お題「月見」 我らが主は戦時中であっても、いや戦時中だからこそ季節の行事を大切にしてくれる。
今日は主の世界の暦で中秋の名月なのだという。月の見える縁側に酒とつまみを用意しての宴席となった。
「陸奥守ィ、聞いてっかぁ~?」
「おん、聞いちょるよ~」
「ホントかぁ? ホントにきいいてっかぁ?」
「聞いちょる聞いちょる。おんしの元の主の話じゃろう?」
「そう! 土方さんはなあ、そりゃあ格好良かったんだ! 俺と同じ、浅黄の羽織を着てだなあ――」
和泉守は然程酒に強くはない。以前の何かの勝負の際に、次は飲み比べ勝負をすると約束していたので先ずはと新撰組の刀達が集まる一角にお邪魔していたのだが、和泉守は早々に酔いが回ってしまったらしい。
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