オレたちの日課(?)オレたちの日課と言えば『打ち合わせ』だ。つまるところダイを探すための場所にいつも目印を付けていくことだ。それは毎回朝食後に行われる。
「ラーハルト、今日の打ち合わせだがこの辺りにしてみないか?」
いつも大きな地図を出し、いくつかのポイントを挙げていく。すると背後からラーハルトが抱きついてきた。
「ヒュンケル…オレはお前と寝たい…」
「早朝から何を言っているんだお前は…さては昨日、飲み過ぎただろう!?」
ヒュンケルはやれやれとため息をついた。
「寝るどころか起きたばかりだぞ、テキパキ動け!」
「嫌だ、お前と寝たい…」
叱ってみても駄目らしい。
「お前の主人(あるじ)のためでもあろう!」
「今日ならきっとダイ様は許してくださるさ…」
ダイの名前を出してもこの反応とは、まだかなり酔いが残っていると見える。駄目だこれは。早く何とかしないと…!
「わかったラーハルト、少しだけなら寝てやる」
「ヒュンケル、早くこっちに来てくれ」
ラーハルトは自身のベッドへ戻り、その手でこちらへ来いこいとジェスチャーしてみてた。
「…本当に少しだけだからな?」
「ああ。こちらへ来い、ヒュンケル」
「わかった、行ってやる」
そしてヒュンケルはラーハルトのベッドへ向かい添い寝をしてやった。
「何だそれは…思っていたものと全然違うではないか!?」
ヒュンケルはベッドから降りる。
「寝てやるのはここまでだ。さっさと打ち合わせをするぞ」
「オレたちは付き合っているだろう!これで済ませてたまるか…!」
何を言い出すのかと思えば、である。
「いや、付き合ってはいないが」
「告白したであろう!?」
「いや、されてないが。一体どんな夢を見ていたんだお前は…。と、いうかラーハルト、お前はオレのことが好きなのか!?」
するとラーハルトはきっぱりと言い張った。
「大好きだ!昨日も言ったぞ?」
「いや、聞いてないが。お前は完全に酔っ払うといつもこれだな…」
そう、ラーハルトは酔うといつもヒュンケルに告白してくるのだ。もはや日課と言ってもいいだろう。だが、ヒュンケル自身は知らぬ顔である。泥酔時の言葉など信じてはおけん。もし本当にオレのことをそういう意味で好きならば素面の時に言ってほしいものだ。ラーハルトは素面の時にはまったくそう言った話題はせず、泥酔時だけこうである。ヒュンケルはいつも待ち侘びているのだ、素面のラーハルトからの告白を。