体温「あーもしもしおにぃ?ちょっと風邪ひいたみたいだから今日のデートまた今度でもいい?ごめんねゴホッゴホッ 」
「たいしたことないんだけど念の為ね!愛しのおにぃに移したくないし、じゃ!」
と電話を一方的に切られた
あぁ見えてしっかり者のアルバーンが体調を崩すのは珍しい、いや、頑張りすぎた故に有り得なくもない
その変化に気づけなかった自分に腹が立ってしまう
「よし!」
意を決したサニーはどこかに向かって走り出した
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「ぁ”ー38.0°やっば〜〜 」
予想外の数字を示す体温計とにらめっこをする。少し気だるいとは思っていたがまさかここまでとは
思わず他人事のような声が出る
人というのは具体的な数字を認識してしまうと気のせいだと思ってた部分も症状として体が認識させてしまうことがある
「なんか頭も痛くなってきた…… 」
ずんずんと重くなった額に手をあて、ふらふらとした重い足取りで部屋に行きベッドにダイブする
おにぃにはさっき連絡したし今日は1日寝たら何とかなるだろう、いつだってそれで何とかなってきたし。
熱でほとんど回っていない頭であれこれ考えるが布団に潜ると体は待っていましたと言わんばかりに瞼をゆるゆると降ろし、アルバーンを眠りへと誘っていった。
どれくらい眠っていたのだろうか、アルバーンは目を覚ました
時間を確認しようとテーブルに置いたスマホに手探りで手を伸ばそうとしたが誰かに体を拘束され動かないことに気づいた
慌てて目を開けると目の前に見覚えのあるネギのTシャツ、そのまま視線を上にするとキラキラとしたカナリアイエローの髪の持ち主、サニー・ブリスコーが現在進行形で自身を抱き枕にしてすやすやと眠っていた。
「?!」
アルバーンは驚き声にならない叫びをあげた
気配を感じ取ったのか先程まで閉じられていた瞼が開き、瞳の奥からアメジストがこちらを覗く
「ぁ〜あぅば〜んおはょ〜具合どう?」
へにゃりと笑ったサニーはよしよしとアルバーンの頭を撫でる
「ぉ、おにぃ?」
「ん、熱も下がったみたいだね 」
大きな手がおでこに当てられる。
そこでやっと自分のおでこに冷えピタがはられていたことに気づいた。
「あれ、これ買ってきてくれたの......? 」
ふとサイドテーブルにも目をやるとゼリーやスポーツ飲料などが置かれていた
「うん、念の為買ってきて正解だったよ。ねぇ、アルバーン......気遣ってくれるのもすごく嬉しいんだけどこういう時こそ俺を呼んでよ、アルバーンが苦しんでるのに何もしないのはつらいし...... 」
「ご、ごめんおにぃ次からそうする...... 」
視線を逸らすアルバーン
「ん、約束ね」
サニーは額にキスをひとつ落とし、アルバーンを抱えるようにしてさらに抱きしめた。サニー愛用の柔軟剤の匂いと高めの体温に包まれ再び睡魔がアルバーンを襲ってきた
小さな欠伸をひとつ零す
「まだ病み上がりだからね、もう少し寝てていいよ 」
「ん......おにぃ......今日はありがと...... 」
背中をぽんぽんとゆっくり叩かれアルバーンは本格的に眠りへと沈んでいった
「どういたしまして、おやすみアルバーン」