ニキマヨ『自己都合な愛情』 好きと言われるたび産まれる違和感が消せない。
純粋な好意を受け止めることができない自分に嫌気が差した。
(……はぁ……だめですねぇ……みなさん、こんな私を……好きでいてくれるというのに……)
新曲のリリース記念で行った握手会が終わり、ESビルの休憩室まで戻ってきた。
夕飯の時間も終わり、自室にいる人が多いのだろう。
休憩室には誰もいなかった。
アイドルでいるかぎり好意を向けられることは誇らしいはずなのに、たまにそれを重荷に感じる時がある。
顔が、
声が、
ダンスが、
誰よりも一番好きだと、熱っぽく語られるたび、これのどこがと違和感を感じてしまい、そう思う自分の不甲斐なさにさらに気が滅入った。
好きで鍛錬した自覚がある部分については、まだ誇ることができたとしても、そうでない部分は……。
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