ぎるかと」を何かに使いたくて思いつかない「君の評判は帝国にも届いているようだ。」
グリュックに声をかけてきたのは、他都市の領主格の男。
皮肉屋だが実利を優先するリアリストでグリュックも嫌いではない相手だ。
彼から手渡されたフルートグラスを持ち上げ、一口だけスパークリングワインを含むとグリュックは雑談に応じる。
「帝国まで届くとはな。よほど良い評判なのだろうね。」
「ははは!流石はあのヴァイゼの領主様だ。…なあ、方々から目をつけられているぞ。」
男は周りに聞こえないくらいに声を顰める。
「なんだ、そんなことか。」
魔族を召し抱えた時から覚悟していたことだ。
グリュックはにやりと笑い、こたえた。
「…悪評も宣伝のうちというだろう?」
「それは、悪党のセリフだ。ご立派なお貴族様
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