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    105@海自艦擬人化

    @sanpomichi105

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    105@海自艦擬人化

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    174+116。いい大人が雪にはしゃぐのは良いもの。

    #擬人化
    Humanization
    ##本編

    まぶしい世界 大雪の降った翌朝、甲板に上がると手のひらサイズの雪うさぎが鎮座していた。自分の艦ではなく、隣に。夜のうちにでも誰かしら若いのが作ったのだろう。関東南部でこの量の積雪は珍しくちょっとしたイベント騒ぎになるのも無理はない。自分自身も長崎を経ったあとはずっと横須賀だからさほど慣れているわけではないのだが、童心よりも寒さが勝る。目的の様子見は済んだとさっさと艦内に戻ろうと踵を返したところで呼び声が聴こえた。
    「おはようございます! こいつね、俺が作ったんですよ。なかなか可愛く出来てるでしょう?」
     得意気に指差す仕草に思わず若いな、と呟く。耳ざとく拾った後輩は笑顔から一変し、やや不満そうなむくれ顔になる。
    「そうやってすぐ子供扱いする……」
     じっとりとした視線を受けて漏れそうになるため息をぐっと堪えた。若いのは事実だろう、と思うのだがよくわからない。僚艦が通り掛かったのを良いことに助けを求める。
    「せっかくですから一緒に作ったらどうですか。けっこう楽しいので」
     ほら、と今降りてきた自艦を指差す。よく見るとそこには門松と並んで雪だるまの頭が覗いている。それじゃあ今日は休暇なので、と上陸していく後輩の背を揃って見送った。
    「きりしまさん」
    「昼なら」
     向き合うなり期待の眼差しを向けられる。この際早く空調の効いた艦内に帰りたい。そんな思いもあってこちらから提案した。内心、その頃には溶けるのではないかと期待する本音も持ちつつ。それを知ってか知らずか素直に喜ぶ後輩の姿を見てまぁ良いか、とも思う。
     残念ながらささやかな願望はあえなく破れ去り、あまり気温の上がらない中での雪遊びに付き合う羽目となった。たまには悪くない。あくまでもたまには、だが。
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    105@海自艦擬人化

    DOODLEかもめ(新幹線)とやはぎ(艦)。セルフクロスオーバーみたいなものです。
    新米の冒険 駅から続く電車通りから外れて海沿いの遊歩道を軽く駆け抜け、公園の端まで来るとそこから人々が憩う様子をふわふわと潮風を浴びながら眺める。この景色は元々は海から見る予定であったけれども、あいにく天候の折り合いが悪くて叶わなかった。それ自体はいまも残念に思っているものの、こうして別の機会にでも自ら赴けるあたり、人の身に意識を宿したことのありがたさを感じる。まだ慣れていないのもあってしばしばバランスを崩してしまうけれど。本体の性質のせいかこの身体でも走るのは好きだ。でもたまにはゆっくり歩くのも良いな、と遊ぶ幼い子供の笑い声や木々のざわめきを耳にしつつ元来た道を戻るべく振り返る。
    「こんにちは!」
     いつからいたのか、視界の手を伸ばせば触れられる距離に子供が立っていて、思わずびくっと身体が跳ねた。やや緊張した面持ちで声を掛けてきた子供は背格好からしてまだ小児料金が適用される年頃に見える。驚いて真っ白になった頭でもそれだけは真っ先に過ってちょっと可笑しくなった。落ち着いて思考を巡らせる。確か出掛ける前に先輩からは「人からは見えないのだから、もし迷ったら呼びなさいね」と言って携帯を持たせてくれたのだけれど。中には見える人もいる、ということなのでしょうか。こんなことなら対策を聞いておくんだったと内心はあたふたとしながら何を言うべきかを考える。
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    105@海自艦擬人化

    DONE祝・118進水日!10周年おめでとう~!
    雨上がりの記憶 不意に目を覚ます。直前まで夢でもみていたのか一瞬、ここはどこだっけと頭をよぎった。薄暗い中で視線を巡らせて、艦の馴染んだベッドであることを確認する。枕元に置いているデジタルの腕時計を手探りで掴み、顔の前でかざすと時刻は〇五二九を示していた。付近のベッドではまだぐっすりと眠っている者が大半のらしく、機械の作動音が低く響いているのを除けばしんと静まっている。
     もう一〇年前、か。
     寝起きの少しぼんやりした頭で今日だなぁと思い出す。時刻と並んで表示されていた日付は八月二二日。かつて海へと滑り降りた日だ。当日朝は普段と違う様子に緊張していたのか、単に暑くて寝苦しかったか、もしくは夢見でも悪かったのか。起きてしばらくの間ぐずぐずと泣いて、立ち会いのしらゆきさんを困らせたような記憶が朧気に残っている。ただ、さすがのベテランと言うべきか、彼の気性ゆえか、あれこれと世話を焼かれている内にすっかり機嫌が治っていだから不思議なものだ。僕では同じように出来ないだろうと思う。艤装中に〝ふゆづき〟の舞鶴配備を知ってからは生まれ故郷とのことでしばらくご無沙汰だけど、と注を入れながらも馴染みの店をいくつか教えてくれたりもした。就役後に訪れると既に閉めているところも多くあったけれど、続いているところの中には自分も気に入って、通っているところもある。出港中ですぐには叶わないけれど帰ったら久しぶりに買いに行くのを楽しみにしていようと思う。
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